「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

無知というものの哀しさ

2024年07月10日 | オーディオ談義

「右チャンネルから音が出たり出なかったりするんだけど、ちょっと診てもらえませんか~」とオーディオ仲間のMさんへメッセージ。

Mさんはれっきとしたベテランの「アンプ・ビルダー」さんである。「ああそれは、半田の接着不良でしょう。明日お伺いします。」と即座に返事が返ってきた。

対象のアンプは「2A3」シングルアンプである。



ご覧の通り、大きな出力トランスのせいでやたらに重たい・・、こういう大きな出力トランスを持つアンプが繊細な音を出す事例をこれまで見聞したことはないが、低音域のゆとりに関しては大いに重宝しているので、専ら低音域用として使っている。

出力管の「2A3」は比較的ポピュラーな球なのでRCAを始めとしてブランドがいくつも出回っているが、我が家では「VISSEAUX」(フランス:刻印)を選択している。

刻印付きともなると今や希少品だそうで海外のオークションでは軽く「15万円以上で取引されている」との噂・・、まあスペアを含めて売るつもりはないけどね~(笑)。

で、お見えになったMさんがアンプの裏蓋を開けて点検したところ、すぐに「ボリューム」周りの半田が接触不良で「ついたり離れたり」の状態。

半田ごてが入りにくい部分というのが原因だった。

「音が出たり、出なかったり」というケースでは、まず半田の接触不良を疑った方が良さそうだ。

まずは一件落着だったが、Mさんがついでに持参されたのがこのほど落札された「TR式」のプリアンプだった。価格はわずか「8千円」というから、超安っ!

なぜこれほど安かったのかといえば、出品者が「STORE」だったせいで、ぞんざいな取り扱いだったことに尽きる・・、たとえば上蓋を開けて内部の画像を見せて欲しいと要望しても聞き入れてくれない。

したがって、入札者はMさん含めてたったの2名という有様~。

ところが、到着して上蓋を開けてみたところ、なんと希少なマイカ・コンデンサーがペアで使われていた!



画像上部の「茶色のコンデンサー」がそれで、市価ともなると確実に3万円ぐらいはするという代物、おまけに電源トランスは「TANGO」という有名どころが使われている。

もし、「STORE」が手間を惜しまずに「上蓋」を開けて画像を公開していたら、入札者が殺到し落札価格もきっと跳ね上がったことだろう。

Mさんのチャレンジ精神に拍手といったところだが、一方では「無知」というものの哀しさにやりきれなくなりますな・・(笑)。

で、修繕とか掘り出し物の話が一段落してから、「久しぶりにAXIOM80を聴かせてくれませんか」との要望に応えた。



この頃はこういう聴き方をしています、というわけで、オイルコンデンサーで「500へルツ」あたりでローカットし、それ以下の低音域は後方に控えるウェストミンスター(改)で補完するという世界中でも「ここだけ」のシステム。

両者、すなわち「AXIOM80」と「ウェストミンスター」内蔵の「スーパー12」(ワーフェデール:赤帯)ユニットの「位相」すなわち振動版の位置関係については、言わずもがなだが音の速さは秒速「340m」なので、100ヘルツのときの波長は「3.4m」、「500ヘルツ」のときは「1.7m」だからまあ許容範囲ではなかろうか・・。

ちなみに、植木鉢に据え付けた「AXIOM80」(復刻版)の背後には、「羽毛の吸音材」をこぼれ落ちないように工夫して詰め込んでいる。

「まったく違和感がないです!」と聞き惚れるMさん・・。

ついでに、コーラルのドライバーとウッドホーンのコンビも聴いてもらい、どちらが「お好きですか・・」と単刀直入にお訊ねしたところ「もっと長時間聴かないと簡単に応えは出せませんね・・」、誘導しようというこちらの思惑が見事に外れて、ギャフン~(笑)。



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