じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

源氏鶏太「随行さん」

2019-03-22 20:59:12 | Weblog
★ 源氏鶏太さんの「英語屋さん」(集英社文庫)から「随行さん」を読んだ。面白かった。

★ 昭和25年発表だが古さを感じない。サラリーマンの気苦労は時代を超えて絶えないようだ。

★ 風間京太は人事課長から社長の北海道視察の随行役を言い渡される。この役職は課長職への登竜門。今の社長もかつては「随行さん」をこなし、今の地位にたどり着いたのだ。

★ 平社員が会社のトップと間近に接するなど出世のチャンスに違いないが、翻ってここでの失敗は企業人として致命傷だ。京太も緊張に足が震えた。更に社長の奥さんから難しいミッションを言い渡される。果たして、京太はこの難局を乗り切れるのだろうか。

★ 昔、森繁さんの「社長シリーズ」という映画があったけれど、あの時代の話だね。

★ 文章が読みやすい。人物が生き生きとしている。みんな頑張って高度経済成長を支えてきたんだね。
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世代交代

2019-03-22 15:41:10 | Weblog
★ 近隣の学習塾、小学生だろうか、それとも中学1年生だろうか、キャピキャピした女の子たちがカバンを背負って塾に吸い込まれていく。この塾、最近塾生を増やしているようだ。リフォームもできたし、新たな教室展開も。元気のある塾だ。塾長はまだ40代だし、学生のチューターも採用している。

★ 一方、うちの塾はどうも地味だ。そう言えば最近女子が減ってきた。積極的に募集していないこともあるが小学生も減った。

★ 確かに、じいさんに教えて欲しいという生徒は少なかろう。それでもまだ生徒に恵まれているのは、少数ながらクセのある生徒がいるからだ。(よく言えばホンモノ志向、悪く言えば変わり者)

★ 塾も世代交代の時期を迎えているのかも知れない。それは仕方がないこととはいえ、うちはうちの個性を出して頑張ろう。
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国木田独歩「死」

2019-03-22 11:29:18 | Weblog
★ 国木田独歩と言えば明治時代の小説家ぐらいしか印象がない。高校生の時、国語の教科書で「武蔵野」を読んだ。美文と講義されたが、何が美文なのかも当時は関心がなかった。

★ 国木田独歩「牛肉と馬鈴薯」(新潮文庫)から「死」を読んだ。友人の死に出会い、「死」について思いめぐらすというもの。

★ 文体は簡明で至極読みやすい。明治時代の作とは思えないほどだ。

★ 友人は短刀で自決した。ただその原因がわからない。遺体を寝かせた部屋の隣で、彼の身近な人々がその原因を議論する。それは黒澤明監督「生きる」の通夜の風景のようだ。結局は「発狂」ということでみんな何となく納得する。

★ 友人を世話していた老婆や西京(京都)から駆け付けた母の様子もよくわかる。身近な人の死という現実に直面して、人がそれぞれどのような対応をするのかがうまく書かれている。

★ 私小説とエッセイの中間のような作品だろうか。最後は「イデア」らしきものにも思いを馳せている。
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