じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「ブランカとギター弾き」

2020-12-31 19:21:14 | Weblog
★ 塾業界にいると正月という実感がわかない。31日まで授業(冬期講座)をやって、足早に簡単なお節料理を見繕い、3が日は残務処理(プリント類の添削)と新学期の準備に追われる(更に確定申告の資料の整理、新年度の事業計画、パンフレットや募集チラシの作成など)。年によっては2日から塾を開けるが、今年は週末と重なるので、なんとか3日間休みが取れそうだ。

★ 最後の講座を終わって早速1本映画を観た。「ブランカとギター弾き」(2015年制作)。

★ フィリピンのスラム街、ストリートチルドレンの少女ブランカと盲目の老ギター弾きピーターの物語。ブランカは父親を知らない。母親は酒に溺れて、あげくの果ては見知らぬ男とどこかへ行ってしまった。残されたブランカは他のストリートの子どもたちとスリをしながら路上で暮らしていた。そんなある日、彼女はギターの調べを耳にする。弾いていたのは盲目の老人。彼もまた孤独な日を過ごしていた。

★ ピーターのギターを伴奏に歌うブランカ。安定した生活への道が開かれると思われたのだが・・・。

★ 貧困というものを考えさせられる作品だった。「どうして金持ちと貧乏人がいるのか」、子どもたちは語り合う。幼い彼らは資本主義の理屈など知らず、「わからない」というのが結論だったが、彼らは身をもって社会の現実を感じている。

★ この映画、日本人の監督が撮ったというから驚いた。最後のシーンで一気にグッとくる。
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2020/12/30

2020-12-30 14:26:19 | Weblog
★ お正月の課題。さて、どれほど読めますやら。
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映画「マチネの終わりに」

2020-12-27 20:46:34 | Weblog
★ 映画「マチネの終わりに」(2019年)を観た。平野啓一郎さん原作の大人の恋愛ドラマ。誰に感情移入するかによって、見方が変わりそうだ。

★ 男性ギターリストと女性ジャーナリストの恋。40代の男女がパリ、マドリード、ニューヨークを舞台に成就されない恋愛に燃える。成就しないからこそ燃えるのかも知れない。

★ 今何をするかで未来は変わる。未来が変わることで過去の意味も変わる。

★ 私たちは刹那にどれほどの選択をしているのであろう。そしてその選択によって、どれほどの未来を変えているのであろうか。

★ 恋愛など唯物論的に言えば性ホルモンの為せる業だ。しかし、何十年と時を重ねた関係よりも数回あっただけで魅かれあう関係とは何だろうか。前世の縁か。

★ 欲求不満が高まりそうな映画だが、美しい音楽(「桜坂」に聴こえてしまうのは私だけか)に酔える映画だった。
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中山七里「ドクター・デスの遺産」

2020-12-26 20:44:57 | Weblog
★ 中山七里さんの「ドクター・デスの遺産」(角川文庫)を読んだ。安楽死をテーマとした作品だった。

★ 物語は少年の110番通報から始まる。悪い医者が父親を殺したというのだ。父親は末期の肺がんで自宅で療養していたが、ある医師が往診した後、急変して死に至ったという。死因は心不全ということだったが。

★ 最初は少年の悪戯と思えた案件だったが、犬養刑事、高千穂刑事は調べるうちに、同様の不審死が連続していることに気付く。そしてあるサイトにたどり着く。

★ 末期患者を安楽死させる「ドクター・デス」の正体は。そして意外な結末が。

★ 安楽死(生きる権利と同様に死ぬ権利があるのでは)の是非。その結論は犬養刑事と共に読者に委ねられている。

☆ 手塚治虫さんの「ブラックジャック」を読んだ時、ドクター・キリコの主張に考えさせられた記憶がある。あれから数十年の歳月を経た。私自身については苦痛なき最期を迎えたいが、死生観は人それぞれということか。死生観と法律が必ずしも一致していないところが悩ましいところだ。(安易に安楽死を選ぶのも問題が多そうだし、まして本人の意思が確認できず周りの者にその決断が委ねられたときはなお一層難しい)
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ドラマ「誤断」

2020-12-25 23:14:12 | Weblog
★ 巷では水虫薬に睡眠導入剤が混入した事件が話題になっている。それと直接関係はないが、製薬会社の薬害問題を扱ったドラマ「誤断」(2015年)を観た。同時にドラマの原作となる堂上瞬一さんの「誤断」(中公文庫)も読み始めた。

★ 大手製薬会社の薬を服用した人が事故や自殺で亡くなるという事例が連続して起こった。成分表には記されていない成分により意識混濁が起こったらしい。実質的に会社の経営を担っている副社長は、若手の広報担当者に情報収集の特命を与えた。事実を隠ぺいするために。

★ 若手の社員は良心の呵責を感じながらも、隠蔽に手を貸す。その過程で、この会社が40年前に起こした公害(薬害)事件を知る。

★ 企業の社会的責任とは何かを考えさせられた。不都合な真実を知ってしまったがゆえに、会社員(組織の人間)としての立場と一人の人間としての良心に葛藤する主人公には同情する。

★ 今の時代、隠ぺいは企業にとっても個人にとっても致命傷となる。そんなことはわかっていながら、つい嘘の上塗りをしてしまう。間違いを認めることは勇気のいることではあるが、肝に銘じたいことだと思った。

★ 「震える牛」といい、「誤断」といい、番頭や副社長役を演じる小林薫さんは見事だと思う。
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ドラマ「ノースライト」

2020-12-25 10:36:51 | Weblog
★ 冬期講座が始まって、超多忙な日々を送っています。

★ さて、NHKドラマ「ノースライト」を観た。原作は横山秀夫さん。ある一級建築士に風変わりな依頼があった。「あなたが住みたい家をつくってください」とのこと。

★ 依頼に応えて、建築士はノースライト(北からの柔らかい光)を取り入れた「木」の家をつくった。リビングの広い窓からは素晴らしい景色が。ところが、建築を依頼したはずの家族が姿を消した。リビングにブルーノ・タウトの椅子を残して。家族はどこに消えたのか。

★ ミステリーではあるけれど、家族、会社、そして人生の再生のドラマともいえる。展開は少々強引で、脚色のせいなのか(それとも私が関西人のせいなのか)、私にとってはセリフがスッと入ってこないところもあったが、原作も読んでみたいと思った。

★ さて、世の中は新型コロナが猛威を振るい、それに反比例するかのように、内閣の支持率が低下している。「瀬戸際」「正念場」「勝負の3週間」などと言葉は重ねるほどに軽くなり、政治家のメッセージは庶民に届かなくなっている。「民信なくば立たず」とは孔子の言葉だったか。

★ 長期政権を担った前首相が子どものような弁明をしているのは何と言うことか。「番頭」「家老」に責めを負わせて、自分は「知らなかった」と通すあたり、厚顔無恥の極み。前政権がなぜ検察人事にあれほどまでにこだわったのか。

★ カネと政治をめぐる醜聞はまだまだ続きそうな気がする。現実は小説よりもミステリーだ。
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葉真中顕「凍てつく太陽」

2020-12-19 03:05:20 | Weblog
★ 葉真中顕さんの「凍てつく太陽」(幻冬舎文庫)を読んだ。650頁を超える。それだけに盛りだくさんの内容だった。全体は3章に分かれ、それに序章と終章が付く。

★ あらすじを書いてしまえば味も素っ気もないが、ざっとしたところを記しておこう。時代は太平洋戦争終戦直前。舞台は北海道。主人公はまず特高警察の潜入捜査官として登場する。彼の母親はアイヌの人で、潜入した軍需施設では多くの朝鮮人が働かされていた。

★ ほぼ監禁状態の軍需施設。しかし一人の朝鮮人がそこから抜け出した。彼はどうやって脱出したのか。それを探るのが主人公の任務であった。

★ 一応の任務を果たした主人公。次なる任務は連続殺人事件を追うこと。憲兵と特高警察との主導権争い。憲兵は何か秘密を隠蔽しようとしているようだ。その探査中、主人公は殺人事件の犯人として逮捕されてしまう。

★ 主人公の事件と並行して進むテロ計画。敗戦濃厚の戦況。軍は起死回生の新兵器を開発しているというのだが。

★ 日本人のアイヌの人や朝鮮人に対する差別意識。同じ「皇民」とされながら、そこには支配者と被支配者の格差が歴然とあった。「多数派が少数派を差別するのは、そもそも普遍的に人間に備わっている性質なのかも知れない」(172頁)と地の文は語る。国家権力の権化とも言うべき特高警察で、アイヌの血が流れる主人公が活躍する。この設定が興味深い。

★ この小説は今の時代への警鐘としても読める。終盤、ある登場人物は語る。大本営のご都合主義を批判する部分。一億総玉砕や国体護持などと、この期に及んでも現実を認めようとしない為政者を「引っ込みがつかなくなった連中の保身だ」と断罪する。それに「為政者が為政者なら民草も民草だ」と続ける。国家、民族などは幻想にすぎない、誰もかれもが他人任せで、現実を見ようとしない。大日本帝国は失敗国家であり、この国はどこで道を間違ったのかと問いかける。

☆ 時代は変わり、民主主義の名のもとに、この国は再生したかに見えるが、果たしてどうか。根深いところではドロドロとしたマグマが隙を狙っているのかも知れない。これは国という枠組みを超えて、人類という種の業なのかも知れない。隙を見せないために不断の努力と謙虚な反省を忘れてはなるまい。

★ 物語はささやかな光を輝かせて幕を閉じる。

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ドラマ「誘拐」

2020-12-16 20:39:59 | Weblog
★ 今年1番の寒波とやらで、普通の風邪とインフルエンザと新型コロナが爆発的に増えそうだ。今日、京都は新規感染者数が90人超え。少し前に「GOTOトラベル」で嵐山などの観光地が賑わっていたが、その影響が出てきたようだ。

★ 「ガースー」内閣の対応は遅いし、総理自ら連日の会食など緊張感に欠ける。この内閣、長くはもちそうにない。二階翁、麻生翁の腹積もりは如何か。

★ 永田町界隈の権力争いはさておき、なかなか本を読めないので、ドラマ「誘拐」を観た。原作(双葉社)は、五十嵐貴久さん。日韓友好条約締結のため韓国大統領が来日。それに合わせたかのように、爆弾テロ未遂事件が発生。そして首相の孫娘が誘拐される。日韓関係を快く思わない「北」の仕業なのか。犯人は30億の身代金を要求する。営利誘拐が目的なのか。

★ 警視庁の大半の警察官は韓国大統領の警護に。少ない人数での捜査を余儀なくされる。三上博史さんと西島秀俊さんの対決が見せ場だ。結末で誘拐の真相が明かされる。どうもハッピーエンドとは思えないのだが・・・。

★ この間、「翳りゆく夏」「震える牛」「血の轍」も観終わった。

★ 「翳りゆく夏」は時任三郎さんと渡部篤郎さんの演技が目を引いた。最後は大どんでん返し。菅田将暉さんがちょい役で出ていた。

★ 「震える牛」は食品偽装がテーマ。刑事役の三上博史さんの熱演。大手スーパーの「番頭」役の小林薫さんが印象的だった。古田新太さん演じる精肉業者の社長の気味の悪い二面性も心に残った。

★ 「血の轍」は、ある事件をめぐる刑事部と公安部の主導権争いがテーマ。かつて仲の良い先輩後輩の刑事が、それぞれの部門を代表して戦う。公安部の先輩刑事を原田泰造さん、刑事部の後輩刑事を谷原章介さんが演じられていた。高嶋政伸さんは偏執的な怖い役柄だった。

★ WOWOWドラマはどの作品も音楽がいい。ストーリーだけなら陳腐でも、音楽の効果で盛り上がる。

★ さて、現在読書中の葉真中顕さんの「凍てつく太陽」(幻冬舎文庫)、中山七里さんの「ドクター・デスの遺産」(角川文庫)、森絵都さんの「カラフル」(文春文庫)、恩田陸さんの「夜のピクニック」(新潮文庫)、逢坂剛さん「百舌の叫ぶ夜」(集英社文庫)、柚月裕子さん「慈雨」(集英社文庫)そして桐野夏生さん「日没」(岩波書店)を読み進めねば。
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相場英雄「保秘」

2020-12-12 19:38:24 | Weblog
★ 相場英雄さん原作のドラマを観ているせいか、小説も読みたくなった。「ナンバー」(双葉文庫)から「保秘」を読んだ。

★ 西澤辰巳は所轄から本庁に引き上げられた。刑事にとっては出世だが、配属されたのは捜査2課。殺人などの凶悪犯を相手にする捜査1課や暴力団相手に格闘する4課とは違い、2課は詐欺、横領などの知能犯、経済犯を追う。西澤に与えられた仕事は、銀行口座の出入りを調べると言った地味なものだった。

★ 新しい職場に馴染めずにただ多忙な日々を送っていた時、高校時代の知人から連絡を受ける。西澤はかつて高校球児だった。その知人はかつての野球部のマネージャー。今では大手銀行のエリート行員になっているという。

★ 彼女は西澤にさりげなく相談をもちかける。彼女の妹に関することだというのだが・・・。

★ 殺人のような派手さはないが、その分、人間模様が描かれていて面白かった。
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「震える牛」「「血の轍」「翳りゆく夏」

2020-12-11 17:54:05 | Weblog
★ 新型コロナの感染爆発、医療機関の危機感とは裏腹に、政府の腰が重い。ここまで慎重だと菅首相と「Go To」の間に何か利権があるのではと邪推してしまう。(このままでは初詣が心配だ。1月15日頃、京都も感染爆発が起こるのではなかろうか)

★ さて、数冊の本を毎日少しづつ読み進めるように心がけているが、ドラマもこのやり方を始めた。今は「震える牛」「血の轍」「翳りゆく夏」を観ている。いずれもWOWOWの連続ドラマ。

★ 「震える牛」(2013年放映)は、相場英雄さん原作。食品偽装をテーマにしている。ビーフ100%を売り物としている精肉卸売業者。日本最大のスーパーとも取引をしていたが、原料偽装を内部告発する人物が現れる。ある殺人事件をきっかけに警察も再捜査を始める。物語は先に進むと政界との癒着に及びそうだ。

★ 「血の轍」(2014年放映)も相場英雄さん原作。公園で元刑事の首つり遺体が発見された。何か裏がありそうだ。真実を暴こうとする人々、そして真実を隠蔽しようとする人々。公安部と刑事部の覇権争いが面白そうだ。

★ 「翳りゆく夏」(2003年放映)。原作は赤井三尋さん。ある病院から乳児が誘拐される。犯人は乳児の親ではなく、乳児が入院していた病院に身代金を要求する。ここまでは黒澤明監督の「天国と地獄」のようだ。犯人は身代金を手に入れるがその後、娘を残して死んでしまったという。それから20年。その娘は大手新聞社に入社することになり、事件が蒸し返される。果たして真犯人はいるのか。

★ 「震える牛」「血の轍」は主に刑事の視点で描かれているが、「翳りゆく夏」は新聞記者が活躍する。その記者役、時任三郎さん、渡部篤郎さんというのが魅力的だ。

★ こうやって見てくるとWOWOWドラマはなかなかいいなぁ。
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