「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

音楽談義~ヴァイオリンあれこれ~

2009年08月26日 | 音楽談義

オーディオ装置の一部を入れ替えたときに、まず試聴するのはピアノ独奏、ヴァイオリン独奏、ヴォーカル、オーケストラのCD盤でこれらが気持ちよく鳴ってくれると調整がうまくいっている証拠。

いずれのソースともそれぞれにクセがあってなかなか再生が難しいが、音色とともに情緒的な感性に訴えかけてくる点ではヴァイオリンという楽器に尽きるところがある。

以前のブログで「ヴァイオリンの魅力」を投稿したところ、呼応してS県のKさんから「ヴァイオリンあれこれ」と題したメールをいただいたので引用させてもらおう。(出典:「ヴァイオリンとチェロの名盤、本間ひろむ著、平凡社新書)

19世紀はじめに登場したパガニーニがヴァイオリン演奏に”超絶技巧”でもって人々を驚かせ、その後の1世紀はヴィルトオーゾがメインストリームを歩む時代になる。その中心にいたのがロシア楽派のヴァイオリニストたち。

エルマン、ハイフェッツ、ミルシテインといった巨匠たちからオイストラフへと受け継がれたロシア楽派の特徴は、運動量の多いボウイング(弓使い)によって豊かな音量を生みダイナミックな表現をするところにある。

しかし、現在ではロシア楽派のボウイングを採用するヴァイオリニストはごく少数で、フランコ=ベルギー楽派の”自然で合理的なボウイング(両手を含む体全体のバランスを重視する)が世界的な趨勢になっている。細かなニュアンスを表現するのに適したこの奏法は同時に美しい音色を生み出す。

さて、名手たちが使用しているヴァイオリンを調べてみると・・・・・。(ひとりでいくつもの名器を所有している場合があるので、これしかないということではない)。

アルトゥール・グリュミュオ-

ストラディヴァリを美しく歌わせたヴァイオリニストのひとり。彼の愛器は、「ジェネラル・デュポン」などストラディヴァリの名器だったが、年齢を重ねるとグァルネリ・デル・ジェスも弾くようになった。因みに彼の弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲5番の第二楽章は霊妙な美しさを湛えていて聴くたびに胸が震える。コリン・デービス指揮のもので古い録音だが間違いなく史上最高、いまだにこれを凌駕する演奏はないと思う。

ヨゼフ・スーク

1710年製のストラデヴァリの名器「レスリーテイト」

オーギュスタン・デュメイ

クライスラーの愛用した1721年製のストラディヴァリ

ナタン・ミルシテイン

1716年製のストラディヴァリ「マリア・テレサ」

ギドン・クレーメル

1730年製のグァルネリ「エクス・ダヴィッド」

マキシム・ヴェンゲーロフ

1727年製のストラデイヴァリ「クロイツェル」

千住真理子

ストラディヴァリの名器「デュランティ」

五嶋みどり

グァルネリ「ギブソン」

諏訪内晶子

ハイフェッツの愛器1714年製ストラディヴァリ「ドルフィン」

樫本大進

1722年製のストラディヴァリ「ジュピター」。因みに先般の報道で彼はベルリンフィルの栄えあるコンサートマスターに推薦された模様。

神尾真由子(NHKBSハイ「強く、強く」より

先般のチャイコフスキー・コンクール・ヴァイオリン部門の優勝者、1727年製のストラディヴァリ

ところで、あのパガニーニが持っていた1742年製グァルネリ・デル・ジェスの名器「カノン(大砲)」はパガニーニの死後故郷のジェノヴァの博物館に寄贈されて厳重に保管されている。

しかし、ヴァイオリンは適切な保存のために時折演奏されなければならない。20世紀に入ってからカノンは選ばれたクラシック演奏家が弾く栄誉を与えられてきたが、2002年、ジャズ・ヴァイオリニストとして初めて、レジーナ・カーターがジェノヴァ市の招聘によりカノンを弾いて録音したCDが生まれた。

「パガニーニ / 夢のあとで」がそれで、やはり名器の響きは素晴らしく、聴き惚れてしまったとのことだった。

                      

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