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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

百物館へようこそ/木下直之全集(ギャラリーエークワッド)

2019-02-20 23:26:57 | 行ったもの(美術館・見仏)
〇ギャラリーエークワッド 『木下直之全集-近くても遠い場所へ-』(2018年12月7日~2019年2月28日)

 「木下直之(を)全(ぶ)集(める)」と題し、2000年に東京大学大学院に設立された文化資源学研究室に招かれ、20年近くにわたり研究を率いてきた木下直之(1954-)の研究の軌跡をたどる展覧会、とホームページの趣旨にある。

 ちなみに私が著作を通じて木下直之先生のお名前を知ったのは『美術という見世物』(平凡社、1993)が最初で、単行本は全て読んできている。ホンモノの先生には、1999年の「ニュースの誕生」展を少し裏方でお手伝いしたときにお会いし、その後も講演会などで、何度かお話を聞く機会があった。最近、大学の教員といえば、IFの高い雑誌に英語論文を書くことが評価の全て、みたいな状況になっている中で、こういう役に立つのか立たないのかサッパリ分からない研究三昧で暮らしている教授がいるというのは素晴らしいことだと思う。皮肉でなくて。

 会場に鎮座する「つくりもん」の麦殿大明神。金沢文庫の駅前の金物屋で道具一式を揃えてきたそうだ。



 展示パネルには青いマジックで「加筆」がされている。木下先生の自筆だ。これは『わたしの城下町』関連のお城の写真コーナー。こういうのはいいなあ。ほかの展覧会でも、期間中に学芸員さんが、どんどん加筆したら楽しいのに。



 木下先生の歴代のフィールドノート。表紙は息子さんの絵。いまどきの大学教員は、論文を投稿したら、その根拠データは大学に預けて10年保存しなければならないはずだが、これらもそれに当たるのだろうか。



 そして天井まである書棚にぎっしり並んだ資料ファイル。そうそう、この安くて軽いフラットファイルが資料の分類や持ち運びに便利で使いやすいんだよねえ。私も仕事場で愛用している。



 一部のファイルは手に触れることもできて、懐かしい「ニュースの誕生」展の講演資料を見つけたときは嬉しくなった。しかし明らかに個人情報のコピーも綴じてあって、ちょっと慌てた。



 『股間若衆』や最新刊『動物園巡礼』関連の写真も多数あり。本の中で見覚えのある写真が、カラーで展示されているのも楽しい。高校生のときの油絵作品や、ある女子学生が還暦記念に描いてくれた木下先生の肖像画もある。どうぞ全て失くさずに保存してください。10年後、20年後の『木下直之全集』続編のために。

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