「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

凄いぞ、JBLシステム!

2012年11月22日 | オーディオ談義

大好きな作家の一人「吉村 昭」さん(故人)は、大切な青春時代に重症の結核を患い、大手術をしてずっと寝たきりという生活を一時期送られた。

遊びたい盛りで、ちゃんと意識があるのに寝たきりとは何とお気の毒。

自分のようにまるで”紙袋にザリガニを入れた”みたいに、落ち着きがなくガサコソ動き回る人間にはとても耐えられそうにないが、吉村さんは「こうやってじっと寝ている生活も、なかなかいいものだ」と、達観したように書いておられる。

いつも感じる清々しい作風はこういう心境から生まれるのだなあと、感心しつつ、なるべく自分もあやかりたいものだと心がけている。

日頃、夜の8時頃に就寝すると(早過ぎて恥ずかしいが!)、どうしても真夜中の2時~3時ごろに目が覚めるが、家人が寝静まっているときに動き回るわけにもいかず、せめて4時ごろまではじっとしていようと、寝床のなかで1~2時間は考え事をする。吉村さんの例があるのでそのくらいの時間は我慢できるはずと、常に自分に言い聞かせている。

ブログの内容や、どうしたらもっとオーディオの音が良くなるかなどと考えるわけだが、起き抜けで頭が新鮮なせいか、いい(?)アイデアが浮かぶのはいつもこの時間帯である。自分にとっては、まさに「ゴールデンタイム」(笑)。

昨日の21日(水)もそうだった。その前日は珍しく夕方の7時ごろに眠くなって就寝、目が覚めたのは3時頃で、久しぶりに見事な連続8時間の”一気眠り”に、満足感に浸って考えごとをしていたら、パッと閃めくものがあった。

「オーディオ・システムの見晴らしをもっと良くしてみよう!」

            

画像を観ていただくと分かりやすい。

フォステクスの
ウーファー「SLE-20W」4発を、現在3発しか使っていないので、不要の1発を外してその代わりに「AXIOM80」ユニットをエンクロージャーの一番上の部分に納めようという魂胆である。(ちなみに、このエンクロージャーは4発とも間に分厚い仕切りを入れて個室にしている)

AXIOM80さんには大きめの専用ボックスから狭い長屋の一室に引っ越してもらうわけで実にお気の毒だが、後ろ側のJBL375のウッドホーンがなかなか好調な音を出しているので、目前の障害物を取り払ってより存在感を引き立てようという狙いも当然ある。

寝床を抜け出したのが4時ごろで、カミさんが出勤するまえに、力仕事を加勢してもらわなければいけないのですぐに下準備にかかった。

いつものように(カミさんが)5時半頃に起きてきたので「おい、スピーカーを降ろすので加勢してくれ~」。「またですかあ・・」と、気乗り薄の返事だが仕方がない。いくらなんでもこんなに朝早くから隣のご主人に加勢を頼むわけにはいかない。

それからはガサゴソと室内を這いずり回ったが全体の作業が少なくとも10時ごろには終了すると踏んでいたものの、結局、朝食をはさんで10時30分頃までかかってしまった。

           

ネジ回しとハンダ付けの作業がメインだが、ユニットを傷付けないために細心の注意が必要で”用心しいしい”のため結構時間がかかる。

さあ、無事終了して注目の音だし。

試聴盤は昨日からCDトランスポートに入れっぱなしにしているグールドの「フランス組曲」(バッハ)。AXIOM80の音が随分こじんまりとなった印象だが、スケール感よりも音のバランスを重視したのでしかたがない。

主眼は背後のJBLシステムである。心なしか、375のウッドホーン経由の音が晴れ晴れと部屋全体に響き渡って心地よく感じる。視覚効果も無視できず「両雄並び立たず、これでよし」と思わず頷いた。

水曜日は運動ジムの定休日なので、13時ごろから家の周囲を30分ほど散歩して帰ってきたところ、玄関前でオーディオ仲間のAさんと鉢合わせ。

「いやあ、丁度良かったです。今日は朝からたまたまシステムの一部を変えたので来て欲しかったのですが、それほどの変更でもないかと随分迷っていたところです。ぜひ上がって聴いてみてください。」

はじめに、「AXIOM80」の音を聴いてもらったが、大きめのエンクロージャーから小さな空間に押し込めたせいもあって、どうもイマイチのご様子。バランス重視の結果なので仕方がない。

ところが、JBLの3ウェイシステムを聴いていただくと、絶賛に次ぐ絶賛だった。試聴盤はジャズでマイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」。

              

「ウッドホーンの内部を6つに分けたスリットのおかげでしょうか、物凄くコンプレッションが利いてます。(ウッドホーンの)出口で音がまさに炸裂する印象を受けます。音のヌケといい、スピード感といいオーディオの楽しさが満喫できますね。

それにタンノイ・ウェストミンスターの本格的なバックロードホーンのおかげで凄い低音が出てます。JBLのD130はもともとバックロードホーンに向いているユニットです。この音なら、是非沢山のジャズファンに聴いていただくことをお薦めします。これでAXIOM80ともう一つのシステムが付録みたいな存在になりました。」

これまで沢山の場数を踏まれ、耳の肥えたAさんからこんなに褒めてもらったのは初めてのような気がする。凄いぞ、JBLシステム!

ちなみに、クロス周波数を記しておくと、D130(8Ω:ハイカット200ヘルツ)、375(16Ω:ローカット300ヘルツ、ハイカット6500ヘルツ)、075(8Ω:ローカット7000ヘルツ)で、いずれも「6db/oct」である。

つい先日の10日(土)に、わざわざ福岡からオーディオ仲間が4人、試聴に来てくれたのだが、あれから375用のPX25真空管をチェコ製から本家本元のイギリス製のGECに替えたり、375ドライバーと075ツィーターを同じアンプで鳴らして音色を統一したりといろいろやってみたところだが、今回の見通し改善の効果も実に大きかった。

結局、この状態で聴いてもらうのだったと”ほぞ”をかんだが、もう後の祭り。いつもこうである。

やれやれ。


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