じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

松本清張「真贋の森」

2018-05-05 18:11:03 | Weblog
☆ 松本清張「真贋の森」(宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション」文春文庫)を読んだ。昭和33年の作と言うが古さは全く感じない。

☆ 才能があるのに、いや才能があるがゆえに学界の大家に憎まれ、その世界から見捨てられた男が復讐を企てるというもの。

☆ 真贋は直接的には古美術の真贋を意味しているが、それを通して人間の真贋、アカデミズムの真贋を世に問うている。

☆ この男の実に人間的な復讐「事業」は、実に人間的な理由で失敗に終わる。前半は少々退屈だが、「事業」が進むあたりから面白くなった。最後は実にあっけなく終わる。「事業」の失敗とともに。


☆ 時代は流れたが、学界のあり方はあまり変わっていないように思う。「権威」者が人格者であるとは限らない。学者が集まれば何かと人事が話題になるのも昔ながらだ。
コメント