議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

ウエス+廃油or重金属

2009年09月29日 05時56分41秒 | コンサル日誌
 天然繊維で出来たウエスで、廃油や、場合によっては鉛、クロム、有機溶剤、砒素その他重金属などを拭いている場合があります。これは一体何になるのか(何にすべきか)ということがよく問題となります。

 まず、天然繊維で出来たウエスは下記の通り特定の業種から出ているのでない限りは一般廃棄物になります。ということで、以下一般廃棄物として検討します。
***施行令第2条******
繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
***************

事例①:これに廃油が染み込んでいるのですから、一般廃棄物と産業廃棄物の廃油の混合物ということになります。つまり、一般廃棄物の許可と産業廃棄物の廃油の許可を受けた処理業者に委託することになりますが、なかなかそんな業者は市内で見つからないんですよね(一般廃棄物の市外持ち出しについてはこちらの記事参照)。市町村(一般廃棄物も産業廃棄物も処分できます)に委託できればいいのですが・・・。

→えい、面倒だからウエス部分は無視して、廃油として委託しちゃおう。

事例②:事例①のようなケースならまだしも、廃油に重金属が含有しているので特管産業廃棄物になるはずです、、、が廃油は重金属含有では特管にならないんですよね(→特別管理産業廃棄物の判定基準を参照)。じゃあやっぱり、一般廃棄物と普通の産業廃棄物の両方の許可があればOKということですね。

→とはいえ特管にしたほうがよさそうなので、重金属含有の特管汚泥とみなしちゃえ。

事例③:いやいや、廃油と言っても溶剤をふき取ったもので、それはもう蒸発(VOC排出済み!!)しているので、廃油はなくなっています。問題は溶剤に溶けていた重金属ですね。でも、一般廃棄物は重金属が単に付着しているだけでは特別管理一般廃棄物にはなりません。ん??重金属単体なら、金属くずになるのかも。。。でも、金属くずは特管にならないんですよね。

→うーん、やっぱり重金属含有の特管汚泥にしちゃえ。理由??いや、だって、困ったらみんな汚泥にしてるじゃん。泥状でなくってもさ。

■注意!!
・本来は、“事例○”以降のつぶやきが法律上正しい考え方に近いので、これを踏まえたうえで、該当する種類(廃油、繊維くず、重金属など)の許可“も”持っている業者に委託するべきです。
・上記“→”のコメントは良くある運用でもあり、これが重大な違反とされたケースは多分ないと思いますが、法律上は問題があるといえそうです。業界内の商慣習として確立してしまっている感があるので、それもまたひとつの解釈、という考え方もできるかもしれませんが。。。

以上、ご参考まで。
コメント
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