塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

悪ふざけ写真のツイッター投稿による「バイトテロ」雑感

2013年09月13日 | 社会考
  
 アルバイト店員や客が飲食店で悪ふざけをし、その写真をツイッターに投稿して発覚するという事件が連日ニュースになっています。最近ではバイトテロなどと呼ばれているそうですが、たしかにたった1枚の写真でいきなり閉店にまで追い込まれてしまうのでは、経営者側からすればまさにテロでしょう。

 なぜ今になってこんな話題を持ち出したかというと、バイトテロによってとうとう個人経営店まで閉店になったというニュースを今週見かけましたが、その店を私は知っていたからです。知っているとはいっても、入ったことはなく、高速道路に乗るときなどによく前を車で通ったというだけですが。小田急線と京王線の永山駅から徒歩で15分の有名そば屋ということでしたが、その圏内にそば屋は数えるほどしかなく、特定は容易でした。そもそも永山を含むいわゆる多摩ニュータウンには、個人経営店が極端に少なく、そのそば屋は有名という以上に古くから地元で親しまれてきた店だったようです。

 このそば屋の件も含め、バイトテロの内容はどれも似たり寄ったりの幼稚なものです。私ならやれといわれてもとても恥ずかしくてできません。私の知人友人にもやりそうな人間はいません。ですが、この手の話題が出たときによく言われる「最近はバカな奴が増えた」という反応には、私は無条件には賛同できません。

 また、飲み屋などで人生の諸先輩方とお話ししていると、「俺らの頃にはそんなバカはいなかったよ~」などいう意見が必ず出るのですが、私はこれにも疑問です。昔は悪ふざけが「なかった」ということを、証明しようがないからです。悪ふざけが世に知られるようになったのはツイッターが普及したからで、以前は厨房で何が行われていようと、それを赤の他人が知る術はありませんでした。

 では、昔から冷蔵庫や食洗機に体を入れたり、食材を顔にかぶったりする行為が日常的に行われていたかというと、それも違うでしょう。ネットの普及とともに、悪ふざけも増えたというのもまた、事実と思われます。まだネットやデジカメがなかったころには、悪ふざけをしたところで「観客」はその場にいる人間だけです。わざわざ悪ふざけをカメラで撮影して現像屋にもっていくなんて労力をかけて友人に見せびらかしても、むしろイタいだけです。したがって、もし隠れて悪ふざけをしていたとしても、その理由の多くはストレス発散といったところでしょう。

 ところが、携帯カメラやツイッターの出現により、悪ふざけに限らず日常のあらゆる場面の、撮影も拡散も至って容易になりました。自分のさまざまな「作品」を全国・全世界に発信する「コスト」が大幅に下がり、自分をアピールするチャンスが劇的に増大しました。悪ふざけ投稿というのは、私からみればそうした「作品」で自分をアピールしようとする人たちのうち、もっとも品もセンスもないグループといったところに分類されるものだと考えています。

 ですから、「最近の若いもん」がバカになったのではなく、昔から一定数いた予備軍にチャンスと手段が与えられたとみるべきなのだろうと、私は思います。私が学生の頃にツイッターがあったとすれば、おそらく私の世代が問題をおこし、槍玉にあげられていたでしょう。人間の行動基準や価値観などは時代とともに変化しますが、本質は10年や20年で変わるものではありません。

 そう考えると、「バイトテロ」対策として被雇用者の教育の徹底というのは、もちろん必要的なことではありますが、効果には限りがあるといえます。むしろ重要なのは、悪ふざけをしづらい環境づくりではないかと思います。たとえば、バイトだけに厨房を任せずに正社員を常駐させるとか、厨房にも監視カメラを設置して周知するとか。要は、アルバイト店員に、悪ふざけにかかる「コスト」が高いと感じさせることが大切です。

 ただ、私にもどうしても理解できない点が1つだけあります。それは、「バイトテロ」に対する損害賠償が請求されたり、わざわざツイッター内で悪ふざけ画像を探して回るような悪趣味な人もいたりと、一連の騒動を通じて悪ふざけの「コスト」は十分に高まっているように思うのですが、それでもなお投稿が後を絶たないということです。飲み屋の諸先輩方のお言葉を借りるならば、「今の若い奴らには学習能力がない」といったところですが、そんなことではとても説明がつきません。

 この点について、子供のころからSNSを日常的に利用してきた若い世代には、SNSは身内のコミュニティであり、赤の他人がそこに干渉する概念がないからだとする意見を目にしたことがあります。しかし、それは最初の数例にはあてはまるかもしれませんが、「これだけ報道を通じてリスクが周知されているのに繰り返されるのはなぜか」という私の疑問の答えにはなり得ません。

 どなたか、有力なご意見をおもちの方がいらっしゃったら、ぜひご教唆いただきたいと思っています。

  



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2 コメント

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Unknown (儀一)
2013-09-18 01:59:28
お久しぶりです、連日のサイト更新大変お疲れ様です。
今日はひさびさにうじょうさんの超ハードなブログ記事を読ませてもらいました。

ある方が「世界でも模範犯が一番多いのが日本」と言われていましたが、このケースを見てもそれが実感できてしまいますね。
言われてみれば一ヶ所放火があれば、それを真似る輩が現れる。
ニュースになる事件が起こると、必ずと言っていい程類似した事件を起きています。
個人的に実に嘆かわしい事です。

私なりに分析させてもらうと、彼らは自分に自信の無い方なのではと思います。
それはこういう事件一つを自分が起こすだけで周囲から注目を浴びる事ができる。
つまり一種の自己主張と言い聞かせている自己満足だと思われるのですが、どうせやるなら前向きな事で注目を浴びて欲しいものです。

夏から季節が秋に移り変わろうとしています。
もう少し涼しくなってから城館跡の調査を再開したいと思っております。
つきまして、ご一緒に調査していただけると嬉しい物件が何件かありますので、後日メールをさせていただきます。
季節の変わり目で体調を崩しやすくなってきました、お体の具合には十分ご留意くださいませ。
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Unknown (うじょう)
2013-09-18 23:16:35
>儀一さん

ご無沙汰しております。貴サイトの更新が止まっておられたので心配していました。九州編の終わりがようやく見えてきたので、それを区切りにこちらも連絡させていただこうと思っていました。

「自己主張と言い聞かせている自己満足」というのは、おっしゃる通りだと思います。ただ、退学や損害賠償など、その代償がいかに大きいかがこれほど連日報じられているのに、なおも費用対効果に見合わないリスクを冒す輩が後を絶たない理由が分からないのです…。

朝晩はうすら寒いくらいに涼しくなりましたね。小生はクマだけでなくハチが大の苦手なので、例年11月くらいまでは本格的な山城探索には二の足を踏んでおります^^;

とまれ、前回のようなトレジャーハンティングを楽しみにしていますので、メールお待ちしてます。
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