見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

年の瀬京都旅行:館蔵品のはじまり(京都国立博)

2007-12-22 20:13:32 | 行ったもの(美術館・見仏)
○京都国立博物館 特集陳列『館蔵品のはじまり-京都博物館らの贈りもの-』

http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

 最後の連休、京都に来ている。この秋は、ほぼ月1回のペースで関西に足を運んでいるのだが、全て1泊旅行。それも土曜日の夕方に東京を発って日曜半日観光とか、無茶の繰り返しだった。最後くらいゆっくりしたいと思って、今回は2泊3日の予定を組んだ。

 残念ながら今日の京都は冷たい雨。そこで、いつものように京都国立博物館に足を向けた。お目当てにしていた特集陳列は、平常展示館の1室を使った小規模なものだった。

 明治8年に京都府勧業課に設置された「京都博物館」は、仙洞御所の御厩(みうまや)を予定地としていたが、結局、建設には至らなかった。っして、明治24年(1891)正月、京都博物館の蔵品1076点は帝国京都博物館(現在の京都国立博物館)に寄贈されたのである。

 ん? この説明を読んで、私はやっと自分の誤解に気づいた。そうか、タイトルの「京都博物館」って京都国立博物館ではなくて、別に京都府立の博物館が構想されていたということなのか。この博物館、残された建築図面を見ると「自然史博物館」として構想されていたらしいことが分かる。中心となったのは、蘭方医、舎密局主任、写真家でもあった明石博高(あかしひろあきら)。初めて聞く名前である。

 しかし、自然史博物館として構想されていた割には(今回の展示品は)歴史資料が多い。見て圧巻は、烏丸光広筆『聚楽行幸和歌巻』。晴れやかで美しい書体である。

 また、複写や撮影がままならない当時、さまざまな古文献を書写によって集めようとしていたことが伺われて興味深い。中世~近世の書写本を収集するとともに、明治期に新しく書写した正倉院文書や『伝教大師度牒』なども展示されている。面白いのは、洞院公賢の『園太暦』と藤原定家の『名月記』について、自筆原本と江戸期の写本を並べているところ。いやー『園太暦』の原本なんてぐちゃぐちゃ。『名月記』は一応清書だというが、やっぱり悪筆。絶対、後世の写本のほうが読みやすいということが分かって、苦笑を誘われる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする