見もの・読みもの日記

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北京・天津・河北省の旅2009【第3日】承徳(外八廟)

2009-09-17 00:13:28 | ■中国・台湾旅行
 承徳は旧名・熱河。清代には夏の離宮「避暑山荘」が営まれ、その外周を「外八廟」と呼ばれる寺廟が囲んでいる。「山荘」というのだから、どんな山の中かと想像していたら、「避暑山荘」の正門は繁華街の只中にあった。皇居の大手門みたいなものだ。外八廟へもホテルから車で15分くらい。銀座から上野の寛永寺に出るくらいのイメージか。

 この日の観光は、普寧寺→普陀宗乗之廟→須弥福寿之廟→普楽寺→安遠廟。いずれもチベット式の寺院である。今回のスルーガイドの杜さん(漢民族の男性)は、チベット仏教に心酔しており、仕事とは無関係に真剣に礼拝していた。

 ところで、私は安井曽太郎の『承徳の喇嘛(ラマ)廟』という油彩画が大好きなのである。同じ題名の作品が2点あって、左は1938年作、愛知県美樹館蔵。右は1937年作、永青文庫蔵。(※サムネイルに無断ダウンロードの画像を使っていますが、何卒お見逃しを…)



 この旅行で分かったことだが、左は普陀宗乗之廟(小ポタラ宮)を描いたものらしい。チベットのポタラ宮を3分の1サイズで再現したもの。赤い建物の中心を縦に貫く緑色のリボンのような装飾が特徴的。この縦ラインには6つの仏龕が並んでいる。





 また、右は須弥福寿之廟であるらしい。こちらはチベットのタシルンボ寺を模したもの。赤い建物をよく見ると、窓のひとつひとつに瑠璃瓦の庇が取り付けられている。チベット式の廟堂の前に建てられた中国式の門が、面白い対照を見せる(普陀宗乗之廟にも中国式の門があるが、もっと建物から遠い)。





 それにしても、これらのチベット様式の廟堂、要塞のような壁の内側に入り込むと、あっと驚くほど中国ふうの内装が待っていた。まったく、清朝の皇帝の考えることって、よく分からない…。

(9/26記)
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