議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

地球温暖化と廃棄物問題

2008年01月23日 05時36分40秒 | 持続可能社会
温室効果ガスも廃棄物も、排出者にとって不要なものであることには変わりがありません。今問題になっているのは、不要だからといって無制限・無秩序に放出してはいけない、ということです。

廃棄物のほうが一定の場所にとどまりやすく、問題が発生した場合にはそれを除去しなければならないという特徴があります。そのため、汚染原因者を個別に特定することが可能で、責任の所在が明確です。法規制も厳しく、汚染原因者は厳しく糾弾を受けることになります。
一方温室効果ガスは、気体であるが故に地球全体に拡散します。したがって個別の被害について原因者を特定するというより、排出量に基づいて責任の重さを計ることになります。廃棄物と異なり、重さの多寡はありますが責任が全世界に分散しており、現時点で原因者に対する厳しい罰則はありません。

と考えると、廃棄物の排出者責任はかなり厳しく、実際のところ温室効果ガスよりずっと管理は進んでいます。しかし、不要なものを他者に迷惑がかからないようにどう処理するのか、という観点は共通なわけです(つまり、外部不経済の話なのですが・・・)。

おそらく、温暖化の問題に対処できるような社会では、廃棄物の問題も十分に対処されているはずです。根っこが共通なのですから。私としては、この根っこを変えていかなくてはならないと思うのですが、まだまだそのような動きができていません。今年の私のテーマのひとつと考えています。
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NHKスペシャル

2008年01月15日 05時48分58秒 | 持続可能社会
我々が今世紀に直面する問題は多岐にわたっています。温暖化の問題はもとより、人権、貧困、紛争・テロ、資源枯渇などなど、困難な時代を迎えることは間違いありません。
しかし現時点で我々がこれらの問題に十分本気で取り組んでいるかというとそうは思えません。どこかの段階でハタと目覚めて、個別の利害関係を超え、人類共通の利益に進んでいくというスイッチが入らなければならないと思います。

地球温暖化の被害が本格化してからそのスイッチが入るのでは遅いと思っていたのですが、それより先に世界的な大問題に直面するかもしれません。最近忘れつつあったのですが、「H5N1型新型インフルエンザ」の脅威です。先週末ニ夜連続でNHKスペシャルが取り上げていました。第一部はドラマ形式、第二部では現状の課題を取り上げていました。特に第一部のドラマは、確実に起こる近未来を描いたものとして、なかなかの迫力がありました。(1月15日、16日に再放送予定がありますので、見逃された方は是非)

「世界共通の敵である」、「大きな社会的混乱が起こる」、「誰もが生命の危険にさらされる」というショックは、人類の思考回路と行動に大きな影響を及ぼすような気がしていますが、皆さんいかがでしょうか。
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マイバッグのコンテストがありますが

2007年10月23日 05時54分30秒 | 持続可能社会
 少し前に発表されたものですが、「平成19年度わたしがつくったマイバッグ環境大臣賞」のインターネット投票が募集されています。マイバッグ運動は、悪いことではないと思いますが、個人的には環境省のある意味「自己満足」に近いものがあると思います。

 省資源や温暖化の問題を考えるのであれば、レジ袋の削減よりもっと効果の大きな取り組みがあります。ポイントは、「もっと消費を抑えましょう」、ということなのですから。環境省はそれを分かっているのですが、そのような運動に対する理解が得られないからやっていないのでしょう。携帯電話の買い替えは控えましょう、車に乗るのはやめましょう、なんて国民運動をできるはずもなく。。。

 しかし、それほど遠くない未来、少なくとも私が退職を迎えるずっと前の段階で「消費を抑えましょう」運動が起こるのではないかと思います。その時に、企業、特に製造業はどのような対処をすべきなのか、そろそろ考えてもよいのではないかと思います。

 レジ袋の次に来るのは、さて、なんでしょう。
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豪快な号外

2007年06月26日 05時35分23秒 | 持続可能社会
 面白いものをもらいました。豪快な号外という名前で、要は地球温暖化についての未来予想と対策についてポップ?に語っている新聞です。IPCCの報告を元にマンガで未来予想をかかれると、ちょっとショッキングです。

 30秒で世界を変える30のチェックリストなどは、今後の消費者の動向に関係する可能性がありますが、企業はこの動きにどう反応すべきなのでしょうか。商品開発の方針に関係するわけですが、これって結局CSRにつながるのだと思います。
 例えば私個人としては「フェアトレード商品をコンビニにおいて欲しいな~」と思います。セブンイレブンさん、どうですか?うまく販促したら、売れるのでは?

 それにしてもバナナペーパーなんて初めて聞きました。皆さん知ってました?
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おもちゃのキーホルダーのリサイクル

2007年05月21日 05時42分21秒 | 持続可能社会
 家電リサイクル法の課題として、回収した廃家電が海外に輸出されてしまうという問題があります。(これを、見えないフローというのですが、関連の資料はこちらにあります。)

 家電量販店がこの件で摘発されているのは、周知の通りです。で、このたび第9回目のWGが開かれることになりました。

中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルWG合同会合(第9回)

 さて、今日は多少これに関連して、「もっと楽に回収ができるようにならないのか」という話をしたいと思います。

・・・
 昨日レストランのジョナサンで食事をしました。しばらくすると、子供が遊びたいと騒ぐのでレジ近くのおもちゃ売り場へ連れて行きました。あれこれ商品を触って遊んでいるので、何も買わないのは申し訳ないと思い(ジョナサンにしてやられただけかも…)、ガチャガチャで小物を買いました。
 ミニーマウスのキーホルダーで、スイッチを入れると光るというものです。説明書によると、「電池が切れても交換できないので、電池切れ後はキーホルダーとしてご利用ください」とのこと。

 ということは、電池は取り出せない=事実上リサイクルできない、ということなのでしょう。電池の回収は自治体か電池工業会がやっていますが、これでは電池としてのリサイクルルートはないでしょう。他にも、腕時計、携帯音楽プレーヤーなど、燃えないごみです。
 これは「メーカー側が回収の努力をしていない」というより前に、廃棄物処理法の問題です。回収するためには一般廃棄物処理業の許可が必要と考えられるからです。「これは廃棄物の回収ではないのだ!!」ということで、はらを括っている会社もありますが、こんな中途半端な状態ではいつまでたっても回収が進みません。特にレアメタルが勿体ありません。

 ということで、回収対象品目を拡大する方法でもよいですが、回収しにくいような規制の在り方を何とかして欲しいものです。特定の品目については、メーカーが特に許可なく回収しても構わないとか。資源小国の政策としては、今のシステムはおかしいと思います。
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不適正保管・処理のやめさせ方

2007年03月26日 05時32分18秒 | 持続可能社会
 処理業者が大量の保管をしていたり、処理方法が適切でなかったりする場合、これをやめさせるために最も効果的な方法はなんでしょうか。改善要望をする、苦情を言う、行政へ相談、刑事告発、民事訴訟等があると思いますが、こんな方法はいかがでしょうか。

 それは、仕事が来ないようにプレッシャーをかける、という方法です。それも複数の排出事業者からのプレッシャーです。

■排出事業者間で協力を
 処理業者がどの排出事業者の廃棄物を受け入れているのかは、ほとんどの場合何らかの形で行政が把握しています。事前協議であったり、年間の処理実績報告を受けているからです。それを、情報開示請求によって入手し、主だった排出事業者間で情報共有します。
 排出事業者は、連名で改善要望を提出し、改善されない場合には取引を中断する旨通知するのです。ちょっと大変なことですが、最も効果的な方法だと思います。(実際にこれが行われたという話は知りませんが。)

 もっとも、こんな苦労をする前に、自社との取引を打ち切るのが楽なんですよね。それより楽なのは、最初から取引をしないように、処理業者の選定時にはよくよく注意をすることです。
 ただ、他に処理業者が存在しないなど、簡単に取引をやめられないケースがあります。そのような場合には上記のような方法を検討すべきかもしれません。

■住民の立場で言うと
 思ったのですが、住民の方の立場から考えると、排出事業者に対してこのような動きを促すということが考えられます。実際、排出事業者に対して、処理業者と取引を停止するように要望を出しているケースはあるかもしれません。何しろ、排出事業者より切実な問題ですから。
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ゴア議会証言

2007年03月20日 05時39分06秒 | 持続可能社会
 アメリカで民主党が力を伸ばし始めています。元副大統領のゴア氏が、温暖化に関してアメリカ議会で証言をするとのことです。映画「不都合な真実」のヒットの影響もあるのでしょう。こうなると、イラク戦争の件も含めて共和党が完全に悪者と化しているようにも見えます。

「不都合な真実」を議会証言へ=温暖化問題で21日-ゴア氏

 日本の目標達成よりもアメリカの温暖化対策のほうが、個人レベルで見ても、地球レベルで見ても重要だと思いますので、今後の動向に注目したいと思います。ただ、これですぐに変化が現れればいいのですが、政権が変わらない限り難しいかもしれません。それより、次期大統領選挙の重要テーマとして挙げられることを期待したいと思います。
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不都合な真実を観ました

2007年03月15日 06時02分35秒 | 持続可能社会
 遅ればせながら、今回のリフレッシュを利用して「不都合な真実」を観ました。既に市販の本に簡単に目を通してはいたのですが、映画の迫力は違いました。

 特に、ゴアさんの語り口がよいのでしょう。正に訴えかけてきました。見習いたいものだと本当に思いました。

 ここで私が内容をどうこう説明しても仕方がないので、それは実際に見ていただければと思います。ポイントとなるメッセージは、「しっかりと現実を直視して、行動を変えましょう」ということだと思います。

・・・・・
 私は、「それほど悪意のない行動であっても、大変な結果をもたらしているということを認識して、行動を変える」ことは、これからの我々にとって必要なことだと思います。温暖化防止ももちろん、廃棄物の問題もそうですし、その他の多くの社会問題を解決するためにも、このような意識が必要です。

 例えば、コスト削減のために、非正規社員の採用をすることがあります。その選択には、ほとんど悪意はありませんし、現時点で法律上問題はありません。しかし周知のように非正規雇用を拡大することで、社会の格差拡大を招きます。
この問題に関して、最低賃金を1000円/hに引き上げるべきだという議論があります。最低限の生活を維持するためには、今の水準では不十分だとの理由です。ところがこれに対して、産業界からの反対があるようです。諸事情あるのはわかりますが、経済発展のために環境を犠牲にしてきた論理と同じように思えます。

 と、今日のところはここまでとしましょう。単なる映画鑑賞の報告が、長くなってしまいました。
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持続不可能な教育

2007年01月26日 05時38分32秒 | 持続可能社会
 1/27の東洋経済をお読みになったでしょうか。

 「ニッポンの教師と学校」というタイトルで特集記事が組まれていました。医療現場の労働条件がひどいということが最近話題となりましたが、教育の現場も相当ひどいようです。時給1000円のワーキングプア先生(生活保護を受けているそうです・・・)がいたり、過重労働とストレスで自殺する先生がいたり、親がむちゃくちゃなイチャモンをつけてきたり。なんと教師の8割が「もう仕事を続けられないと思う」ことがあるらしいです。教育現場が持続不可能なものに見えてきました。

 持続可能社会を実現するためには、当然教育が重要なテーマとなります。しかしこんなことでは、質の良い環境教育に取り組む余裕はないでしょう。

■解決策
 予算をつけるように働きかける等、いろいろなアクションが考えられると思います。個人的には学校に出向いて環境教育をやりたいと思っています。自分が直接サポートに動くのが一番です。会社に勤めながら子供の環境教育に携わっている方、いらっしゃいませんか?
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持続可能社会になってない!!

2007年01月10日 23時50分46秒 | 持続可能社会
 昨日の類似タイトルの記事に引き続き、やるべきことをやっているのか、ということで環境省のちょっとした資料を見てみたいと思います。

持続可能な地域づくりのためのガイドブックというものがあります。例えばこれの「持続可能な地域づくり」を進めましょう(プロセス編)の最後のページに、行政、民間団体、住民・事業者のそれぞれの役割が以下の通りまとめられています。

*抜粋*******************
④ 各主体の基本的な役割

○地方行政の役割
地域づくりにおける主たる、「きっかけづくり」「推進者」「取組の調整者」としての役割
各段階において、地域住民、事業者、民間団体に対して率先行動による推進と他の主体の行動を促し調整を行う役割。
○民間団体の役割
地域づくりにおける・きっかけづくり・調整者としての役割
取組の方向への提言や、住民、事業者の代弁者として行政との調整を行う役割。
さらに、住民・事業者間の調整を行う役割。
○住民・事業者の役割
地域づくりにおける主役
日常生活や事業において環境に配慮した行動をし、環境保全の取組に参加する
地域づくりにおける主役として行動する役割。また、自らの職業の場における環境配慮の提言、実践を行う主体としても重要である。
****************

そう、住民が主役なのです。当たり前すぎて、異論を挟む余地がありません。しかも都合の悪いことに、この世に生を受けたならば住民ではない人はいません。

みなさん、地域づくりにおける主役として行動してますか?私は全くしてません。これではいけない、と思うのですが、いかがでしょうか。時間がない、とか言い訳している場合ではないはずです。
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