goo blog サービス終了のお知らせ 

見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。
【はてなブログサービスへ移行準備中】

2025年4-5月展覧会拾遺(1)

2025-05-15 22:12:10 | 行ったもの(美術館・見仏)

東京藝術大学大学美術館 相国寺承天閣美術館開館40周年記念『相国寺展-金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史』(2025年3月29日~5月25日)

 確か4月29日に訪問したのだが、めちゃくちゃ混んでいた。私は年に数回京都に行くと、ほぼ必ず承天閣美術館に寄っているので、旧知の作品が多かったのだが、ふつうの東京人には珍しいのかもしれない。鹿苑寺大書院の障壁画は『葡萄小禽図』『松鶴図』『双鶴図』9面が出ており、人の動線に従って大書院の全貌を見せる大画面の動画がとても興味深かった。若冲は『竹虎図』『厖児戯帚図』なども。応挙は『七難七福図巻』(そんなに酷くない場面)『大瀑布』など。伝・宗達『蔦の細道図屏風』は久しぶりに見た。あとは『永楽帝勅書』があったり、『異国通船朱印状』(西笑承兌筆)があったり、外交現場における相国寺僧侶の活躍がうかがえたのも興味深かった。

日本民藝館 特別展『民藝 無作為の美-深澤直人が心を打たれたものたち』(2025年3月30日~6月1日)

 深澤直人館長(2012年就任)が、館蔵コレクションの中から自身が感動し刺激を受けた生活道具を選び、民藝美の魅力に光を当てる。同館の館長は、柳宗悦→濱田庄司→柳宗理→小林陽太郎を経て、5代目なのだな。知らなかった。玄関ホール、大階段の左側の展示ケースには黒っぽい石彫の硯やうつわ、右側には白磁など白っぽい道具が並んでいて面白かった。視線を右上方に移すと、波間に浮かぶ城の図。『備中高松城水攻図』の絵幟だった。

 大展示室は、正面に「大」の字を白地に黒で染めた大きな暖簾(5つ割れ)。明治時代、京都で使われたものだというが、何のお店だろう? 茶色い革製の羽織が6点出ていたのは珍しかった。ふくらんだクッションのような緑釉の容器には「舟徳利」という札が付いていた。揺れる舟の上でもひっくり返らないように安定感を追求した形らしい。全体に、いかにも「民藝らしい」品が多くて、初心に帰る楽しさがあった。

渋谷区松濤美術館 『妃たちのオーダーメイド セーヴル フランス宮廷の磁器 マダム・ポンパドゥール、マリー=アントワネット、マリー=ルイーズの愛した名窯』(2025年4月5日~6月8日)

 西洋諸窯のなかの最高峰と称されるセーヴル磁器の魅力を紹介する。その始まりは、デュポア兄弟がヴァンセンヌ城に構えた窯で、ルイ15世や公妾ポンパドゥール夫人などの出資を受け、セーヴルの町に移って王立窯となり、その後もフランス王室と帝室、共和国に引き継がれた。陶磁器そのものの愛らしさ、青や緑など中間色の美しさもさることながら、「マリー・アントワネットが好んだ」「デュバリー夫人のためにつくられた」(ベルばら!)「ナポレオンがジョゼフィーヌに贈った」など、目の前でフランス近代の波乱万丈が展開するような感覚を味わった。そして、展示品のほとんどが「個人蔵」であることにも驚いた。

五島美術館 館蔵『春の優品展 THE BEST』(2025年4月8日~5月6日)

 1960年の春に開館した同館の65周年を記念して、5000件を超える収蔵品から、絵画・墨跡・陶磁器・工芸・考古など、さまざまなジャンルより選りすぐりの作品を展観する。冒頭に茶室「松寿庵」の床の間模型があって、青磁筍花生と古染付辻堂香合が飾られていた。しかし、そのあとが、いきなり古経と墨蹟なのは、地味すぎて大丈夫なのか?と思った。突き当りの壁には、尾形乾山『四季花鳥図屏風』、左端の饅頭みたいなサギが可愛い。屏風の前には、井戸茶碗とその類品が6件並んでいた。後半は『沙門地獄草紙断簡(火象地獄図)』や『前九年合戦絵巻断簡(帰順願図)』など、和漢の絵画の名品が続く。

 中央列の展示ケースには「大東急記念文庫蔵『蔦屋重三郎』関連書籍」のコーナーが作られていた。大河ドラマ人気を当て込んで、と思ってしまうところだが、近年、同館は江戸の草双紙など「大衆読み物」の紹介に力を入れているのである。山東京伝の『箱入娘面屋人魚(はこいりむすめ めんや にんぎょう)』の挿絵は何度見ても笑える。展示室2は、この時期恒例の『源氏物語絵巻』原本展示だったが、混んでいたので、人だかりの後ろからチラ見に留めた。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 家族と幸せのかたち/中華ド... | トップ | 2025年4-5月展覧会拾遺(2) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事