じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「愛なき時代に」「君のうた」

2018-05-04 23:01:52 | Weblog
☆ あるスーパーで買い物をしているといい感じの曲が流れてきた。どうやら菅田将暉さんの「さよならエレジー」のようだ。インストラメントにアレンジしてある。

☆ ところでこの曲の感じ、どこかで聞いたことがある。考えてもなかなかわからなかったが、どうやら斉藤和義さんの「やさしくなりたい」のようだ。

☆ コード進行が似ているのかな。似ていようと似ていまいと、聴く方にとってはどちらでもいいのだが。

☆ カノンコードなど多くの曲で採用されているし。演歌などほとんど同じヨナ抜きだ。

☆ 「知床旅情」は「早春賦」と似てるけど、どちらも名曲だしね。

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武者小路実篤「愛と死」

2018-05-04 19:13:59 | Weblog
☆ 恋愛小説の古典ともいうべき武者小路実篤「愛と死」(新潮文庫)を読んだ。

☆ 仏教では八苦の一つに「愛別離苦」を挙げる。愛する人との別れは苦しい。

☆ 主人公の村岡は駆け出しの小説家。先輩作家の家を訪れ、彼の妹・夏子を見かける。宙返りをする活発な彼女に村岡は魅かれていく。昔の恋愛はなかなか進まない。じれったく思えるのだが、進みだすと早い。二人の想いは一気に高まっていく。そんな時、村岡にパリ行きの話がくる。周りからの勧めもあり彼は出発する。帰ってきたら夏子と結婚すると約束をして。

☆ 時代は戦前、昭和10年前後だろうか、外国へは船で行くしかない。180日、二人は日を置かず手紙をやりとりする。文字は恋心を更に盛り上げていく。もどかしい月日の流れ。そして遂に日本へ帰る日が来た。船は神戸港を目指して進む。日本まであと数日と迫った時、電報が届く。それは夏子の急死を知らせるものだった。

☆ 人生の絶頂、「生」の最高潮で「死」と遭遇する。この落差が残酷だ。武者小路は比較的淡々と冷静に筆を進めている。


☆ 私も学生時代、親しくしている人の急死を経験した。朝、彼女の知り合いからもらった電話は今でも忘れられない。昨日まで教室で並んで講義を受けていたのにである。呆然として大学に向かったのを記憶している。


☆ 「愛と死」は何度か映画化されている。私は確か1971年版を観た記憶がある。配役はよく覚えていないが、夏子役は栗原小巻さんだったという。村岡役の新克利さんが最後テニスコートだったか眺めているシーンがぼんやり印象に残っている(間違っているかも知れないけれど)。映画「ある愛の詩」のラストシーン、愛する人を亡くしたオリバーがスケートリンクをぼんやり眺めているシーンとだぶる。

☆ 死んだ人は年をとらず、いつまでも生きる人の心の中で生き続ける。残酷だが、これも人生だろうか。
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森絵都「風に舞い上がるビニールシート」

2018-05-04 16:51:49 | Weblog
☆ 森絵都さんの短編集「風に舞い上がるビニールシート」(文春文庫)から表題作を読んだ。この作品も素晴らしい。描き切ったなぁという感じがした。

☆ 主人公の女性は外資の投資銀行の職を捨て、国連難民高等弁務官事務所に職を得る。そこでエドと出会った。二人はやがて結婚。しかし世界中のフィールド(現場)を飛び回り彼女も外に連れ出そうとするエドと彼を家庭を引き留めようとする彼女との間に溝が生まれる。二人には共有する時間があまりに少なすぎた。そして・・・。

☆ 風に翻弄されるビニールシート。世界には理屈の通らないことが多すぎる。ただそれを傍観できない人がいる。私のような傍観者には何も言う言葉はないが、たとえ終わりのない絶望的な戦いでも、それに挑んでいる人がいることを心に刻んでおきたいと思った。

☆ 素晴らしい作品は情景が目に浮かぶ。良い意味で外国作品を読むような気がした。スケールの大きな視点、細やかな心理描写。惚れる。
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連城三紀彦「恋文」

2018-05-04 10:00:50 | Weblog
☆ 連城三紀彦さんの短編集「恋文」(新潮文庫)から表題作を読んだ。良かった。

☆ 結婚10年。夫婦と小学4年生になる息子の3人家族。「ぼく、決めたから」と、ある日、夫は出ていった。机の上には「恋文」らしきものが。この夫の家出にはある事情があった。

☆ 「子供がお金ももたないで玩具屋の主人に玩具をくれってせがんでいる」ような夫。傍から見ればどうしようもない身勝手な男だが、この男と2人の女の物語。妻が渡した「恋文」とは。


☆ 妻はなぜ夫を赦したのだろうか。惚れた弱みか、それと虚栄(みえ)か。あるいは母性なのか。理屈で割り切れないのが感情。それが人間の面白さであり、豊かさなのだろう。涙や体温の温かさ、手の柔らかさ。感情はいろいろな形となって現れる。
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