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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

森の奥へ/プラハ国立美術館展(Bunkamura)

2007-07-06 23:55:19 | 行ったもの(美術館・見仏)
○Bunkamuraザ・ミュージアム 『プラハ国立美術館展-ルーベンスとブリューゲルの時代』

http://www.bunkamura.co.jp/shokai/museum/index.html

 上野の「パルマ」展の翌日、興が乗って、また西洋絵画を見に出かけた。本展は、プラハ国立美術館が所蔵する作品の中から、ルーベンスとブリューゲルに代表される、17世紀フランドルの画家たちに焦点をあてたもの。ルーベンスはバロック芸術を代表する画家の一人で、躍動感溢れるダイナミックな作風が特徴。一方、ピーテル・ブリューゲルら「ブリューゲル・ファミリー」は、農民の風俗、田園の情景、静物画の秀作を数多く残した。

 私はどちらも好きだ。ルーベンスの宗教画やギリシア・ローマ神話を題材にした作品は、表面的な光彩・世俗的な美しさには溢れているけれど、高貴な精神性が希薄で、ちょっと辟易するところもある(「フランダースの犬」で、ネロ少年が最期に見たがったのがルーベンスの作品である、と知ったときは、正直、えええ~とがっかりした)。だが、ルーベンスの肖像画はいいと思う。徹底した世俗性(写実)が、作品の厚みとなり得ている。

 ブリューゲルは、農民風俗の背景として描かれる、静謐で神秘的な「森」の姿に強く惹かれる。東洋絵画とは、全く異質な自然が捉えられているように思う。だが、ダーフィット・テニールス(子)の『巡礼者のいる岩山』は、遠景の山、中景の大木、近景の岩、画面を斜めに横切る道と、そこを行く小さな人影という構成が、東洋の山水画そっくりで、ちょっとびっくりした。

 フランドルの逸名画家による『バベルの塔』は嬉しかった。ブリューゲルにも同名の作品があるはずだが、ふだんは農民風俗を写実的に描いた画家たちが、どうしてこんな空想的なテーマを競って取り上げたのか、不思議に思う。青空を背景に、円柱などの装飾パーツを繰り返し積み重ね、建築物の巨大さを表現しようとしている。SFXのための、たとえばスターウォーズの設定画を思わせる。

 後半は博物画および静物画。腐りかけた果物、斑入り・虫食いの植物など、だんだん趣味が病んでくる。サヴェレィの『鳥のいる風景』は、ルドルフ2世の動物園を素材にしたとはいえ、一緒にいるはずのない鳥類を、これでもかとばかり同一画面に押し込めた図で、中国の『百鳥図』を思い出した(三の丸尚蔵館で見たもの)。

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