goo blog サービス終了のお知らせ 

見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

オールスターズ/王羲之から空海へ(大阪市立美術館)

2016-05-12 22:48:55 | 行ったもの(美術館・見仏)
大阪市立美術館 特別展 大阪市立美術館開館80周年記念、公益社団法人日本書芸院創立70周年記念『王羲之から空海へ-日中の名筆 漢字とかなの競演』(2016年4月12日~5月22日)

 大阪市立美術館にはよく来ていると思っていたが、振り返ったら2014年7月以来の訪問だった。場末感のただよっていた天王寺公園が、すっかりリニューアル(2015年10月)されていて、びっくりした。

 本展は、日中の名筆を一堂に集めた特別展。概要に「とりわけ関西地区では、王羲之(おうぎし)を中心とする法帖やその流れをくむ作品を学んで一家をなす書家が多く、また日本の書法史も王羲之書法をもとにして独自の発展を遂げて来ました。そこで本展では、王羲之書法の伝承を中国・日本それぞれの名品によって俯瞰し、書の伝統を回顧します」という。この「とりわけ関西地区では」というのが面白いと思う。

 短いイントロダクションのあと、国内にある王羲之の書跡を、集められる限り集めたようなコーナーがあってすごかった。お客さんもそこだけは、待ってでもケースに張り付いて見ようとする。台東区の書道博物館とか三井記念館など、実は東京から来ているものが圧倒的に多い。関西ものは、京博・上野コレクションが2点(十七帖、集王聖教序)と黒川古文化研究所の「集王聖教序」。後世の書家は、主に王羲之をどのように学んだかの視点から説明されていた。隋唐では顔真卿が一番好き。『争坐位文稿』は面白い作品である。宋元明清は、台北故宮博物院からの出陳多数。ありがたいことだわ~。

 これで終わりかと思っていたら、「日本書跡」の部屋に続いていて、奈良平安の写経に続き、空海や最澄、嵯峨天皇が登場。藤原佐理(頭弁帖)くらいまでは、漢字文化のロングテールだと思って見ていた。それが「古筆」の部屋では、まわりが仮名文字だらけになり、「高野切第一種」(埼玉・遠山記念館所蔵)や「寸松庵色紙」「継色紙」さらには「石山切(貫之集)」まで目に入ったときは、ゆきとどいた目配りに呆然とした。白隠の書軸あり、近衛家煕、光悦、良寛も。本当にキラ星のごとき、書のオールスターの競演だった。日本書跡は、関西のコレクター(逸翁美術館、野村美術館、陽明文庫など)からの出陳が多くて、関東人の私にはめずらしかった。

 なお、図録はB4サイズ大の超大判。勢いで買ってしまったものの、街歩き用のリュックに収まらない。ふと見たら「宅配受付カウンター」があったので、あの~一緒に送りたいものがあるのですが、とお願いして、前日に購入した京博「禅」の図録も一緒に送ってしまうことにした。快く応じていただき(梱包も引き受けてくれた)柔軟な対応に感謝。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする