先日(18日)、我が家にやってきたdCSのDAコンバーターのセッティングを無事終えると、直ちにああでもない、こうでもないといつもの調子でスピーカーやアンプなどを入れ替えて「ベスト マッチング」を探し求めた。
ほんとうは楽しかるべき時間だが、組み合わせの結果に眉をひそめる時の方が多いのでもしかすると苦行の時間なのかもしれない。ま、贅沢な悩みかも~(笑)。
試行錯誤の結果、一応の結果を見たものの残念なことに自分の耳には全幅の信頼を置いていないので(笑)、近所にお住いのとても繊細な聴覚をお持ちのYさんに来ていただいて一緒に試聴することにした。
19日(土)のことだった。
Yさんの第一声は、「とても滑らかで緻密な音ですね。さすがにエルガーです。音の品位がこれまでよりも確実に一ランク上がった感じです。音響空間で音がスーッと消え入るときの余韻の漂い方が何とも言えません。散り際の美学さえ感じられます。低音とか高音がどうのこうのというよりも、録音現場の雰囲気が再現できればもう最高ですよ。」
いやはや、なかなかの高評価に思わず頬が緩む(笑)。
しかし、フィリップスのユニットの後に「AXIOM301」(グッドマン)に切り替えて聴いたところ、明らかに「?」だった。音の爽やかさに相当の違いがある。ほかのDAコンバーターでは、これほどの差がでなかったのに、容赦なくアラを暴き出すのが良質のオーディオ機器の持つ宿命だろう。
ウ~ン、こうなれば仕方がないかなあ・・・。
翌日(20日)の午前2時、昔でいえば「草木も眠る丑(うし)三つ時(どき)」にむっくりと起き出した男がいる。眠気を覚ますために頭を振り振りしながら階下のオーディオルームに入っていく。
電動ドライバー、半田ごて、六角ネジ回し、キリ、延長コードなどの道具を黙々と準備する。
何をするかといえば、タンノイ・ウェストミンスターの後ろ側にまわり込んで、その中に容れているSPユニットの交換作業である。
グッドマン「AXIOM301」ユニットから「フィリップス」(フェライトマグネット)のユニットへ~。両ユニットとも口径が30センチであり同じ補助バッフルが使えるので大いに助かる。
取り付け後の内部の画像がこれ。
左右両チャンネルの作業が無事済んで時計を見てみると時刻は丁度4時半で、所要時間2時間半の文字どおり朝飯前の仕事だった。
この日は翌日(21日)の釣行の準備が控えており、早朝のこの時間しか空いてなかったのでやむを得なかったのだが、実は早くフィリップスの音を聴きたいあまり、非常に気が急いたことは否めない(笑)。
さっそくアンプにSPコードを繋いで音出しを試みると、重量級の箱に容れたせいか音質の方もフィリップス独特のキャンキャンする印象が見事に抑えられて全体的に非常にバランスの取れた音になった。
ただし、重低音は見事といっていいほど出ないのが我が家の音の特徴である。
おそらく実際に聴かれた大半のマニアが「何だこんな音か!」と、ガッカリされるに違いない。しかし、過去に重低音を追い求めた結果、底なし沼に嵌ってしまった苦い経験が薬になってこの状態に落ち着いたわけで、この低音病から抜け出すのに結構時間がかかった。
今でもときどき顔を出すので困るが、現在のモットーは「周波数レンジよりも音のスピード感」である。音の立ち上がりと立下りが早くなると余分な音がまとわりつかなくなるので音響空間に余韻がうまく漂うようになる。
たしか音楽とオーディオの大先達だった五味康祐さんの著書「西方の音」だったか、「ふと、音が鳴り止んだときの静寂感を楽しむ」みたいな記述があったが、ようやくそういう心境になれたかな~(笑)。
ま、オーディオの世界は独りよがりの傾向が大いにあるので、近々、開催予定の「AXIOM80」仲間による試聴会のときの皆の総括を待つことにしよう。
以上、紆余曲折の結果、次のような組み合わせになった。(2015.9.25現在)
第一系統のシステム
CDトラポ「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガー プラス」 → パワーアンプ「真空管PP5/400」(最初期版:英国マツダ)シングル → フィリップスのユニット(口径30センチ:フェライト マグネット型、ウェストミンスターの箱入り)
第二系統のシステム
CDトラポ「同一」 → DAコンバーター「27ixVer.3.0」(ワディア」 → プリアンプ「真空管12AU7使用」 → 「真空管371(トリタン仕様)シングル」 → 「AXIOM80」 or フィリップスのユニット(口径30センチ:アルニコ マグネット型、グッドマンの指定箱入り)
ちなみに「第二系統のシステム」中の「371シングル」アンプは最近故障したので、そのついでにGさん(福岡)に改造してもらったもの。
新たにインターステージトランスを挿入してもらい、ドライバー管を「6SN7」から「AC/HL」(ナス管:英国マツダ)に変更してもらったが、大化けして飛びっきりの音になったので文字どおり「ピンチはチャンス」を実感している。
今度こそ、これらのシステムでず~っと音楽に専念したいものだがはたしてどうなることやら~(笑)。