議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

汚染土、埋設廃棄物問題について

2017年03月13日 14時33分42秒 | 日経エコロジー
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2017年4月号の日経エコロジーの私の記事「土壌汚染と埋設廃棄物」ですが、
注目記事ということでしょうか、表紙にもタイトルが掲載されています。

なにせ豊洲の事件は言うに及ばず、安倍晋三記念小学校とも揶揄される森友学園の
埋設廃棄物の「地中仮置き」という謎の解釈と、根拠資料がない処理費8億円=値引き
の話、実は築地も汚染されているという問題、姫路の中央卸売市場の移転予定地の
土壌汚染の問題、などなど、近年になくこの手のネタがクローズアップされています。


■そもそも、
廃棄物処理法が出来た1970年当時、自社の敷地内に廃棄物を埋めたり、汚染物質が
こぼれて地面に浸み込んだとしても、社外の水や大気を汚染するのではないから
特に問題はないと考えることが多かったようです。

廃棄物処理法の施行後もしばらくは小規模な埋立処分場は許可が不要だったため、
廃棄物を地中に埋めることは不法投棄でも違反でもなく、地上に放置していない
ぶん、むしろ好ましい処分方法だったのでしょう。

要は、昔いい加減だったけど、今になって工場の閉鎖や移転と跡地の売却が進み
地中に隠されていた廃棄物や汚染土壌が表面化し、各地でトラブルが発生して
いるのです。


この手の問題は、当然政府や自治体が関係すると表面化しやすいですが
(当然そうあるべきですが)、実は民間でも沢山トラブルになっています。

例えば、今回の日経エコロジーで取り上げたアスベストの問題。
ヤマトが荏原から買った土地にアスベスト片が混じっているということで、
アスベストの撤去費用を請求しているのですが、
荏原曰く
「都内のあちこちの公園のアスベスト交じりの土より、よっぽどマシなんだから
 それを取り除いたのは、そっちの勝手でしょ?」
ということです。

この事件、どちらの言い分ももっともなのです。
問題の根源は、アスベスト対策がいい加減だったから、汚染が広がってしまって
今になって問題が表面化しているということです。

 購入側「ちょっとでもアスベストがあったら許せない」
 売却側「それくらいアスベスト混じってても普通じゃん」

ちょっとのアスベストでも除去すべし、という判決になったら、都内の公園の
あっちもこっちも、全部掘り起こしだ、みたいな話になりかねません。
それを懸念して、一審で敗訴した荏原は控訴しているそうです。

土壌中の廃棄物は、どこまで分離すべきなのかにも関わります。
注目しましょう。


そういえば、森友学園で廃棄物交じりの土壌をあんな簡単な作業で
分別したって細かい廃棄物の欠片など取り除けるわけはないのです。
しかし、土壌からの廃棄物の除去基準がないので、あんなやり方が
映像に出ても「違反!!」と言えないのです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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建材中のアスベストを処理しようとしたら、いい加減だったために
建設残土中に混入して、あちこちに汚染が広がってしまったというこ
とですね。

原発関連の廃棄物がそうならないようにしなければなりません。

最終処分場が決まっていない放射性廃棄物を40年以上も出し続けているとか、
恐ろしいほどお気楽で、頭がクラクラします。
そろそろ、結論を出さなければならないのですが・・・。

■そうそう、廃棄物処理法の改正案が出ました!!
http://www.env.go.jp/press/103794.html
廃棄物以外のものへの規制をすると明示されました。
ある意味、廃棄物処理法にとってエポックメーキングです。
コメント (1)
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