見もの・読みもの日記

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ひとり鍋の楽しみ/〆まで楽しむおつまみ小鍋(高橋雅子)

2017-12-06 23:56:36 | 読んだもの(書籍)
〇高橋雅子『〆まで楽しむおつまみ小鍋』 池田書店 2017.10

 寒くなると、鍋が恋しくなってくる。大きな書店で、さまざまな「鍋本」が積まれている中から、ふと目について拾い上げた。なんといっても第1章の「2つ具材のカンタン小鍋」がよかった。豚肉とほうれん草、牛肉とクレソン、鶏とかぼちゃなど、具材が2つあれば鍋になる、というのが、とても新鮮に感じられた。

 もう少し具材の多い「にぎやか小鍋」もあるけど、多いといっても3品から4品である。牛肉+まいたけ+エリンギ+万能ねぎのすきやきとか、ソーセージ+じがいも+ブロッコリーのポトフとか、なるほど、鍋ってこれでいいんだ、と感心した。具材の種類の多いレシピを見ては、作るのをあきらめてしまう私には、たいへんありがたい本である。似たような鍋本がいくつか並んでいたのだが、結局、本書がいちばんシンプルで私の好みに合った。

 切って並べた具材の小さな写真と、鍋で煮込んだ状態の大きな写真があり、いちおう「作り方」という文章が添えてあるが、だいたい1、2か1、2、3の工程で終わっている。「鍋あと」のおすすめが小さな写真が添えられているのも楽しい。ラーメンやおじやだけでなくて、鍋あとに「焼き餅」とか「バゲット」「ペンネ」という選択肢もあるのだな。

 鍋ができる前にまず一杯、あるいは鍋の箸休めになる「こつまみ」も紹介されているが、これも手間をかけないシンプルなものばかり。「ふたをして煮るだけ小鍋」もいいなあ。最後はちょっと上級編の「アジアの小鍋」。中国の定番朝食メニューだという「鹹豆漿(シェントウジャン)」や「モンゴル薬膳鍋」は試してみたいけど、正しい味が再現できるか分からないので、ちょっと躊躇する。

 本書で使われている鍋は、6~7号(1~2人前)。私はこのサイズの小鍋を持っていないので、この冬はぜひ欲しくなった。ひとり鍋は寂しいと感じる向きもあるだろうが、確か以前読んだ本によれば、江戸時代は一人一人、個別の小鍋を食べるのが普通で、明治以降、大勢で大鍋をつつくスタイルが普及したとのこと。この冬は江戸の情緒をしのんで、小鍋を楽しもう。
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