議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

転職してほぼ2ヶ月が経ちました

2016年05月13日 00時52分50秒 | コンサル日誌
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議論de廃棄物の読者の皆様、こんにちは。

前回の転職のご挨拶から、2ヶ月少しが経ちました。
「ニュースレター出します!!」などと言って読者登録をお願い
したにもかかわらず、ここまで全く音沙汰なく申し訳ありません。

グループ22工場、小型家電の委託先がさらに22工場、業務提携先を
含んだらどれくらい工場、事業所があるか分からないのですが、
ようやくグループ22工場の半分強に訪問したところです。

スクラップの業界は産業廃棄物の世界とはやはり違うことが多く、
毎日が新しい刺激で一杯です。とはいえ、産業廃棄物も扱って
いますし、同じ資源循環の業界でもあります。
有価物の世界にフィールドを拡大しながらも、これまでの知識、
人脈が生かせるので、やれること、やりたいことだらけです。
早くも「誰か手伝いに来てくれ~!!」という気持ちです。

5月いっぱいかけて足元を固めて、そろりそろりと足を踏み出そうと
思います。環境新聞の連載でも言っていますが、有価だろうと
無価だろうと、産業廃棄物だろうと一般廃棄物だろうと、
区別のない資源循環の世界を作るのが一つの目標です。

ニュースレター開始まで、まだまだもたつくと思いますが、私の
気まぐれな個人ブログではなく、会社としてやるものですので、
必ずやります。

ということで、まだの方は是非ご登録を。

■スズトクホールディングスのウェブページより
ニュースレター(無料)のお申し込みを受け付けしておりますので、
是非ご登録お願いいたします。
http://www.suzutoku.co.jp/ho/news/newsletterentry.html

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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2回連続でただの近況報告だけでは申し訳ないので、転職を期に気付いた
ことをお知らせしたいと思います。

■有価物でも埋立アリ??!
スクラップなど、有価で売却したものは廃棄物としてカウントして
いないことが殆どだと思います。そして、「100%リサイクル」という
扱いにされていると思います。何せ、売れている=有価物なのですから。

しかし、有価で売れてもモノや、やり方によっては半分以上が単純焼却や
埋立に回ることがあります。そんなこと考えれば当たり前のことだったのに、
迂闊でした。もちろん、手間をかければ、リサイクルに回る率
が増えます。
排出される側としては、有価物のリサイクル率などほとんど意識して
いないのではないでしょうか。

同じ物なのに、
○売却=無条件でリサイクル率100%
●処理費払う=リサイクル率を確認
なんて、ナンセンスだと思いませんか?

さて、あなたの会社のゼロエミッション、有価物の焼却・埋立処分の
実態をきちんと把握して、カウントしていますか?
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俳棄物処理句

2015年12月03日 13時19分56秒 | コンサル日誌
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ご無沙汰いたしております。
しばらく更新をしなかったのは、ネタがなかったからです。

今年は法改正もなく、いや、ありましたが、産廃の処理に関しては
微妙に水銀が変わった以外は、ほとんど特筆すべきものがありません
でした。

ということで、エコプロのネタにもなかなか困っていたのですが、
おかげ様で参加申し込みは好調です。

今回は、前回のご紹介の後に決まったお土産についてご案内します。


まず、上智の織先生、10月にできたばかりの冊子を会場で配布して
いただけることになりました。

 「廃棄物」ではなく「資源」に

という冊子です。「循環資源法制研究会」のメンバーの方が編集されて
います。

まだあまり広くは配られていません。これも使いつつ、お話しいただく
ことになります。

さらに、私が環境新聞に連載しているということで、連載記事が
載っている号を見本に全員に配布していただくことになりました。
もちろん、環境新聞さんの購読申込み書も一緒ですが。

ということで、お土産が、冊子と環境新聞の2点あります。
あと、残り8席です。お早めにどうぞ。

http://www.amita-oshiete.jp/seminar/entry/002284.php


■そして、今年ちょっとだけムリヤリ作ったネタをご紹介します。

題して〔俳棄物処理句〕です。

まずは、これから。

 「廃家電 有価買取 許可不要」

ま、みんなそう思いますよね。

 「廃家電 有価買取 でも産廃?」

これは、環境省通知「使用済家電製品の廃棄物該当性の判断について」
をネタにしています。この通知の3ページ辺りをご参照下さい。


 「ごみの山 なぜか楽しい 処理施設」

やっぱ、現地確認って、楽しいよね、という気持ちを表しています。

 「廃掃法 できないルールは 守れない」

できないことは、どんな厳しいルールにしても、守れないのである。

 「ボールペン ホントにこれって 産廃か?」

意味の分からないことをルールにすると、そのルールはまともに
相手にされなくなる可能性があります。

 「トラックだ 表示はどこだ 職業病」

職業病というより、担当者であれば、子供と街中を散歩している
時でも、それくらいの条件反射は出るようになって欲しいものです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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俳句、どうでしたか?

よく見ると、関係者しかわからない内容になっていました。

これらの俳句の意味が分からない方は、まずは基礎から勉強する必要
があるでしょう。
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廃棄物の管理会社って、どうよ?

2015年05月14日 10時13分11秒 | コンサル日誌
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管理会社とは、廃棄物の排出関係の管理を代行する会社のこと、
と言っていいでしょうか。いろいろなタイプがあるようです。

アミタがやっている「廃棄物管理ベストウェイ」も、アウトソーシング
を謳っていますが、いわゆる廃棄物の管理会社と業界としては重複します。

そんな中、ベストウェイの営業担当経由でいろんな噂を聞きます。
気になる噂が多く、この際ダメな管理会社の事例を集めてみました。

以下に羅列します。管理会社の選び方の参考にしてください。

■ダメな管理会社とは

<提案時>
○契約内容がざっくりしている。
・業務委託の内容があいまいで、責任範囲がはっきりしない。
 いざというときに、責任逃れがしやすいようになっているのか?
 そもそも業務内容をしっかり精査、定義していないからか?

○営業時に、ひたすら現状よりも処理費削減を提案してくる
・処理費削減の提案は切り替えのよい理由なのでわからなくもないですが、
 それ以外の管理内容の説明に乏しい。

<業務品質>
○属人的な業務品質
・組織的な業務品質になっておらず、担当者が変わると対応品質が変わる。
 担当者教育のあり方に注意を。
 
○担当者が頻繁に変わる(退職する?)
・従業員を酷使しているからか?残業手当など支給していないことも多い。
 当然業務品質にも影響する。

○そもそも業務品質が低い
・契約書・マニフェストとも不備が多い。プロの管理会社に任せているから
 監査対象から外すなど、言語道断。
→処理委託契約書の記載内容、返送マニフェストの記載内容、許可証の
 更新管理など要チェック。

<不適法処理を奨励>
○契約書未締結でも出してしまう
・順法寄りに管理すると手間なだけに、現場寄りの楽な運用に流れてしまう。

○産業廃棄物を一般廃棄物で出してしまう
・管理も楽、処理費も安上がりになるが。。。

○特定の処理業者とつるむ
・排出事業者と処理業者の双方からマージンを得ていて、マージンの多い
 処理業者に便宜を図る。排出事業者に処理業者の選択権がない。

■超手前味噌な話

産業廃棄物の処理業界は、ひところよりだいぶマシになってきました。
しかし、管理会社の業界?はなかなかひどい状況です。ここがよく
ならないと、処理業界のより一層のレベルアップにつながりません。
排出側がいい加減だと、受ける処理業者側もマジメにはやってられ
ませんから。

ということで、良い管理会社、アウトソーシング会社の例として、
アミタの「廃棄物管理ベストウェイ」をご紹介します。


営業担当の営業トークではなく、「そこまでマジメにやってんの?」
と、私が聞いた範囲での実感で書いています。

本ブログ始まって以来(たぶん)の100%手前味噌な話です。

○アウトソーシングの内容がしっかり定義・契約されている
・業務内容の分析をしたうえで、あるべき業務フローを確立し、
 それにのっとった業務のアウトソーシングをしている。
→「廃棄物管理業務見える化サービス」というのでやっています。
 現状の管理会社の業務内容のチェックにもなると思います。

○排出者責任を果たす支援に徹する
・廃棄物管理のプロとしての、ノウハウ、情報を提供する。
 順法方法を提案、処理業者の調査結果を提供し、判断は排出事業者
 に仰ぐ形を徹底している。
→たまに担当者が私のところに相談に来ますが、
 「ベストウェイって、そんなことまでやってんの?」
 と感心しているところです。

○手間暇かけてます
・ご提案から運用開始まで3か月~6か月で運用実施、ということで
 真面目に業務を移行するなら、それくらいかかります。
 既存の契約書の内容もチェックしたうえでの引き継ぎですから。

 ですから、
 「じゃ、来月からお宅に切り替えるんで、よろしくね」
 という話ではありません。

 いわゆる、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を、
 ITと人的管理のハイブリッドでやっています。
 経理とか人事とか給与計算とかコールセンターとかのアウトソースの、
 廃棄物管理版です。

○高い
・サービス価格も多分高いんだと思います。
 リサイクル率も高いはずです。
 コンプライアンス品質も高いでしょう。
 安心感も高いです。
 枕も高くできるはず。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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「廃棄物管理ベストウェイ」は、コンプライアンス意識の高い大手の
排出事業者から、相談が沢山来ています。導入チームが対応できない
レベルに達する前に、お早めにご相談ください。

廃棄物管理ベストウェイ
 
また、「e-廃棄物管理」からの移行もスムーズですので、その点も
ご心配なく。

参考:e-廃棄物管理
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2014年はどんな年でしたか?

2014年12月26日 09時04分47秒 | コンサル日誌
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2014年、世の中では色々なことがありましたが、廃棄物処理の世界では、
法改正がなかったこともあり、ほとんど無風でした。私個人にとっても
それほど大きな変化はない年でした。

巡航速度で進んできた、という印象です。

そんな中、あえて事件を挙げるなら、やはりアイダ設計でしょうか。
http://blog.goo.ne.jp/jizokukanou/e/ea5fc3b28369801f219ebdb03e6a0ae9

ただ、建廃の業界では注目事件ですが、小粒感は否めません。

こんな年は、廃棄物管理それ自体への注目度が下がるため、セミナーニーズも
普段より高くはありませんが、こんな時こそしっかりと教育をして足元を
固めておくべきなんです。

ということで、セミナーの本数は、昨年の94本から102本に増えました。
繁忙期には、スケジュールが合わないためにアミタ社内のスーパーサブが
出動したりしましたので、さすがにこのあたりが上限かもしれません。

なんて言いながらも、来年は110本が目標だったりするのですが。
行けるとこまで行きます。

■目標は・・・
今年の目標のひとつに、「大学で教鞭をとる」があったのですが、
法政大の大学院でそれが実現しました。ある方の助力のおかげです。
ありがとうございました。

いつか母校でもやりたいなー。


来年は、テレビに出る、というのが目標です。正確に言えば、少し出たことは
あるのですが、ちゃんと出たいと思います。昨年よい機会があったのですが、
流れちゃいましたので。。。

いや、テレビ、というより、業界の枠をもう少し飛び出たい、と言った方が
正しいかもしれません。廃棄物の世界のこと、問題を、業界の外の人にも知って
もらいたい、という気持ちです。それがないと、廃棄物処理法の抜本改正が
進まないような気がしています。

たとえば、

「ゴミは、分別して資源としてリサイクルしましょー。」
「でも、リサイクルするからって、ゴミはゴミなんだけどね。」
「え?リサイクルできるものが、ゴミだっていうの?
 混ぜればゴミ、分ければ資源っていうじゃない。」
「売れないものは、資源として有効利用できても、ゴミなの。」
「えー、じゃあ学校で教えてることが嘘だっていうの?」
「そうそう、学校では法律違反をそそのかしているから、
 気を付けるんだよ。」

これ、初心者の方は、毎度間違える概念です。
でも、業界の中にいるとこれが変だと思わなくなっちゃうんですよね。

そろそろ、廃棄物処理法を一般常識、グローバル基準に合わせましょう。
廃棄物処理法はガラ法(ガラポー、と読みます。必要に応じて、
妖怪ウォッチのメロディーに合わせて歌います。)になってます。

少なからぬ外圧が必要です。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今年も今日で仕事納めです。

皆様、インフルエンザなどにかからぬよう、体調には気を付けて、
どうぞよいお年をお迎えください。

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エコプロでセミナーやります

2014年11月28日 11時04分24秒 | コンサル日誌
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ようやく、10月、11月のセミナーラッシュが終わりました。
この2か月で27本のセミナーがありました。やれやれ。

12月に入ると一気にセミナーは下火になりますが、おかげで
エコプロ同時開催のセミナーと、法政大の講義の準備時間が
ちゃんと取れます。

・エコプロセミナーはこちらから

エコプロセミナーのネタとしては、
 1.注目事例の紹介
 2.とある制度について
 3.来年見込まれる改正
 4.発注者が建設廃棄物の排出事業者となれるか=結論
 5.その他秘密のネタ
を盛り込みます(上記は、私の担当部分だけですけど)。

3.では、水俣条約と水銀廃棄物規制の話も扱います。
パブコメが出ていますのでご覧ください。改正の方向性が分かります。
よかったらコメント出してみてください。

「水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)について


【水俣病について】

環境省は、最高裁判決で水俣病認定基準が否定されたのに、
まともに認定基準の改定をしないできましたが、水俣条約締結の影響が
あるのか、最近動きが出てきています。

とはいえ過去の揉めに揉めた経緯を踏まえれば、これで解決に向かうとは
正直あまり期待していません。

昨日も申請9件に対して、8件が棄却されました。普通に考えればこれまで
483件の申請があって、認定されたのが33件というのは、厳しいように
感じます。棄却された340件は、嘘か勘違いによる申請だというの
だろうか???
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18963

それに、水俣条約では「水俣病の教訓を」と言いながらも、いまだに
国主体での健康調査をやっていません。このことだけからも、前向きに
取り組んでいないことがよ~くわかります。

泥沼化する水俣病問題については、NHKの時論公論が分かりやすく
まとめています。

環境省の職員の方は皆さん真面目でちゃんとしていることは知っている
のですが、省としての対応がなってません。水俣病に対するこれまでの国の
対応は大いに問題があります。どうしてこうなるのか、残念なことです。
でも、原発事故の対応もそうですが、ほかの省庁の失態の尻拭いが多く
環境省の方のモチベーションが下がりそうで、これも心配です。

なんて話は、エコプロではしません。あくまで廃棄物中心の話になります。

ふるってご参加ください!!
(今年はエコプロのチラシには掲載されていません。下記からお申し込み
 ください)

★☆エコプロダクツ2014で「廃棄物管理セミナーと廃棄物管理者検定」を同時開催


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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
浜松市がマニフェストを交付しなかったとか、死んだ犬が不法投棄されたとか、
アダルトビデオ500本が不法投棄されたとか、いろいろなネタがあるには
ありますが、これらは排出事業者として特に知っておくべき事例とは言えない
ので、エコプロセミナーでは触れません。キリがないですからね。
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廃棄物の委託にSDSは必要か?

2014年06月30日 17時41分08秒 | コンサル日誌
労働安全衛生法が6月25日に改正されました。これを受けて、2006年12月26日の記事に少しだけ手を加えたものを改めて新しい記事としてアップします。



****以下、以前の記事+ちょっと修正です*************
 先日、「排出物を販売する場合、化学品としての表示は必要なのでしょうか」という質問をいただきました。最近少し話題のテーマです。

■GHSとは
 さて皆さん、GHSというのをご存知でしょうか。化学品の表示を全世界的に統一しようという動きです。これに関係して最近労働安全衛生法が改正されました。詳しくは下記サイトをご覧ください。

改正労働安全衛生法(GHS関係)情報

 これによると、化学品の容器への表示とMSDSの内容が、GHSの関係で追加になったとのことです。つまり、表示しなければならない対象物は追加されていないのですが、表示内容が変わったのです。ところがこれを機に、「実は有価物にもこれの表示が必要なのではないか」という疑問を持つ方が出てきたようです。

■条文はどうなっているか
そこで、条文をあたって見ます。特に関係があるのが、見出しを赤字にした条文です。

労働安全衛生法より抜粋
**************
(製造等の禁止)
第五十五条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
(製造の許可)
第五十六条 ~省略~
(表示等)
第五十七条 爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物若しくはベンゼン、ベンゼンを含有する製剤その他の労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は前条第一項の物を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に次に掲げるものを表示しなければならない。ただし、その容器又は包装のうち、主として一般消費者の生活の用に供するためのものについては、この限りでない。
一 次に掲げる事項
イ 名称
ロ 成分
ハ 人体に及ぼす作用
ニ 貯蔵又は取扱い上の注意
ホ イからニまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
二 当該物を取り扱う労働者に注意を喚起するための標章で厚生労働大臣が定めるもの
2 前項の政令で定める物又は前条第一項の物を前項に規定する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号の事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。
(昭五二法七六・平一一法一六〇・平一七法一〇八・一部改正)
(文書の交付等)
第五十七条の二 労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物(以下この条において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
一 名称
二 成分及びその含有量
三 物理的及び化学的性質
四 人体に及ぼす作用
五 貯蔵又は取扱い上の注意
六 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2 通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、前二項の通知に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(平一一法四五・追加、平一一法一六〇・平一七法一〇八・一部改正)
**************

■通知はどうなっているか
 製剤とは何か、というところが課題となりそうです。厚生労働省に問い合わせたところ、下記の通知を紹介されました。
どうやら、現状ウェブ上で参照することはできなそうです。

・労働安全衛生法および同法施行令の施行について ◆昭和47年09月18日 基発第602号

***********
11 有害物に関する規制
(1) 第五五条関係
イ 本条の「製剤」とは、その物の有用性を利用できるように物理的に加工された物をいうのであり、利用ずみでその有用性を失つたものはこれに含まれないものであること。
ロ ただし書の特例が認められるのは、試験研究者がみずから製造等を行なう場合であること。
ただし、輸入について、輸入割当てを受ける事務等輸入に係る事務を輸入業者に代行せしめることは、輸入業者が輸入行為それ自体を行なうものではないと解せされるので認められること。
(2) 第五七条関係
イ 本条の「提供」とは、所有権等を留保したまま相手に渡して利用させるというような場合の「渡す」という事実行為を意味するものであること。
ロ 本条ただし書の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には、薬事法(昭和三五年法律第一四五号)に定められている医薬品、医薬部外品および化粧品が含まれること。
ハ 第一号の「名称」の表示は、商品名の記載でもさしつかえないこと。
***********

 有用性があるかどうかで判断するわけですから、廃棄物は対象外といえるでしょう。(廃棄物でも有用なものがある、有用性を利用できるように物理的に加工されている場合もある、という議論はここでは置いておきます。)

■こんなQ&Aもあります
中央労働災害防止協会で、「表示・文書交付対象物質を含む工場廃液を処理業者へ渡す場合にも表示やMSDSの交付が必要ですか。」という問いに対する回答で、廃棄物は対象外と解説してあります。

 廃棄物の処理は、所有権を放棄し、相手方に対価を払って最終処分を委託する
 ことであり譲渡提供に当たらず、 安衛法第57条及び第57条の2に基づく義務は
 生じません。


 廃棄物の処理委託は、あくまで譲渡提供ではない、ということですね。

ただ、有価物として売却する場合は、必要と言えるかもしれません。その場合も、その対象物質の有用性を利用する(たとえば蒸留して再利用するなど)のであれば必要ですが、燃料として有価売却するなら、その対象物質の有用性を利用するのではないため、不要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 SDSは不要だったにせよ、WDSやそれに準じた形で、廃棄物の情報提供はしっかりしましょう。
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不法投棄廃棄物と行政処分の関係

2014年05月02日 16時26分34秒 | コンサル日誌
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先日の記事で、説明が中途半端だったテーマがありますので、
ちゃんと説明しておきたいと思います。たまには排出事業者の方に
役に立つ??話です。

この記事では、こんなことを言っていました。

 なお、ご存じのとおり、国内に不法投棄廃棄物は1,777万トンありますが、
 これはどうなるのでしょうか。生活環境に支障がないものは、やはりそのまま
 残るんでしょうね。
 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17550

ポイントは「生活環境に支障がない」です。

「生活環境の保全」は、廃棄物処理法にとって委託基準より、マニフェストより、
それどころか許可制度や不法投棄の防止より大切なことなんです(若干言い過ぎ)。

なにしろ、廃棄物処理法の目的は「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ること」
なんですから(第一条より)。この目的を達成するために、廃棄物処理法の
全ての規定が作られたのです。

ということで、不法投棄があっても、「生活環境の保全上の支障」がなければ、
放置しちゃったりするのです(これもちょっと言い過ぎ)。


でもでも、不法投棄現場の周辺住民からすると、この通りの感想を持つはずです。


具体的には、法第19条の4~8まで、処理業者や排出事業者に措置命令を出せたり
行政が措置を講ずることができるとの規定があるのですが、これらすべてについて
「生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあり」という条件がある
のです。

そう、これが措置命令などを出すための「条件」なんです。
しつこいようですが、「支障がなければ、措置命令が出せない」のです。
同様に、行政の費用負担による撤去も、やりにくいのです。

ただし、これは、行政処分の話であって、不法投棄という犯罪行為に対しての
刑罰は、支障の有無にかかわらず科せられます。
ということは、処理業者が不法投棄をしたら、罰則を受けるかもしれませんが、
不法投棄された廃棄物が撤去されるとは限らないのです。仮に、3億円の罰金と
無期懲役が言い渡されたとしても、その3億円は廃棄物の撤去に使われるわけでは
ありませんし、死ぬまで懲役=廃棄物の撤去作業、がされるわけでもありません
から。

裏を返すと、「生活環境に支障がある廃棄物を委託する場合は、気をつけろ」
ということです。言われなくても分かっとるわい、ということかもしれませんが、
安定型であれば、不法投棄されても措置命令はでないのです。リスク低いですねぇ。

「シメシメ、有害物質がないものは現地確認省略しちゃえ」と思うのではなく、
「ヨシ、有害物質があるものは、十分注意して現地確認しよう」と思ってください
ね、結果は同じことかもしれませんが・・・。


それに、実際は、「ウチは安定型しか出してないよ」といっても、その業者が
有害物質を含んだ廃棄物と一緒に不法投棄したら、そんな主張をしても無意味
でしょう。たぶん、六価クロムや鉛入り汚泥を委託した会社と十把一絡げで
撤去をすることになるんだと思います。いや、多少の配慮はあるかなぁ。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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アミタから、またまた無料の書籍が出されました。

アミタの創業から最近の事業展開までがまとまっています。

廃棄物業界でも、開拓者として事業展開してきた会社の歴史は、
「ゴミなんぞ原料に使えるか!!」という今では考えられない反発に、
いかに立ち向かったかなど、苦労の歴史がつづられています。

ゴールデンウィークのお供に是非どうぞ。
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優良産廃ナビが新しくなりました

2014年04月24日 13時01分34秒 | コンサル日誌
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少し前の話ですが、優良産廃ナビが新しくなりました。

えっ、「ゆうりょうさんぱいなび」なんて知らないって?
それは困りました。優良認定を受けた処理業者だけが掲載されている
検索サイトです。地域別、廃棄物別などで検索できます。

「さんぱい君(旧産廃情報ネット)」はご存知ですよね。
これは、認定の有無に関わらず処理業者が任意で情報をアップできる
サイトですが、「優良産廃ナビ」ほどの検索機能はありません。

この2つのサイトの、最大と言ってもいい違いは、環境省のチェックが
入っているかどうか、です。
優良産廃ナビは環境省が優良認定を受けているかどうかをチェックし
OKが出た会社のデータしか表示が許されていないのです。

■許可証が偽造でないことが調べられる
ということは、許可があるかどうか(偽造でない)のお墨付きが
得られているのです。もちろん、登録時点での情報しかないので
後日、事業停止や許可の取り消し処分を受けていても、そのことは
分かりませんが。。。
でも、優良業者が行政処分を受けたら業界内ではそれなりの騒ぎに
なるでしょうから、おそらくちゃんと優良産廃ナビにも反映される
ことでしょう。

ちなみに、環境省のチェックについては、ほとんど知られていません。
何で知ってるかって、そりゃアミタが優良産廃ナビの作成に携わった
からです。

■知名度の低さやいかに・・・
アミタに大々的にプロモーションをさせれくれればいいのですが、
作成が中心だったので、いまだに優良産廃ナビが知られていません。
まぁ、議論de廃棄物の読者のみなさんは、一度くらいは覗いて
みてください。


そういえばもしかして、環境省がやってるFun to shareも知りませんか?
http://funtoshare.env.go.jp/
こっちもかなりマイナーですよね。

こういった事業は、知名度あってのモノです。作ったらそれでおしまい
ではなく、ちゃんとメディアを使った告知をしないと無意味だと思うの
です。
環境省のHPなんて、見てる人ほとんどいないんですから。。。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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八王子市が来年の4月に中核市入りを目指しています。
たぶん確定でしょう。とうとう東京都も、分裂してしまいます。

ま、大阪よりずっとマシですが。
あちらは、大阪府、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市で
7分割です。
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全国産業廃棄物連合会の契約書雛形の入手方法

2014年01月22日 13時47分13秒 | コンサル日誌
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こんにちは。

みなさんは、処理委託契約書はどうやって入手・作成されているでしょうか。
処理業者さんからもらったり、自社用の雛形を作ったりされていると
思いますが、最も普及している雛形は全国産業廃棄物連合会(全産廃連)
のものでしょう。これに手を加えているケースが多いようです。

実は、昨年末に少しだけ内容が変わって、最新バージョンがでました。
変更点はこちらにあります。


ところが・・・

これまでは、全産廃連のHPに行けば、無料でダウンロードできていましたが、
なんと今年からダウンロードができなくなりました。
全国の都道府県の産業廃棄物協会の会員は無料で入手できるようですが、
会員でないと210円で購入しなければなりません。

会員各社から「会員やっててもメリットないじゃん」という声が上がってきて
いたのかどうかは知りませんが、要は会員サービスにしました、ということです。
会費を払って運営しているのですから当然といえば当然ですが、公益性を考える
ならば、無料公開すべきでしょ、という声もあるでしょう。

確かに全産廃連は、公益社団法人なのですが、都道府県の産業廃棄物協会は
一般社団法人も多いのです。会員サービスなんかほとんど提供できていない協会も
少なくないはずです。ということもあっての、今回の措置なのでしょう。

私はというと、とある○○産業廃棄物協会(会員なのです)に直接問い合わせて、
メールで送ってもらいました。

会員専用のHPがないので、「そこから勝手にダウンロードしてください」ということ
にはできないそうです。なんつー手間なんでしょう。メールアドレスは、口頭で
お伝えしました。

本来、契約書は排出事業者の責任で作るものですから、排出事業者の団体から提供
すべきものなのですが、そういった団体はなく・・・。もちろん、都道府県の
産業廃棄物協会に排出事業者が入会することは可能ですので、とりあえずその線でご検討
いただくべきでしょう。

なんてこと言ったら、全国の産業廃棄物協会から感謝されそうです。


でも、210円払えば入手できるのですから、そのためだけにン万を払うという判断は
できないでしょう。でも、折角の機会なので地元の協会のサービス内容くらいはチラりと
見ていただいてもよいかもしれません。


■地域の協会はこちらから確認できます。
 

あ、そうそう、超ホットで重要な時事ネタです。4月からは216円になるのかも
しれませんので、ご購入はお早めに。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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処理委託にも消費税がかかります。

今年は特に、3月末ギリギリになる前に、早めに在庫している廃棄物を整理、処理委託
しましょう。処理業者さんも、早めに顧客に声をかけましょう。
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新年のご挨拶

2014年01月06日 23時09分17秒 | コンサル日誌
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新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

本日より仕事始めです。

ところが、朝礼の最中にメガネのネジが緩み、レンズが落下しました。
なんと不吉な。今年はとんでもない災厄に見舞われるのでは・・・

いやいや、これは何か悪いことの前触れではなく「正月気分をさっさと振り払い、
ネジを巻きなおして精進せよ」、という激励に違いありません。きっとそうに違い
ありません。

ということで、今年も気持ちを引き締めて、頑張ります。

今年の抱負は、
 ①昨年同様、粛々とセミナー、コンサル、執筆をこなす
  →これは当然のこと。
 ②アミタ以外が主催となるセミナーでの講演をもう少し増したい

②は、自分の首を絞めることになるのですが、年間100回まではできるはずと思い、
やってみます。もちろん、ご依頼いただかなければ実現できない話ですので、
それ次第なのですが。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。



それにしても、今年はどんな年になるのでしょうか。

注目は、電子マニフェストや優良認定制度の普及、各種リサイクル法の改正でしょうか。
随時行われる廃棄物処理法改正や通知の発出も要注意です。廃棄物業界の大型M&Aも
見てみたいです。

世間を驚かせるような行政処分や事故・事件はあるのでしょうか。日本経済、世界経済の
動向も気になります。

今年もきっと盛りだくさんになるのでしょう。今からとても楽しみです。
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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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今年は、長年続いている「廃棄物管理の法と実務セミナー」シリーズを組換え
ます。実務者編を基礎と応用に振り分けて統合し、電子マニフェストへの対応と、
その他のセミナーコンテンツの一部修正、レベル修正などをします。

ほとんどが名称は変わりませんので、同じものを受けなおしていただくほどでは
ありませんが、一部セミナーは仙台、名古屋、福岡でも開催しますので、
受講しやすくなっていると思います。

また、「廃棄物・リサイクル関連法編」は新しいものですので、要チェックです。

まだウェブで詳細公開していませんので、後日あらためてご案内します。
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