議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

自治体焼却炉での産業廃棄物受入へ

2019年05月17日 09時23分35秒 | ニュースクリッピング
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皆さんこんにちは。

一般紙ですでに取り上げられている通り、環境省が市町村に
産業廃棄物を焼却炉で受入れるように要請するそうです。
もちろん、そんな要請がなくても、やろうと思えばやれたのですが、
環境省が財政支援なりもするということで、一歩どころか三歩は
前進です。

一応リンクを。
環境省、自治体に産廃のプラ焼却要請 来週にも通知へ

産廃プラ、自治体に焼却要請へ=中国禁輸で処理進まず-環境省

廃プラ産廃も焼却要請へ 全体の8割 環境省、市区町村に

さて、だからと言って簡単ではありません。
仮に、政治的、法律的な問題が解決されたとしても、自治体側で
実務上対応できるかという問題があります。

まず、
①受入れる産廃の選定
②処理費の設定
③契約手続き(産廃なので市町村が受けるのでも委託契約が必要)
④搬入、運転管理(焼却炉の運転、メンテナンス、焼却灰の処理)
⑤必要に応じて受入停止

特に①、②は実際難しいでしょう。
◇社会的に意義が高いものを優先的に受け入れる
 →マテリアルリサイクルできるものは受けない
 →処理業者からの二次廃棄物を受けたほうが
  滞留対策として有効
◇受け入れ基準
 →忌避成分をどうコントロールするか
◇安くしすぎない
 →食品リサイクル同様、リサイクル阻害しかねない
 →忌避成分があるなら適正処理費をもらう
 →民業圧迫にならないように

③は単に面倒で、手間がかかることでしょう。
④は、産廃焼却の技術的経験が欲しいところでしょうか。
⑤は、停止された業者からのクレーム対応が大変かも
しれません。
 「他の業者のは受けているのに、なんでうちのが
  駄目なんだ」
とかね。


一言で言うと、
「人手とノウハウが足りない」
ということです。


もしやれるのであれば、しっかり処理費を取って、
自治体の財政を支える事業として成り立たせるという
のもありかもしれません。
自治体の焼却炉が、一般廃棄物しか受けないのであれば、
スケールメリットが出せませんし。産業廃棄物も一緒に
やれたほうが、当然効率的ですよね。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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さて、市町村の担当者の方々、これから大変です。
近隣の排出事業者、処理業者からの問い合わせは既に沢山
来ているのではないでしょうか。

今後の推移に注目です。
コメント
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