「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

モーツァルト愛がもたらした素敵なプレゼント~その2~

2023年02月02日 | ウマさん便り

いやあ、この2日間すっかり「おんぶに抱っこ」でしたねえ。しかもアクセスが快調に復活しました・・、「ブログ主」を交代した方がいいんじゃないかな(笑)。

人の文章を云々する資格を持ち合わせているとは思わないが、リズム感といい、細かい観察力といい、少しも恰好を付けないところといい、こういう文章大好きです!

というわけで、好評につき3回連続掲載といかせてもらいましょう。

それでは、前回の「~その1~」からの続きです。

さて、それから二年後ぐらいやったか、彼のことをすっかり忘れた頃、手紙をもらった。消印(けしいん)は今宮(いまみや)とあった。 

「ウマさん、Tです。覚えてはりますか? 御無沙汰(ごぶさた)してます。今宮にある兄の鐵工所(てっこうしょ)で働いてます。

(中略)例のモーツァルト、今でもよく聴いてますけど、他のモーツァルトもぎょーさん聴いてます。ピアノ協奏曲の20番や27番、交響曲の39番40番41番なんかもええですね。(中略)それと、今、地元の青少年指導員をやらせてもらってます…」少年院に入ってた人が、青少年指導員やて!
 

<ハロードーリー><聖者が街にやってくる>などのヒット曲で有名なサッチモ、あのルイ・アームストロングは札付(ふだつ)きの不良(ふりょう)だった。

少年院で初めてトランペットを手にした。すぐ音が出た。で、起床(きしょう)ラッパや就寝(しゅうしん)ラッパを吹くようになった。ところが、彼がトランペットを吹くようになって、喧嘩(けんか)や脱走が激減(げきげん)したそうです。音楽のちからってすごいですね。 

そうそう、Tさんが泣いたというモーツァルトはね、ピアノ協奏曲第21番ハ長調の第二楽章アンダンテです。この曲に関して忘れることが出来ないのは、何と云っても、スェーデン映画「みじかくも美しく燃(も)え」ですね。

映像がとても綺麗(きれい)な映画だったけど、この夢見るような第二楽章アンダンテが、実に効果的に流れていたなあ。映像とぴったりやった。モーツァルトさんにお願いして、<第二楽章アンダンテ>ってな味気(あじけ)ない名前を<みじかくも美しく燃え>に変えてもろたらどうやろ? このメルヘンみたいなタイトル、彼、きっと「かまへん…」て云うと思うけどなあ。

実話に基づいた、この胸キュン映画「みじかくも美しく燃え」…この邦題(ほうだい)を考えた人エライ! このタイトルに、おじさん、胸キュンになっちゃうの… 

モーツアルトは毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい人で、卑猥(ひわい)な言葉を連発しギャンブルに狂い、借金だらけのとんでもない人やったけど、音楽に関しては、小さい時から天才を示したそうです。社会人としては欠陥(けっかん)だらけ、そんな問題の多い天才っていますよねえ。バド・パウエル、チャーリー・パーカー、スタン・ゲッツ…

でもね、彼らがこの世に残した、その、超美しい遺産(いさん)を想(おも)う時、僕は、…社会的性格の破綻(はたん)は、無数の人々に感動を与えてきた、その普遍的(ふへんてき)芸術の代償(だいしょう)として相殺(そうさい)してあげなくては…と、心から思いますよ、ウン。 

モーツァルト・ピアノ協奏曲21番第二楽章」知らない方はユーチューブで聴いてみてください。第二楽章アンダンテでっせ!

オーケストラによるテーマ提示(ていじ)のあと、ピアノが、まるで夢見るような旋律(せんりつ)を奏(かな)でます。あなた、きっと云うよ。「ああ、これ、聞いたことある!」

モーツァルトのこの音楽は世界遺産だと僕は思う。この世に、こんな美しいメロディーを創(つく)った人がいたということですね。でもね、これはモーツァルトが創ったのではなく、神をしてモーツァルトに創らしめた…と、僕は思っています。つまり、神さんが作った、云わば<天上(てんじょう)の音楽>なんです。 

音楽の力(ちから)って凄(すご)いと思うなあ。Tさんをヤクザの世界から足を洗わせたんですから… 

追記:

モーツァルトのピアノコンチェルト第21番ハ長調は、多くのピアニストが録音してますし僕も何枚か持ってます。でも、僕が一番よく聴くのは、ルーマニアのディヌ・リパッティの、1950年8月、スイス・ルツェルンでのライブ録音で、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮によるものです。残念ながら音はよくありませんが、それを超越して迫ってくるものがあります。

リパッティは僕の最愛のピアニストです。僕にとって、彼ほど、気品と情熱と慈悲深(じひぶか)さを感じさせるピアニストは他にいません。彼はこのフェスティバルで演奏した翌月9月、フランスのブザンソンで人生最期(さいご)の演奏をし、同年12月に亡くなっています。33歳でした。僕は、夢の中で彼の演奏を聴いたことが何度かあります。

録音が良く演奏も素晴らしいのは、アバド指揮ウィーンフィル、フリードリッヒ・グルダによる21番です。これも、ため息が出るほど美しい。

以下、「第二段階目」のストーリーがいよいよ佳境に入っていきますので、内容に合わせて次回以降のタイトルを「モーツァルトが変えた人生」に変更します。

続く。



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