今回はネットオークションに出品されたスピーカーを泣く泣く見送った話を2件紹介してみよう。
まず、
☆ 「ハートレー ホルトンA220MS」
「滅多に出てこないハートレーの逸品がオークションに出品されてますよ。もう我が家には置き場所がないんですけど、ぜひ欲しいですねえ。とても迷ってます。」と、オーディオ仲間に相談した。
「ハートレーですか。これはまた珍しいスピーカーが出てきましたね。噂はかねがね聞いてますよ。たしかイギリスからアメリカに途中で身売りしましたよね。 」
ご覧のとおりマグネットの部分が赤色になっているが、これはグッドマンの「AXIOM80」などに見られるとおり「音質保証」の代名詞みたいな優れもの(笑)。
口径25センチの理想的なフルレンジで箱付きで売られており、最初に見かけたときの入札額は2万円前後だった。安いっ!10万円以下なら絶対に買いだと、思わず意気込んだ。
ところが、その後グングンと値が上がって、とうとう落札時刻(8日 22時)の3時間前ともなると15万円に!
それでもグッドマン(3台)を持ってなければ絶対落札するんだがと、切歯扼腕しながら涙を呑んであきらめた。
とうとうハートレーとは縁がなかったか・・・。
さっそく仲間に連絡して「とうとう15万円になりましたよ。この調子なら最終的に20万円を超えると思います。もう諦めました。興味を示されていましたが、わたくしは降りましたので遠慮なく入札に参加されて結構ですよ。」
「そんなに値上がりしましたか!世の中にはまだハートレーの凄さを知っている方がいるんですね。わたしも欲しいことは欲しいのですが、インピーダンスが8Ωというのはちょっと気になりますね。
15Ωならイギリス時代のものと断定していいのですが、8Ωだとアメリカ時代のものかもしれません。止めておきます。それから、ハートレーは密閉箱に吸音材をいっぱい詰め込んで鳴らすのが一般的です。〇〇さん宅のウェストミンスターには合わないと思いますよ。」
「ああ、それもそうですね~。」
実はこれには後日談があって、万一落札したときは我が家のオーディオルームにおくスペースがないので、近隣にお住いのYさんが運営されている「老人ホーム」の施設内に置かせてもらう手筈を整えていた。もちろん、Yさんのご快諾のもとにである。
そのときに描いていた筋書きは次のとおり。
まず箱に容れたまま施設内で聴かせてもらう。アンプは自宅から比較的軽い71Aシングルなどを持って行く。それほど凄くない音だったら、箱の中からユニットだけを取り出して自宅に持ち帰る。箱はYさんに進呈する。
その一方、メチャ音が良かったら箱からユニットを取り出すのを止めて、週1回ぐらいのペースで訪れて音楽を聴かせてもらう。「通い妻」ならぬ「通い夫」だ(笑)。
結局、これは前述どおり夢と終わった。
最後に気になる落札価格だが皮肉にも諦めたときから値上がりせず、15万円のままだった。いっそのこと20万円以上だったらいさぎよくあきらめがつくものをと、何だか複雑な心境に~(笑)。
次に、
☆ グッドマンの「TRIAXIOM12(112C)」(トライアクショム12)
こちらは前述のハートレーと同時並行的に出品されていたグッドマンの3ウェイ式同軸ユニットで、泣く子も黙る(?)「トライアクショム」シリーズの逸品。口径30センチでこれも滅多にオークションに出てくることはない。
何といっても「グッドマンのアルニコ・マグネットに駄作なし」だし、落札日が見逃したハートレーの1日遅れ(9日 20時半)だったので、俄然ヤル気が出てきたが落札時刻の1時間前になって急に入札者が出現した。ずっと「音無しの構え」タイプで、よくあるパターンである(笑)。
そこで、出発価格が5万円だったので6万円なら大丈夫だろうと入れてみたら、何と「再入札の要請」。相手が入札した価格にまだ届かない。何をっと、反発して6万5千円にしたところこれも追い付かず。
頭を冷やすために仲間と相談した。
「例のトライアキショムを入札したんですけど6万5千円でもアウトでした。これ以上粘るとキリがないバトルになりそうです。それほどの価値があるかどうか正直言って迷ってますがどうですかねえ。」
「そうですねえ。〇〇さんは同じ口径30センチのAXIOM300でとてもいい音を出されてますからそんなに無理しなくてもいいんじゃないですか。それに赤色のマグネットなら絶対に買いですが、そうではありませんからねえ・・。」
というわけで、いさぎよく見送った。結局、落札額は6万6千円だった。バトル次第ではもっと値上がりしたことだろう。
「逃がした魚は大きかった」(一度手に入れかけて失ったものは実際よりも大きく素晴らしく見えるものだ。 )と思うことにした。
ま、いっか(笑)。