じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

吾峠呼世晴「鬼滅の刃」

2019-09-30 13:50:43 | Weblog
☆ 塾生が「鬼滅の刃」のクリアファイルを持っていたので、試しにアニメを見ると面白かった。ということでコミック(集英社)も買ってしまった。

☆ 「少年ジャンプ」連載中。少年の成長、成長に応じて敵もレベルアップ、いくつかの技が登場など、ジャンプの定番路線(「封神演義」「るろうに剣心」「ナルト」など)。今回の敵は「鬼」だ。時代設定が「大正」というのもユニークだ。

☆ 「鬼」に家族を惨殺された竈門炭治郎。辛うじて生き残った妹の彌豆子は鬼と化していた。炭治郎は鬼殺隊の隊士をめざして、「育手(そだて、剣士を養成する役)である鱗滝左近次のもとで修業に励む。

☆ 隊士となった炭治郎には次々と指令が、というストーリー。彌豆子は人間に戻れるのかというのもサブテーマ。(このあたりは「鋼の錬金術師」と共通している)

☆ 「鬼」とは何なのか、考えさせられた。作品の中では異態の生き物として具象化されているけれど、人の心に宿る「悪なるもの」のことだろうね。

☆ アニメ版の炭治郎の声、どこかで聴いたことがあると思ったら、「四月は君の嘘」で有馬公生を演じた花江夏樹さんだ。懐かしさを感じた。
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映画「地下鉄(メトロ)に乗って」

2019-09-29 23:20:29 | Weblog
☆ 「憑神」に続いて、浅田次郎作品、映画「地下鉄(メトロ)に乗って」(2006年)を観た。

☆ ある家族の物語。主人公・長谷部真次は地下鉄の駅で若い頃に亡くなった兄の姿を見る。それから地下鉄を時空のトンネルとして、現在と過去を行ったり来たりする。

☆ 過去に何度も若い日の父親と会う。本当なら時空のパラドックスが起こりそうなものだけれど、それは物語の主題ではないので深く考えないとして、しっとりする作品だった。

☆ みちこが母親と階段を落ちるところは、切ないなぁ。

☆ 喫茶店の場面、浅田さん本人もエキストラで出演されていたのでは・・・。
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佐多稲子「キャラメル工場から」

2019-09-29 19:18:50 | Weblog
☆ 「日本近代短篇小説選」(岩波文庫)から佐多稲子さんの「キャラメル工場から」を読んだ。

☆ 不景気のせいなのか父親は定職に就かず、子だくさんの上に、病人まで抱えることになった。小学5年生のひろ子は父親からキャラメル工場で働くことを勧められる。学校には行かずに。

☆ このシリーズはプロレタリア文学が多い。ちょうど昭和初期というのがそういう時代だったのだろう。不景気によって失業者が増え、やけっぱちになった男たちは酒に走る。そのしわ寄せは小さな労働者を生み、彼らの稼ぎも多くが搾取されている。

☆ 郷里の学校の先生からの手紙。「誰かから何とか学資を出してもらうように工夫して」、「小学校だけは卒業する方がよかろう」とのこと。学校の先生も官僚機構の底辺にいて、自らができることの限界を感じているのであろうが、子どものことを慮っているように見えて。結局はプレッシャーを加えるだけの手紙だ。憤りを感じた。

☆ すべてがひどい時代だ。
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トロッコ問題

2019-09-29 16:12:14 | Weblog
☆ 山口県岩国市の某小中学校で「トロッコ問題」が教材とされ話題になっている。

☆ 「トロッコ問題」と聞いて芥川龍之介に関するものかと思ったが、全く違った。犠牲者が5人と1人の二者選択の場合があり、それが「あなた」の決断に委ねられているとき、あなたはどうするか、というものらしい。どちらにしてもおぞましい結果なので、某小中学校ではスクールカウンセラーを入れての問題になっているらしい。

☆ アングロサクソン系の人々なら、1人の犠牲者を選ぶのではなかろうか。功利主義とはそういうものだ。大統領が苦渋の決断を迫られる映画はいくつもある。

☆ ただその1人が特別な人、ある人にとっては大統領や君主であったり、ある人にとっては家族であったりするだろうが、その時はジャック・バウワーのように「すまない」といって1人の方を選ぶかもしれない。(ドラマ「24」では、テロ組織の脅迫に従ってジャック・バウワーが同僚を射殺する場面があった)

☆ 昔、「人の命は地球よりも重い」といって超法規的措置をとった日本の首相がいたが、今のご時世では理解されにくいだろうね。「人命を最優先に考えたが断腸の思いで・・・」となるんだろうね。(日本でも「捨て駒」といった言い回しはよく使われるが)

☆ 生きていく上で苦渋の選択を迫られる場面は何度もある。しかし、人の命の可否を決める場面にはそう遭遇しない(過失はあるかも知れないが)。どちらに決断しても重い十字架を背負って余生を生きていかねばなるまい。それを、国家の最高責任者ならいざ知らず、小中学生の段階ではちょっと荷が重いかも知れない。(発達の個人差が大きいのではなかろうか)

☆ ところで、三浦綾子さんの「塩狩峠」(新潮文庫)を思い出した。主人公は大勢の命を救うために自らを犠牲にする。宗教的素養を背景にしたとっさの判断だったのだろうが、そういう選択肢もあるなぁ。考えてできることではないだろうけれど、感動した記憶がある。
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O・ヘンリー「警官と讃美歌」

2019-09-28 18:36:15 | Weblog
☆ これもブックオフで買ってきた、「O・ヘンリー短篇集(1)」(新潮文庫)。冒頭の「警官と讃美歌」を読んだ。

☆ 以前、英文で読んだことがあった。冬の訪れが感じられるニューヨーク、ホームレスのソーピーは酷寒の公園から解放されるために、3か月間刑務所に入ろうと試みる。

☆ 無銭飲食、器物損壊、女性への嫌がらせ、公道でのバカ騒ぎ。しかし、警官に逮捕されない。ふと、行き着いたのが教会。讃美歌を聞いて改心。まともに働くことを決意して教会を出たところ浮浪罪で逮捕。裁判で90日間の禁固を言い渡される。

☆ O・ヘンリーの作品を集めたオムニバス映画「人生模様」(1952年)では第1話で描かれていた。主人公がナンパする女性が、マリリン・モンローだったのには驚いた。

☆ 人間万事塞翁が馬、人生いろいろ、思い通りにならないのが人生なのかも知れない。いや、結局、思い通りになったのかな。
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平林たい子「施療室にて」

2019-09-28 17:46:28 | Weblog
☆ ブックオフに行って何冊か本を仕入れてきた。その中の1冊「日本近代短篇小説選」(岩波文庫)から、平林たい子さんの「施療室にて」を読んだ。

☆ 舞台は満州。夫が争議の中、破壊行為をしたために憲兵隊に捕まった。妻である「私」も取り調べを受け拘束されるのだが、臨月の身重であるために病院に送られた。その施療室での話。

☆ 劣悪な病院の環境、診療費を払えない者への出費をケチる院長は、十分な食事さえ与えない。戦場のような出産風景、子どもは無事に生まれたが、「私」が脚気であるために、乳を与えることができない。結局、子どもは栄養不足で死んだ。

☆ 人権が尊重され、経済的に豊かな今の日本から見ると、全く別世界のようだ。ブルジョアジーとプロレタリアートの階級対立がもっと歴然としていた時代の話だ。

☆ 社会主義者を自負する「私」には、サムライのような勇ましさを感じる。共産主義と武士道には共通する何かがあるのかも知れない。

☆ 1927年発表の作品だという。どれほどの読者がいたのかは知らないが、あの時代によく発表できたものだと思う。
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朝井リョウ「もういちど生まれる」

2019-09-27 19:43:31 | Weblog
☆ 朝井リョウさんの「もういちど生まれる」(幻冬舎文庫)から表題作を読んだ。

☆ 「海を分母に、空を分子にしたら、1を超えるのだろうか。泣きたいのを我慢しているような空を電車の窓から見上げると、イヤフォンが少し動いて、耳の中から音楽がこぼれ落ちそうになった。」(176頁)

☆ この冒頭にグッときた。本文中にもステキな表現がいっぱい溢れている。

☆ 梢は今年も大学受験に失敗し、二浪することになった。梢には椿という双子の姉がいる。双子なのに椿とは顔のパーツが少しづつ違っているようだ。それに大学もストレートで合格。いつも人に囲まれて楽しそうだ。梢はコンプレックスを感じている。

☆ そんな梢が企んだ「いたずら」、果たして成功するか。そして、「もういちど生まれる」ことができたのか。

☆ 最後はちょっと感動した。(ちょっとしたことだけれど)
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三島由紀夫「青の時代」

2019-09-27 17:22:48 | Weblog
☆ 映画「白昼の死角」で光クラブ事件を知ったので、続けて三島由紀夫の「青の時代」(新潮文庫)を読んだ。

☆ 光クラブ事件の首謀者・山崎晃嗣を主人公にしている。前半は彼の生い立ちを追い、後半は金融業を始めてからの彼を追っている。

☆ ノンフィクションではないので、事件の事実関係ではなく、主人公の内面に迫ろうとしているのはわかるが、どうも読みにくかった。語彙の豊かさや人物の描き方が面白い場面もあるのだが、全体としては盛り上がりに欠ける気がした。

☆ 担保を強引に取り立てるところも「難波金融伝・ミナミの帝王」や「闇金ウシジマくん」で「毒」に慣れてしまっているせいか、それほど刺激を感じなかった。取り立ての様子を母親やまた従兄弟に見せているところは心理的なサド・マゾを感じるけれど。

☆ 三島が、ほぼ同時代に生き、自らと同じく高学歴の青年をどう見たのかを知りたかったが、私にそれは伝わってこなかった。
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五木寛之「夜の斧」

2019-09-26 20:54:41 | Weblog
☆ 五木寛之さんの「蒼ざめた馬を見よ」(文春文庫)から「夜の斧」を読んだ。

☆ 今では実感が湧いてこないが、戦後、多くの兵士がソ連軍に連行され、シベリアに抑留されたという。今、地方大学の助教授を務める森矢慎吾もそんな一人だった。

☆ 日本に帰ってきて20年。家族にも恵まれ、長女は近々結婚する。そんな時、彼に不審な電話がかかってくる。電話の声は「エラブカから持ち帰ったものは何か?」と尋ねるだけ。彼は無視を続けるが、電話であるいは手紙で、同じ質問が繰り返される。

☆ 読者はこの謎の電話に誘われて読み進める。彼はエラブラから何を持ち帰ったのか。そしてそれが意味するものとは。

☆ 人が追いつめられるというのはこう言うことなのだろうか。泥沼に深く落ちていき、物語は終わる。彼と彼の家族は今後どうなるのか。それは読者の想像に委ねられる。

☆ 冷戦時代の「陰謀」は今も生き続けているのだろうか。
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映画「白昼の死角」

2019-09-26 16:43:57 | Weblog
☆ 映画「白昼の死角」(1979年)を観た。キャッチフレーズは「狼は生きろ、豚は死ね」だったかな。原作は高木彬光さん。

☆ 戦後まもなく、東大法学部生達によるヤミ金融事件「光クラブ事件」を題材にしている。首謀者の鶴岡七郎役は夏八木勲(当時は夏木勲名義)さん。作者の高木さんやプロデューサーの角川春樹さんもちょい役で出ている。今でいうカメオ出演みたいなものか。プロ俳優の演技が熱いだけに浮いているけれど。

☆ ダークヒーローもの。戦後の混乱期ならではの事件かも知れない。結局は自業自得ってことかな。本当に悪い奴らは表には出ず、のうのうと生きていったんだろうね。

☆ 東映らしさも出ていた。
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