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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ビゼー作曲「アルルの女」考~後編~

2021年08月01日 | 音楽談義

前回からの続きです。

学生時代の頃に非常に思い入れがあったオッテルロー指揮「アルルの女」のCD盤がオークションに出品されているのをようやく見つけたところまで記載しておいた。

そして、オークションの開始価格は1000円、出品地域は東京都。

しめしめ、開始価格が1000円とは頂いたも同然と思い、まずは悠然と余裕を持って2100円で入札。もちろん自分が最初の入札者。

ところがである。翌日、メールを何気なく開いてみると高値更新とある。これはどこかの誰かさんが2200円以上で入札したということで
「自分以外にもこの盤を狙っている者がいる」とややショック。

「エイッ、負けるものか」とさっそく3100円で入札額をアップしたところ、依然として最高入札額に届かない。

やはり全国規模のオークションともなると、自分以外にもこの盤に
ものすごく執着している人が確実にいることが改めて分かった。やはり、世間は広い!

以前、「オークション入札のノウハウ」を読んだことがある。どうしても手に入れたいときは気合で勝負するそうだ。

つまり、誰かが自分よりも高値で入札したら、間髪
をいれずすぐにそれ以上の高値を入れること。そうすると、相手方は戦意を喪失(?)して諦めるとあったのを憶いだした。

最終的には1万円以上でもしようがないと腹をくくって、6500円で入札したところ「貴方が最高額です」と表示されて、やっと6100円で登録された。「どこかの誰かさん」の入札額は6000円だったとみえる。

この気合が功を奏したのだろうか、その後、終了日時まで音沙汰なしで無事推移し、結局、
自分が手に入れる結果となった。(万歳!)

CDたった1枚が6100円!

あとにも先にもこういう買い物は初めてのはずだが、このオッテルロー盤だけはこういう機会でなければおそらく永久に手に入らないと思うのでまったく後悔なし。


出品者とすぐに連絡がつき、用心のため送付は「ゆうパック」を選定(通常は冊子小包)したところ、当方をアタマから信用してもらった様子で代金を振り込む前にCD盤が自宅に到着したのには驚いた。
           

本当にありがたいことで、通常では考えられない迅速な対応と、それからものすごく丁寧な梱包だった。

さあ、これで
オッテルローの「アルルの女」がやっと聴けると、長年の思いがかなった喜びで胸を震わせながらさっそく試聴した。

 ビゼー(1838~1875)作曲 「アルルの女」
  指揮:ヴィレム・ヴァン・オッテルロー(オランダ、1907~1978) ※メルボルンで、自動車事故死
  演奏:ハーグ・レジディンティ管弦楽団
  録音:1959年前後

まず、約50年前の録音なのに
予想以上の鮮明なステレオ録音に驚いた。さすがにPHILIPSレーベルだけのことはある。

肝心の演奏の方も、期待を裏切らぬものだった。

オッテルローは長いあいだ「ハーグ・・管弦楽団」の常任指揮者をつとめていたので固い信頼関係のもとに一糸乱れぬ演奏といってよいもので、ハープや弦のピチカートの伴奏でフルートやオーボエ、それにクラシックでは珍しいサキソフォンなどがこのうえなく牧歌的で魅惑的なメロディを歌っている。

「そうそう、こういう演奏だったなあ~」としばし往時の記憶が蘇って懐かしかった。何だか自分が学生時代に戻ったような感じ。

しかし、当時のチャチなレコード装置とSPで聴いていたときとはえらい違いで、今回は随分音質が引き締まっている印象に思えた。

いずれにしても気を衒うことのない自然で音楽性豊かな演奏に再度惚れ直してしまった。やっぱり、購入してよかった!

カップリングされた「ペールギュント」も素晴らしい出来栄えで「ソルヴェイグの歌」のエルナ・スプレンベルクのソプラノは特上品。

とにかく、こういう若いときの思い出と分かちがたく結びついた演奏との出会いはまるで「初恋の人」に出会ったみたいで本当にうれしくなる。

作家の村上春樹さんの言葉をつい思い出す。

「僕らは結局のところ、血肉ある個人的記憶を燃料として世界を生きているのだ。」


  
 

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