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じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

斜陽の公立高校

2019-11-30 03:02:16 | Weblog
☆ 京都府の話。京都府ではこの時期、中学3年生、つまり卒業予定者の進路に関する調査結果が公表される。どこの高校をどれだけの人数が希望しているのか、というものだ。(あまり批判すると公表されなくなるのではと恐れるけれど)

☆ 今年度(つまり2月もしくは3月に受験する人々)の調査結果が昨日公表された。その結果、公立高校を希望する生徒の減少が明らかになった。

☆ いわゆる底辺校はともかく、地域の上位校でも定員割れの結果が出ている。

☆ 公立高校は序列化(教委の言葉では特色化)が進んでいるが、それにしても公立の魅力が逓減しているようだ。

☆ 原因の一つは様々な助成により経済的な負担を気にせず私立高校に進学できるようになったこと。家庭の経済力にかかわらず進路の幅が広がったことは良いのだが、税金で運営される公立高校が数年にわたり定員割れ(それも大幅な)というのはまずかろう。企業ならば当然統廃合だ。

☆ 利潤を追求する企業の論理が教育現場で必ずしも通用するとは言えないが、公立高校もより一層の経営努力が求められる。

☆ 塾業界(教育産業界)に身を置くと私立学校の危機感をひしひしと感じる。それにひきかえ公立学校の改革はtoo little and too lateだ。

☆ かつて(50年ほど前になるが)、京都府は公立高校が強かった。公立高校に行けない生徒が泣く泣く滑り止めの私立高校に通うというのが普通だった。それが大きく変わったのが1980年代だろうか。府政が革新から保守に大転換したこと、理想、理念(高校は大学進学の予備校ではない)の後期中等教育から現実重視(公立からでも難関大学に合格できる)に大きく変わった。

☆ 少子化が進む中、危機感を感じた私立高校は経営努力を重ねた。営業にせよ、教務にせよ、大学との連携と言った出口づくりにせよ。ただ、授業料(諸費も含めて)の高さだけは公立に勝てなかった。

☆ ところが、高校無償化の動きは私立学校に追い風となった。公私が同じ土俵で戦うようになった。

☆ 公立高校が統廃合され、高校教員がリストラされ、税金が有効活用されるなら、それも一理あるが、果たして弊害はないのだろうか。
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教育投資とその効果

2019-11-27 16:02:09 | Weblog
☆ 政府は全国の小中学校で生徒1人当たり1台のパソコンやタブレットが使える環境整備をするという。

☆ IT教育やデジタルデバイスが言われる中、一見良さそうな政策だが、その整備に予算が4000億円必要だと聞くとき、果たして教育投資に見合う効果があるのか疑わしい。

☆ いくら端末を整備してもそれを授業で生かすソフト(アプリケーションや授業のノウハウ)が不十分では宝の持ち腐れになる。

☆ 1人の生徒がどれほどその端末を活用するのか。活用できるのか。OSや端末には耐用年数があり、後年度負担をどう考えているのか。

☆ 行き当たりばったりの政策では、PC企業の救済にしかならない。

☆ 近隣の高校には電子黒板が導入されたが、使いこなせているとは思えない。教育効果を考えない教育投資はバラマキに過ぎない。4000億円あったら、IT教育の専門家を養成した方がよいと思うのだが。

☆ 人にカネをかけず、モノにカネをかけるというのは、政治的な旨味があるからだろうか。
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プラハの春

2019-11-27 00:09:43 | Weblog
☆ NHKスペシャルのドキュメンタリー「社会主義の20世紀」から「プラハの春」を観た。

☆ 1968年、ドプチェク第1書記をリーダーに「顔の見える社会主義」を目指すチェコ・スロバキア。この改革を反革命と捉えるソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍が介入し、改革派を退けた事件。

☆ 右翼であろうと左翼であろうともっとも恐れるのは民衆の運動のようだ。だから、強権を用いて弾圧しようとする。支配階級は自らの既得権益を守るために、都合よくイデオロギーを解釈し、自分たちに逆らうものを反革命(あるいは非国民)の名のもとに葬り去ろうとする。

☆ ドキュメンタリーを観て感じたこと。自由を求める民衆の運動は抑えることができない。仮に一時的な後退はあっても、やがてパワーが倍増され、かつての弾圧者を弾劾する。検閲を実行する政権は必ず滅びる。

☆ 東西冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩壊した。「アラブの春」は権力の座に安住する独裁者を葬った。政権打倒で団結した勢力が政権奪取後に反目し合うのは、見慣れた風景だ。

☆ さて、「香港の春」はどうなるか。中国政府による軍事介入も懸念されている。見守っていきたい。
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学力向上の分岐点

2019-11-26 17:21:55 | Weblog
☆ 湊かなえさんの「告白」(双葉文庫)に面白い段落があった。51頁のあたり。

☆ 中学1年生、メキメキ学力が上がってきた生徒。しかし、やがてスランプが訪れる。「ここからが本当の勝負のしどころ」と作品は書く。自分の実力はここまでと諦めて成績が下がっていく人、現状維持で満足する人、踏ん張って努力し上昇線に乗る人。

☆ まったくその通りだと思う。ただこの踏ん張りが実に苦しい。もはやそんな時代を通り過ぎた大人にとってみれば、「もうちょっと」と思うのだが、生徒にとっては毎日が初体験だ。先行き不透明な未来のために努力するよりかは、安易な逃げ道を求めてしまうのが人の常。

☆ 作品は中学3年生の保護者の「この子はやればできるんです」というセリフも紹介する。

☆ 「やればできる」と期待された子のほとんどが「やることができない子」だったと、厳しい結論を下している。厳しいが的を射ている。的を射ているゆえに、なかなか教師はこのセリフを口に出せない。


☆ 志水辰夫さんの「行きずりの街」(新潮社)では、ある学園の学長のセリフが興味深かった。「教育家であることと、経営者であることは両立しない」と彼は言う。「頭の使い方がまるでちがう」と。「教育家の頭に必要なのは言葉だが、経営者の頭に必要なのは数字なんだ」と言う。(130頁)

☆ 私は昔、ある教育専門誌の記者(見習い)のようなことをしたことがあった。その時、中学、高校、大学を抱えるある学園の理事長が、「グランドを走る生徒が札束に見える」と冗談を飛ばしていた、という話を聞いた。

☆ 当時、私は若く、教育に潔癖だったから憤りを感じたものだが、今思うと理事長の気持ちがわからなくもない。教育も経営も究めるのは難しい。

☆ 読書をすると学ぶことが多い。
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地方紙が面白い

2019-11-26 10:24:48 | Weblog
☆ 全国紙のニュースはネットで代用でき、本の紹介コーナー以外はあまり面白くない。一通りは目を通すが、東京文化とでも言おうが最大公約数的なのっぺろした記事が多いように思う。

☆ その点、地方紙が面白い。身近なニュースはもちろんのこと、コラムや特集記事にも記者の顔が見える気がする。(もちろん地方紙ゆえの限界があり、全国ニュースなどは通信社からの配信も多そうだが)

☆ 今日の京都新聞、面白かったのは3つの記事。

☆ 1つ目は、「地域プラス」のページ。松本清張氏と在野の歴史研究者、薮田嘉一郎氏との往復書簡を取り上げている。松本清張が「先生」と仰ぐ薮田氏、松本が「火の路」を連載する際に教えを請うたという。

☆ 謎の多い日本古代史、「火の路」は古代の日本と中央アジアとの宗教的な交わりを描いているという。私はまだ読んでいないが読書に誘われる。

☆ 2つ目は、文化欄、木村綾子さんの連載コラム「太宰治 時代を超えて」。毎回、太宰の作品を取り上げて興味溢れる解説をしてくれる。今回は人間失格の主人公「大庭葉蔵」を取り上げ、太宰の初期の作品に登場する彼を紹介している。「道化の華」や「HUMAN LOST」を読んでみたくなる。

☆ 3つ目は、「オピニオン・解説」ページ、佐伯啓思さんの「現論」だ。「入試 英会話より国語力」と題し、民間試験を導入すると言った大学入試「改悪」を批判されている。安易な英会話重視は、「『英語帝国主義』の片棒を担ぐだけ」と皮肉られている。


☆ 痛快だ。「how to say」よりも「what to say」が重要だ。猿真似、鸚鵡返しを繰り返しても浅薄な日常会話(それも話題がなければ長くは続かない)ができる程度にしかならない。まして紋切り型の受け応えをもって採点するなど茶番だ。全くコミュニケーションではない、と私も思う。

☆ 先日ある大学の先生が、英語力を何とかしなければ日本は国際競争に勝てない趣旨の発言をされていた。スピーキング推進派の方だろう。英語学者としての憂国の情はわからなくもないが、英語一辺倒、それも「コミュニケーション能力」などといった漠然とした能力を試験と言う形でどれほど問えるのだろうか。

☆ 最近の生徒を見ていて「コミュニケーション能力」よりも読解力の不足を感じる。読書をしない、新聞も読まない生徒が多い(そもそも家庭で新聞をとっていない)。とはいえ流行りの話題にはすごく敏感だ。チャットは華やかだが、耳を傾けるべき話題に乏しい。それが刹那的、衝動的な生き方につながっているとまで言えば言い過ぎだろうか。


☆ 「もちろん英語がしゃべれるにこしたことはない」とした上で、佐伯氏は語る。「決定的に重要なことは、英語力そのものではなく、何を話すか、どのように話すかである。英語力よりも会話力であり、会話を支えるものは話題であり、ユーモアのセンスであり、相手の真意を理解する力であり、場面を読む力である」と。そして「それを生み出すのは、まず母国語による表現力であり、これは文化の問題なのである」と言う。

☆ まったく同感だ。
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東京大衆歌謡楽団

2019-11-25 15:58:13 | Weblog
☆ youtubeを何気なく見ていると「東京大衆歌謡楽団」というグループが目についた。

☆ 昭和初期からタイムワープしてきたような男性ボーカル。演奏は、アコーデオン、ウッドベースが基本。これにバンジョーやギター、パーカッションが加わることもある。

☆ 神社の境内などで野外ライブをされていることも多そうだ。

☆ 東海林太郎さんや藤山一郎さんを思い起こさせる歌声。声楽家の発声なのだろうか。

☆ 令和の時代に昭和の歌声と言うのも面白い。世相が似通ってきたのか。

☆ 紅白の出場メンバーを見ても誰が誰だかわからなくなった。そんな時代が彼らを求めているのかも知れない。
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連城三紀彦「夕萩心中」

2019-11-23 20:53:23 | Weblog
☆ 連城三紀彦さんの「夕萩心中」(光文社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 幻想的な夕暮れの風景から始まる。西の空は刻々と色を変え、ススキの原に風がそよぐとまるでさざ波のようだ。8歳の少年は道草を食って道に迷った。路傍で泣いていたところ、男女の二人連れに遭遇する。女性は萩を片手に、男性はマント姿で提灯を掲げていた。少年は提灯を渡され、家路につく。

☆ 彼が男女の心中事件を知ったのはその数日後だった。

☆ 女は但馬夕。政府高官、但馬憲文の妻である。男は但馬家に居候する書生で御萩慎之介といった。この世で叶わぬ恋を来世に託して命を絶ったと評判になった。

☆ 物語は、二人の出会いから、越えられない一線に堪える姿を描き、やがて死出の決意をするまでを描く。

☆ しかし、物語はそれだけでは終わらない。二人の心中事件の背後には大きな陰謀が隠されていたのだ。読むほどに複雑になり、読者をその迷宮に陥れる。

☆ 後半は少々理屈っぽいが、連城さんの美しい文章に酔いたい。
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期末テスト対策終わる

2019-11-22 16:48:48 | Weblog
☆ 中学校の期末テスト対策が終わった。恒例行事ながら精魂尽きる。高校の期末テストまで2週間ほどあるので読みかけの小説を進めたい。

☆ 法月綸太郎「生首に聞いてみろ」(角川書店)今102頁(全492頁)。著名な彫刻家の死。彼が最後に残した作品の首が切り取られた。物語はまだ始まったばかり。

☆ 志水辰夫「行きずりの街」(新潮社)99頁(全314頁)。生徒との恋愛で学園を追われた男。今は学習塾を経営している。行方不明の女性探しを知り合いから頼まれ、かつての学園を訪れるのだが。短大が改組され4年制大学になった学園。学園経営をめぐり派閥争いが。果たして女性は見つかるのか。

☆ 馳星周「煉獄の使徒(下)」(新潮文庫)350頁(全811頁)。総選挙に出馬するが大敗北。権威を失墜したグルはテロへと向かう。この世で救われない魂は一度リセットし、来世で救うと。教団のプラントでは遂にサリンが完成した。

☆ 髙村薫「レディ・ジョーカー(上)」(新潮文庫)127頁(全512頁)。面白い。日本最大のビール会社、その採用試験である男性が不採用となる。それが原因だろうか、その男性は車で暴走し死亡。遺族は会社に手紙を出したのだが。被差別や総会屋など日本の社会の闇の部分がこれでもかと登場する。時代は高度経済成長から低成長、そしてバブルのはじけた1990年代。これからのトレンドを「小市民的潔癖」とよんだ企業トップは総会屋との関係を断とうとするが。

☆ 葉室麟「蜩ノ記」(祥伝社文庫)86頁(全397頁)。側室との不義をとがめられた戸田秋谷。即刻死罪となる所、藩主の家譜を手掛けていたために10年の猶予が与えられる。彼のもとへ一人の若者(檀野庄三郎)が送られる。彼もまた藩の要人の一族と思わぬ諍いを起こし、切腹となる所、命だけは救われた。寿命が区切られた秋谷との生活で庄三郎は何を見るか、何を感じるか。面白い作品だ。

☆ 浅田次郎「椿山課長の七日間」(朝日文庫)81頁(全400頁)。デパートに勤める椿山課長。酒席で倒れてあの世へ。彼にはやり残したことがある。事情を話し、審査を受け、再び地上へと送られることとなった。さてどうなりますやら。

☆ 湊かなえ「告白」(双葉文庫)40頁(全300頁)。教室。生徒を前にして女性教員は教員を辞めると告げる。愛娘の死。その死にクラスの生徒が関わっているというのだ。冒頭は彼女の独白が続く。地の文が多く重厚なつくりになっている。

☆ 東野圭吾「容疑者Xの献身」(文春文庫)105頁(全394頁)。この作品も面白い。映画を観ているのでストーリーは知っているが、文章で読むとまた違った味わいがある。

☆ 宮部みゆき「龍は眠る」(新潮文庫)56頁(全528)。雨の日、雑誌記者の高坂昭吾は立ち往生していた少年を助ける。彼らの前に蓋の空いたマンホール、黄色い傘。幼い子どもが行方不明だという。

☆ 長井彬「原子炉の蟹」(講談社文庫)73頁(全448頁)。ある記者が行方不明の社長を求めて北海道へ。表題のように原子力発電所が関係しているようだ。

☆ 青羽悠「星の願いを、そして手を」(集英社文庫)40頁(全310頁)。史上最年少(16歳)での「すばる新人賞」受賞作。まだ物語は動かない。

☆ 他にも、薬丸岳「天使のナイフ」(講談社文庫)、小川糸「つるかめ助産院」(集英社文庫)、唯川恵「肩ごしの恋人」(集英社文庫)を読み始めたところ。

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有栖川有栖「愛染坂」

2019-11-17 23:30:46 | Weblog
☆ 有栖川有栖さんの「幻坂」(角川文庫)から「愛染坂」を読んだ。

☆ 大阪を舞台に男と女の出会いと別れを描く。名が売れてきた新人作家、しかし少々スランンプ気味だ。ぶらっと出かけた愛染祭り。作家志望というある女性と出会った。

☆ 出会いは恋となり、ふとしたことで別離となる。それも永遠の別離。

☆ 終盤、愛染坂の階段で主人公は会うはずのない彼女を感じる。新海映画で彩られたら素敵だろうなぁ。

☆ ところであの「愛染かつら」は川口松太郎さんの作品で、本作に登場するかつらの木がモデルだったという。

☆ 「旅の夜風」を聴いてみた。生まれる前の曲なのに、1番の歌詞を覚えているのが不思議だ。
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東野圭吾「エンドレス・ナイト」

2019-11-16 20:32:33 | Weblog
☆ 中学校の期末テストが来週の木曜日、金曜日なので、今日と明日は1日中テスト対策。授業の合間に短い作品を一つ読んだ。東野圭吾さん「犯人のいない殺人の夜」(光文社文庫)から「エンドレス・ナイト」。

☆ 「エンドレス・ナイト」というとそこそこ年配の関西人は、関西テレビの深夜番組を思い出すかもしれないが、作品とは関係ないようだ。

☆ 東京でファッションビルを経営する兄弟。その三男坊が大阪の店を任された。東京の暮らしに親しんだ奥さんは大反対。結局、夫だけが単身赴任することになった。その夫が店の事務室で刺殺されたというのだ。

☆ 事件の解明という点を除けば、大阪・ミナミの観光めぐりって感じだ。それも1990年ごろの風景だろうか。

☆ 私はその頃、大阪で働いていたので、心斎橋筋商店街、日航ホテル、ソニータワー、ひっかけ橋、道頓堀、「かに道楽」に「くいだおれ」など懐かしい。

☆ 大阪弁の「はった」(倒れてはった、寝てはったなど)が乱発されていたけれど、東京人から見た大阪弁てこんな感じなのだろうか。大阪府警の刑事さんのセリフがみんな大阪弁のもっちゃりした感じで聞こえるから不思議やね。 
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