じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

伊藤たかみ「八月の路上に捨てる」

2018-05-19 19:17:50 | Weblog
☆ 伊藤たかみさんの「八月の路上に捨てる」(文春文庫)を読んだ。

☆ 自販機のメンテナンスをしている敦。今日はトラックに同乗している先輩、水城さん(男らしいシンングルマザー)の最終日だ。トラックを下りて総務に転属するという。と同時に、今日は敦にとって離婚日前日でもある。

☆ 敦と水城さんの会話と同時並行で、敦と妻・知恵子との夫婦生活、そして離婚騒動が語られる。離婚というのは結婚の何倍もエネルギーがいるらしい。

☆ 夫婦と言っても所詮は他人。別れるなら結婚などしなければ良いのだが、それも人間の性(さが)だろうね。
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城山三郎「輸出」

2018-05-19 13:05:25 | Weblog
☆ 城山三郎さんの短編集「総会屋錦城」(新潮文庫)から「輸出」を読んだ。

☆ 昭和32年の作品。日本が敗戦から脱却し、高度経済成長のスタートを切った時期だ。この時代、プロペラ機が太平洋を渡っていた時代に、すでに外国で活躍している商社マンたちがいたのだ。

☆ 商社の企業風土にはまだ軍隊の匂いが残っている。承詔必謹のように。重層なピラミッドの機構の中で、数字(マネー)を追って男たちがしのぎを削っている。

☆ その朝、ロサンゼルスに滞在する沖は本社からの国際電話を受けた。カラカスで高い成績を残している小久保という社員が失踪したというのだ。渡米してきた重役の指示を受け、沖はカラカスに飛ぶことになった。

☆ ロサンゼルス、カラカスを舞台に、いくつもの人間模様が展開される。資本主義という大きなカラクリ装置の歯車として。

☆ 「インチキをやれるのが一流商社、それをまねするのが二流商社、インチキもやれないでいるのが三流商社」(71ページ)、印象に残るセリフだ。
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安倍龍太郎「大和に異議あり」

2018-05-19 01:56:15 | Weblog
☆ 安倍龍太郎氏の「血の日本史」(新潮文庫)から「大和に異議あり」を読んだ。西暦527年の磐井の反乱をテーマにしていた。

☆ なぜ、磐井が大和政権に反旗を翻したのか、前史をまとめてみよう。

☆ 463年、吉備田狭の乱

  吉備田狭は愛妻家で妻・稚媛を自慢 → 雄略天皇(第21代)が横恋慕 → 吉備田狭を新羅討伐に派遣し、その間に田狭の妻を奪う  → これを知った田狭は新羅と組んで反乱。百済を攻撃 → 雄略天皇は田狭の子・弟君を田狭征伐に派遣 → しかし、弟君は田狭に  寝返る →  弟君は謀反を恐れた妻によって殺される → 新たに3人の将軍が討伐に派遣されるが戦死や病死する → そうこうし  ているうちに雄略天皇が亡くなる → 稚媛は雄略天皇との間に生まれた子・星川皇子とともに皇位を争い反乱 → 大蔵を占領するが  火を放たれ、稚媛、星川皇子焼死 → 雄略天皇の子、清寧天皇が即位するが5年で病死 → 雄略天皇の血統が絶える。

☆ 平群真鳥誅殺

  平群真鳥が専権をふるい、王になろうとしていた → 武烈天皇(第25代)が皇太子の時代、物部あらかびの娘・影媛を嫁にしよう  とした → しかし、影媛は真鳥の息子。鮪(しび)と既にできていた。 → 不死の無礼を許せない皇太子は連大伴金村に相談 →   大伴金村は兵を挙げ、鮪を討つ → 続けて、真鳥の屋敷を包囲、火を放ち殺害する → 武烈天皇は即位し、大伴金村は大連となる。

☆ 王統断絶 → 継体天皇即位(507年)

  武烈天皇に皇子がいなかった → 大伴金村が越前から応神天皇の五世の孫を迎えようとする → 大和政権内の反対で20年間、大和  に入れなかった → 継体天皇(第26代)即位

☆ 磐井の反乱(527年)

  大和政権は新羅討伐のため6万の兵を派遣しようとする → 新羅と通じていた北九州の磐井が反乱、行く手を阻む → 朝廷は物部あ  ららびを派遣し、1年かけて鎮圧した。

☆ こうした、流れの中で本作品の場面が展開される。歴史はドラマチックだ。
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