見もの・読みもの日記

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鎌倉散歩・永福寺跡を訪ねる

2017-12-02 23:55:54 | 行ったもの(美術館・見仏)
鎌倉歴史文化交流館 企画展『甦る永福寺-史跡永福寺跡整備記念-』(2017年10月19日~12月9日)

 久しぶりに鎌倉に行って、気になっていた場所を訪ねてきた。ひとつは、今年5月に開館した鎌倉歴史文化交流館である。扇ガ谷1丁目と聞いて、どこだかよく分からなかったが、実際に歩いてみて、やっと分かった。鎌倉駅西口の入り組んだ住宅街の中にある。鎌倉は、隣りの逗子に住んでいたときに、かなり歩き回ったが、ここは一度も来たことがない場所かもしれない。長いアプローチを進むと、白亜の館が徐々に見えてくる。



 館内はかなり自由に写真が撮れる。これは常設展エリアにあった「永福寺(ようふくじ)」の軒丸瓦。



 これは何度か鎌倉国宝館の展示で見た。茄子に見えたり電球に見えたりする、変わった文様なので、よく覚えている。
 


 企画展は、源頼朝が建立した永福寺(ようふくじ)の発掘調査の進展について紹介。文書と出土品から明らかになった建築と庭園の姿を復元CGで分かりやすく提示する。平等院や毛越寺の浄土庭園を思わせるが、堂宇の左右の翼廊が釣殿ふうに池の上に張り出していたり、中央の釈迦堂(二階堂)の正面の池には橋が掛けられていたり、かなりダイナミックなデザインである。金属製の繊細な荘厳具や、小さな仏像の断片(化仏や雲中供養菩薩か?)も出土しているのだな。

 常設展示には「相州伝」の刀剣も出ていた。そして、交流館からまっすぐ東に下ってきてJRの線路を渡ると、刀匠正宗の後裔である正宗工芸美術製作所がある。



 この日は、ついでに永福寺跡も訪ねた。10年ぶりくらいだろうか? 逗子に住んでいた頃は、天園ハイキングコースが好きで、明月院もしくは建長寺から入って、獅子舞か瑞泉寺の横に出て、右手に永福寺跡を眺めながら駅に戻るのが定番だった。当時の永福寺跡は、フェンスに囲われた広い草地で、秋になるとススキが白い穂をそよがせていた。それが、すっかり様変わりした航空写真を『芸術新潮』の運慶特集号で見つけ、半信半疑で見にきたら、本当に見事な「史跡公園」になっていた!



 池が灌漑中だったのは残念。水があるほうが往時の景観を想像しやすく、さらに市民や観光客の憩いの場にもなるだろう(ただ、管理が大変だろうなあ)。※なお、壮麗な大伽藍が蘇る『AR永福寺』というスマートフォンアプリが提供されているそうだ。素敵!(参考:楽しい鎌倉



 あまりに風景が変わり過ぎていて戸惑ったけど、外側の道には既視感があった。



鎌倉国宝館 特別展『鎌倉公方 足利基氏-新たなる東国の王とゆかりの寺社-』(2017年10月21日~12月3日)

 国宝館にも立ち寄り。文書中心の地味な展示であるが、最近、『観応の擾乱』を読んだので、足利尊氏、直義に親近感が感じられた。常盤山文庫所蔵の『足利尊氏願文』は、尊氏が後生の安穏を願うとともに、今生の果報を弟直義に与えてほしいと祈願したもので、尊氏が直義に政務の実権を移譲しようとした心情を伝える自筆文書として有名なもの。しかし、その願いの結末を知った上で眺めると、感慨深い。
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