見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2024年3月関西旅行:東大寺~新薬師寺~大和文華館ほか

2024-04-05 22:49:13 | 行ったもの(美術館・見仏)

華厳宗大本山 東大寺(奈良市雑司町)

 関西旅行3日目は奈良スタート。早朝の奈良公園を大仏殿に向かう。廻廊の中門から中を覗くと、左(西)側の桜が、朝陽を受けてピンク色の雲のように輝いていた。

 大仏殿の北側の、のんびりした裏参道を歩いて二月堂に登る。ご朱印は「南無観」をいただいた。書いてくれた方が、隣りのページを見て「あ、仁和寺に行かれたんですか。僕は京都なんですけど行ったことがないんですよ」と気さくに話しかけてくれた。

 それから手向山八幡宮、若草山の脇を通り、春日大社の森の中を南下。高畑の住宅街に通じる「上の禰宜道」には、春日の禰宜(神官)たちが高畑の社家町から春日大社へ通った道だという案内板が立っていた。

新薬師寺(奈良市高畑町)

 久しぶりに来たくなって、寄ってみた。このあたり、一時期はもう少し観光客の姿があったように思うのだが、なんだか昔のさびれた奈良の雰囲気に戻ったようで、個人的には望ましかった。目のぱっちりした薬師如来坐像と、力のこもった十二神将像は昔のまま。簡素な境内は桜の木が多く、この時期だけの華やかさを添えている。

 桜の下に実忠和尚(良弁の弟子、修二会の創始者)の供養塔があって、おや、こんなところに、と思って写真に収めて来たのだが、調べたら「実忠和尚御歯塔」と伝わるものだという。この御歯塔の縁なのかどうか分からないが、毎年4月8日には、新薬師寺でも修二会(おたいまつ)が行われていることを初めて知った。最近、東大寺の修二会は有名になり過ぎて行ける気がしないので、今度はここの修二会に来てみようかしら。

大和文華館 『文字を愛でる-経典・文学・手紙から-』(2024年2月23日~4月7日)

 私は大和文華館に毎年3~4回、何十年も通っているのだが、前庭に三春滝桜があると知ったのが、実は2020年の『コレクションの歩み展II』である。同館は雪村の作品蒐集に力を入れてきており、その縁で、雪村が最晩年を過ごした福島県の三春滝桜を親木とする桜を本館入口前に植えたのだという。その後も、花の盛りに会うことはなかったが、ついに今年、真面目(しんめんもく)を見ることができた! 化けものみたいに素晴らしかった。

 桜目当てで訪れたお客も多いのか、館内は小さな子供連れもいて賑わっていた。それにしては、経文や書状・文書が中心の地味な展示で、ちょっと苦笑してしまった。実は源義経とか豊臣秀吉など、ビッグネームの書状もあるのに気づいてもらえるといいのだけれど。あと、おそらく同館としては初の試みで、ほとんどの資料が撮影可・SNS可になっていた。大好きな『一字蓮台法華経』の華麗な見返し絵、それに『阿国歌舞伎草紙』(念仏踊、茶屋遊び)が撮影できたことが嬉しい。拡大して細部を確認できるのが、老眼には本当に助かる。

■大阪中之島美術館 没後50年『福田平八郎』(2024年3.月9日~5月6日)

 大混雑のモネ展を尻目に、私が見たかったのは福田平八郎(1892–1974)の回顧展。私は山種美術館で『筍』『鯉』などを見て、このひとの名前を覚えたのだと思う。2012年には、生誕120年『福田平八郎と日本画モダン』展も見ている。はじめは訥々とした写生画から始まる。そして、いきなり大胆すぎる代表作『漣』を生み出す。その後、しばらくは『漣』の影響に縛られたような時代が続くが、晩年の「自由な写生」、写実であろうとすればするほど、色もかたちも題材も自由になっていく感じが、ハッピーでとてもよかった。東京に来てくれないの、寂しいなあ。

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2024年3月関西旅行:大覚寺~... | トップ | 静養と密談の空間/戦後政治... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事