じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

映画「円空」

2020-01-29 17:20:24 | Weblog
★ ドキュメンタリー映画「円空 今に生きる」(2012年)を観た。

★ 江戸時代初期、木の仏像を彫りながら全国を旅した円空という僧の足跡を追ったドキュメンタリー映画。

★ 1時間程度の地味な映画で、再現ドラマを織り込みながら、彼の作品を紹介している。「微笑みの仏像」というその表情は何とも言われぬ優しさ、味わいがある。母親が幼子の顔を覗き込むような、幸せ感あふれる微笑みだ。

★ 円空は幼い頃に洪水で母を亡くしたというが、その追慕がこの表情に現れているのかも知れない。

★ ある受験問題で千住博さんの「日本画を描く喜び」からの出題があった。「ヘンリー・ムーアは、『石の中に彫刻が埋もれている。私はそれを掘り出すのだ』と言っています」のところ。名工は声なき声を聞くことができるようだ。

★ 円空は生涯、庶民と共にあった。美しい映像と音楽を背景に足跡が語られていった。少々長くは感じたが、心が洗われる映画だった。
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国会論議から

2020-01-29 10:00:30 | Weblog
★ 国会論戦。新型コロナウィルス対策や自衛隊の海外派遣、IR不正など課題山積なのだが、どうも「桜」一色だ。

★ 決め手の欠ける野党、不都合な事実を隠し続ける政府。野党としては政権の隠蔽体質、公私混同、官僚の忖度を印象付けれる作戦か。政府は個人情報を盾に個別の答弁を回避する作戦。官僚は事実関係を「定かではない」としどろもどろ。

★ 先日の安倍総理の「募ってはいるが、募集しているという認識はない」といった趣旨の答弁は面白かった。不特定多数を招いているわけではないと言いたかったのだろうが、会の趣旨とは反するがむしろ不特定多数を公募し、抽選かなんかで招待客を選んだ方が、公平ともいえる。首相の発言は、暗に縁故による募集であることを語っている。

★ 総理もちょっとまずいと思ったのか、その後の答弁に窮していた印象がある。

★ 答弁と言えば、小泉総理の自衛隊発言が印象に残っている。戦闘地域に派遣できない自衛隊。当時自衛隊が派遣されていた地域が戦闘地域かどうかという野党の質問に、「自衛隊の派遣地域が非戦闘地域だ」と答えた。相当乱暴な詭弁だけれど、何となくわかったような気になったのは小泉さんの人柄ゆえか。

★ オリンピック後に予想されている総選挙。国会議員にとっては生活がかかっているから必死なのだろう。それはともかく、「ご飯論争」ばかりしていないで、「桜」問題は、落とすところに落として、肝心の議論に入って欲しいものだ。
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「スタートレック:ピカード」

2020-01-28 14:58:31 | Weblog
★ ドラマ「スタートレック:ピカード」の第1話を観た。「新スタートレック」が終わって25年。ピカード艦長は提督に昇進した後、艦隊から身を引き、今はブドウ園で隠居暮らしって感じだった。

★ 私は、カーク船長やスポックが活躍した「宇宙大作戦」時代から「スタートレック」のファンだ。「宇宙大作戦(スタートレック)」の後続が「新スタートレック」。

★ 「宇宙大作戦」は宇宙を舞台にした西部劇のような雰囲気だったが、「新スタートレック」は登場人物が多く、人間関係も複雑なので最初は入り込めなかった。第2シーズンあたりだろうか、確かピカード艦長の吹き替えの声が変わり、副長も回を重ねて貫禄が出てきた(ひげなども生やして)。登場人物もだんだん整理されて、謎の生命体Qの登場や生命体を同化するボーグとの戦いなど、面白く感じた。

★ 「新スタートレック」の後は「ディープ・スペース・ナイン」「ヴォイジャー」「エンタープライズ」「ディスカバリー」と続く。「ディープ・スペース・ナイン」は、前作までがエンタープライズ号で未知の宇宙を探検するという設定だったのに対して、宇宙の前線基地での日常が描かれていた。私自身年を重ねたせいか、あまり感情移入できなかった。

★ 「ヴォイジャー」は銀河の遥か彼方に飛ばされた「ヴォイジャー号」が地球への帰還をめざして、絶望的な距離を航海するというものだった。設定とキャスティングが面白かったように思う。「ディープ・スペース・ナイン」の主人公が黒人のシスコ司令官、「ヴォイジャー」の主人公が女性のジェインウェイ艦長というのも時代の要請だろうか。

★ 「エンタープライズ」は、時代をさかのぼりワープ航法の黎明期が描かれていた。宇宙船も潜水艦のように狭く、暗い感じだった。

★ 「ディスカバリー」は、第1話は見たと思うけれど、あまり印象に残っていない。主人公は黒人の女性だとか。バルカン人やクリンゴン人など異形の宇宙人が多数出てくるので、今さら皮膚の色や性別にこだわる必要はないけれど。さすがに地球人以外の宇宙人が主人公というわけにはならないかな。

★ 「宇宙大作戦」で登場する「通信機」や「エンタープライズ」のアーチャー艦長が文章を読んでいる端末などはスマートホンやタブレットとして現実のものとなった。この勢いで、レプリケーター(注文した料理などが再現されて出てくる、言わば3Dコピー機)や転送装置(瞬間移動できる)が開発されればいいなぁと思う。

★ さて、ドラマ「ピカード」は引退した彼のところへデータ少佐の娘がやってきて物語が動き出す。完璧なアンドロイドのデータ少佐(「新スタートレック」で、彼自身は人間的な感情が欲しそうだった)はピカードを救うために命を落としたという。第1話はプロローグ、まだ先は読めないが、あまり老いを感じさせないピカード艦長(走るとさすがにきつそうだが)が活躍するのだろう。

★ SFXを駆使した映像が楽しみだ。
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パンデミック

2020-01-28 00:38:03 | Weblog
★ 新型コロナウィルスによる肺炎が世界的規模に拡大している。

★ 映画「コンテイジョン」(2011年)を再び観た。コウモリと豚によって突然変異したウィルスが感染を拡大し、数百万人の死者が出ると言ったパンデミック映画だ。主な舞台はアメリカだが、リアルなシミュレーション映画と言える。

★ 1人の人間が何人に感染を拡大するか、疾病の感染力を表す数値をアールノート(基本再生産数)というらしい。新型コロナウィルスのアールノートはどれほどだろうか。ここ数日の爆発的な拡大を見ると恐ろしくなる。

★ 中国政府は人民解放軍を投入し、封じ込めに躍起になっている。首相が現地を訪れるニュースを見ると、事態は伝えられているよりもいっそう深刻なのではないかと気にかかる。各国の反応も異例の迅速さだ。ネットに流れている武漢市の病院の状況はまさに映画のシーンのようだった。

★ ところで集団感染の発生が、なぜ武漢市だったのだろうか。細菌兵器とまでは思わないが、必ず原因があったはずだ。
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篠田節子「夏の災厄」

2020-01-27 15:29:08 | Weblog
★ 篠田節子さんの「夏の災厄」(角川文庫)を読んでいる。

★ ある町の夜間診療所にやってきた患者。風邪のような症状だが、その後急変、帰らぬ人となった。病理検査をすると日本脳炎ウィルスが検出された。同様の症状を訴える人がある地域を中心に多数発生する。しかしそれらは従来考えられている日本脳炎とは、罹患率も致命率も異なっている。あまりに急速に悪化し、死に至るか、一命をとりとめても重い後遺症が残った。

★ 日本脳炎は蚊が媒介する。蚊を駆除し、感染サイクルにある豚にワクチンを打てば収束するはずだ。マニュアル通りの対策をするが、一向に改善されない。

★ 未知の感染症の長期化は住民に不安を与え、その不安に乗じるかのように、風評が独り歩きを始める。偏見や体の良い差別がここぞとばかり噴出する。

★ 今、200ページ余り、ほぼ半ばまで読み進めたが、まだ病原もその感染経路も明らかにはなっていない。この作品の面白さは、病気そのものがもたらすパニックと共に、その病気に対応する行政システムの不備、病気を好機とばかりに群がる企業、行政と議員、地元企業、あるいは裏社会との癒着、葛藤を暴露している点だ。

★ 普段何気なく見過ごしていることが、未知の感染症という非常事態に触発されて、抉り出されてくる。

★ 先走りして巻末をみると、結局、感染は一時的な休戦を迎えるようだ。しかしそれは人的な努力の結果というよりかはむしろウィルスの気まぐれによるようだ。そして最後の一行は新たな危機を予感させる。

★ また「夏が来る」という。

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スポーツに感動

2020-01-27 09:26:01 | Weblog
★ 京阪神の私立高校の入試まで2週間を切った。いよいよラストスパート。日曜特訓(過去問などを解いています)、放課後ゼミ(受験生が下校後に自習をしています)にも熱が入る。

★ ラストスパートと言えば、昨日はスポーツに感動した。年のせいか何度も涙腺が緩んだ。

★ まずは大阪国際女子マラソン。松田選手の力走は見事だった。2時間22分22秒の設定タイムがあるからハラハラドキドキ。それにしてもカンテレの頑張りか、解説のメンバーが実に豪華だった。高橋さんや野口さんなどオリンピック金メダリストをはじめ、日本の女子長距離界をけん引してきたオールスターが登場していた。

★ 松田選手のお母さんも一気にスターだね。

★ マラソンの後は大相撲。徳勝龍の優勝にも感動した。幕尻で優勝など全く予想にもしていなかった。人間、辛抱強く頑張っていれば、こういうハレの舞台もあるのだと目頭が熱くなった。彼の涙にはグッと来た。

★ 勝者がいれば敗者もいる。しかし、負けても再び挑戦できることがスポーツの良さだろう。松田選手も先のMGCでは悔し涙を飲んだ。その負けを糧にできるかどうか。トップアスリートやプロスポーツの世界は厳しい。しかし、厳しさゆえに勝った時の一瞬の輝きがまぶしいのであろう。

★ 受験は1位を決めるものではない。ただ自分の立てた目標(志望校)への挑戦は、スポーツとも共通する。長い人生から見れば、勝っても負けても大した差はない。しかし目標に向けて頑張ることが尊いのだろう。志望校に入れば入ったでまた次の戦いが始まる。勝って兜の緒を締めよ。負けて腐るな。そう心に刻んで、公立高校の入試(3月6日)まで、彼らと一緒に頑張りたい。
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薬丸岳「天使のナイフ」

2020-01-25 17:06:18 | Weblog
★ 薬丸岳さんの「天使のナイフ」(講談社文庫)を読んだ。第51回江戸川乱歩賞受賞作。江戸川乱歩賞受賞作には当たりはずれがあるけれど、この作品は大当たりだった。

★ 妻が殺された。幼い子をかばうようにして。犯人は3人の13歳の少年。刑法41条の規定により、彼らに刑罰は課されず、被害者の家族にさえ加害少年の詳細、その後の彼らの「教育」が明らかにされない。少年法の壁が立ちはだかっている。

★ マスコミは興味本位の取材に明け暮れ、世間からは加害者はもとより被害者にも冷ややかな視線が投げかけられる。テレビは「保護派」と「厳罰派」の論争を面白く取り上げ、結局は「可塑性」を盾に、人権派弁護士が強弁を繰り返す。被害者やその家族への配慮は感じられない。

★ 前半はこうした社会派ミステリーに憤りを感じたり、同情をしたりで読み進めていたが、後半の200ページほどは作品の面白さに、のめり込んでしまった。

★ もはや「業」としか言いようがない。少年犯罪と復讐のループ。その中で「贖罪」とは何かを考えさせられた。

★ 被害者にとってみれば、加害者が14歳未満であろうが「心神喪失」であろうが関係はない。

★ 少年犯罪の個々のケースを見れば、加害少年(少女)が犯罪に至るまでにいくつかの要因があることに気付く。まずは家族の問題であり、人間関係の問題であり、社会の問題である。不幸にしていくつかの偶然が重なって犯罪に至ってしまうケースもあろう。それに同情しつつも、被害者の行き場のない怒り、喪失感を思うと言葉を失ってしまう。

★ 現代社会の直面するどうしようもない課題を物語として描かれていた。面白かった。

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都市封鎖

2020-01-24 11:10:26 | Weblog
★ 新型のコロナウィルスによる肺炎を封じ込めるため、中国の武漢市が封鎖されたという。伝染病の拡大を阻止するための都市封鎖と聞くとカミュの「ペスト」が浮かんでくる。

★ 「ペスト」の中では凄まじい病魔の脅威と一方で刹那的な快楽を楽しむ人々の姿が印象的だった。人為的な封じ込めの成果もあっただろうが、結局は自然終息を待たねばならなかった。

★ 近年の例では、2002年から2003年にかけての重症急性呼吸器症候群(SARS)が印象に残っている。確か野生動物から感染し、とあるアパートを中心に広がったと薄っすら記憶に残っている。

★ 患者数約8000人。死者数約800人。致死率10%に迫り、近年では非常に高い水準だ。

★ 1918年のスペイン風邪では約4000万人、1957年のアジア風邪では約200万人、1968年の香港風邪では約100万人の死者が出たというから、規模的にはあまり大きくない。しかしそうしたインフルエンザの致死率が0.5%~2%というから、その点からは極めて重症化しやすい疾病と言える。

★ 中国内陸部の都市、武漢。人口は1000万人を超すというから東京規模の大都市だ。日本で首都が封鎖されるとなるとあらゆる機能が阻害される。

★ 中国では春節で人の移動が活発だという。既に他国でも罹患者が報告されている。パンデミックに発展するのか瀬戸際と言うところだろう。ウィルスの変異、強毒化も懸念される。 
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「激動の世界」

2020-01-23 00:08:23 | Weblog
★ NHKスペシャル「激動の時代」(2016年)を観た。トランプ政権誕生直前の世界情勢がよくわかった。

★ 番組は3回で構成されていた。第1回は分裂するEU、第2回は大国への復活を目論むロシア、そして第3回は威信を失いつつあるアメリカ。急速に大国への道を歩む中国が入っていないのは、取材上の障壁のせいであろうか。

★ 「分裂するEU」では難民の受け入れをめぐって分裂、弱体化するEUと台頭するナショナリズム、極右勢力の拡大が取り上げられていた。

★ 「ロシア」では、プーチン大統領のカリスマ性のもと、アメリカの一元的秩序に対抗する強いロシアの復活が取り上げられていた。クリミヤ併合により90%まで高まったプーチン支持、この現状を学生に問うた記者に、「日本でも北方領土を取り戻したらその首相の支持率が上がるでしょ」と返した学生。なるほどなぁと思った。

★ 新しい中学校の指導要領では、「領土」がより一層強調されるようになる。

★ 「アメリカ」では「9.11」以降、世界の警察としての威信を失い、テロとの対決に消耗するアメリカの姿が描かれていた。番組がオバマ政権末期ということもあるが、強いアメリカを標榜する動きも取り上げていた。その後実際、トランプ政権が誕生する。

★ 番組は、アメリカ、中国、ロシアといった超大国によって新たな秩序が築かれることをほのめかして終わっている。パックス・アメリカーナといったアメリカ1強時代から、超大国による新たな帝国主義の時代への移行が感じられた。

★ イスラム教vsキリスト教。根深い精神的な対立を背景に、経済的、軍事的な競争はまるで陣取りゲームのように進展しそうだ。
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「日本の聖域」

2020-01-22 16:11:11 | Weblog
★ 朝日新聞「オピニオン&フォーラム」のページ。今日のテーマは「ゴーンが開けた箱」と題して、海外逃亡したカルロン・ゴーン氏をめぐり諸氏が意見を述べていた。

★ 興味をひかれたのは、自らも逃亡歴のある許永中氏の記事だ。海外逃亡をする心理を自らの体験から述べた後、保釈金さえ払えば釈放される現行システムを批判。中でも面白かったのは日産の再建に成功したゴーン氏がなぜ放逐されたのかというところ。

★ 許氏は「日本の聖域」という言葉で表現している。ゴーン氏が日産を「日本の会社と言えないような形まで持っていこうとした」ことが今回の事件の発端だという。

★ 「日本の聖域」つまり日本の排他性に対して、外国人経営者の感性は鈍いという事らしい。いや、なぜ世界企業として発展していこうとしないのか理解できないのかも知れない。

★ 許氏は「もっとオープンになってもいいのではないか」と締めくくる。

★ 確かに「ジャパン アズ ナンバー1」と持ち上げられて喜んでいる時代ではない。「単一民族」「島国根性」かどうかは知らないが、内向きになりがちな視線を、できるだけ外に向けるようにしなければ、新帝国主義の時代に生き残るのは難しそうだ。
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