「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲

2012年11月05日 | 音楽談義

2日(金)の散歩中にたまたま入った「100円ショップ」で見つけた、CD収納用の「両面不織布ケース」。

たったの100円で50枚も収容可能というから、オーディオルームの片付けと、スペースをかせぐためにさっそく購入して3日(土)~4日にかけ、合間を見つけて(CDの)収納作業をやってみた。

                     

まだ途中だが、思いのほか時間がかかった。

画面右側が空になったCDケース。左側がCD本体を移し替えてファイルに収納したもの。計4冊でうち1冊を参考のため開いている。ご覧のとおりスペース的には1/4程度に収まりそうなので大いに助かる。それに、曲目を探すときにもこれまでのようにどこに直し込んだか戸惑うこともなさそうである。

何といってもモーツァルトのCDが一番多いので、最初に取り掛かったが、オペラを除いてファイル3冊に収まった。ヴァイオリン、ピアノ、管楽器ごとの大まかな分類で、ファイル1冊あたりおよそ30枚なので計90枚程度だが、ここ2~3年一度も聴いていないのが大半なのでこういうファイル形式の収納が我が家には似合っている。

次に取り掛かったのが、ブラームスのCD。そのうち半数以上が「ヴァイオリン協奏曲」
だった

これまで何枚所有しているか分からなかったが、ちょうどいい機会だと数えてみたら18枚あった。

演奏者を収納順に順次挙げてみると、

ワディム・レーピン、ヘンリク・シェリング、ヒラリー・ハーン、ヨハンナ・マルツィ、ヤッシャ・ハイフェッツ、アンネ・ゾフィー・ムター、アルテュール・グリュミオー、ジョコンダ・デ・ヴィトー(フリッチャイ指揮とフルトヴェングラー指揮の2枚)、ミシェル・オークレール、ダヴィド・オイストラフ(指揮者がそれぞれ別のもの6枚)、レオニード・コーガン、そして真打のジネット・ヌヴー(女性)。

ヌヴーの演奏に大感激したのが始まりで、とうとう病(やまい)嵩じてこれだけ集めてしまった。いろいろ当時の思い出が湧いてきて、こうなると作業そっちのけで久しぶりにヌヴーを聴きたくなった。

1948年のライブ録音、指揮はイッセルシュテット。

やっぱり、ヌヴーはいい!これを「神演」と言わずして何と言おうか。何を書いても月並みな表現になりそうで、こういう演奏こそ「筆舌に尽くし難し」という言葉がピッタリ。感動のあまりつい涙ぐんでしまった。以前とまったく同じで、まだ自分の「音楽マインド」は失われてなかったと、ひと安心。もっとも、ヌヴーに感動できない人はクラシック愛好家としてはモグリかもねえ。

ヌヴーほどのヴァイオリニストとなると、他のブログにも登場する機会が多い。たとえば無断で引用させてもらうと、

 昭和40年ごろに「盤鬼」と称された「西条卓夫」氏が、「芸術新潮」で新譜のレコード評を担当していたが、同曲目の新譜が出るたびに、最後に「ヌヴーにトドメをさす」と、付け加えていたのは有名な話。


☆ 
ヌヴーが30歳で事故死(飛行機墜落)していなかったら1950年代から1970年代にかけてのヴァイオリニストの序列はおろか、ヴァイオリン音楽のあり方も大きく変わっていたかもしれない。

 ヴァイオリンには女性奏者が多いがハイフェッツやオイストラフに伍する巨星は輩出されていない。ヴァニャフスキ国際コンクールで大差でヌヴー(優勝)に完敗を喫したオイストラフ(第二位)は「悪魔のような才能だ」と妻宛の手紙に書いた。ヌヴーこそ男勝りの気性で彼らを凌ぐことが出来た筈の唯一のヴァイオリニストだった。

☆ 五味康祐氏の名著「西方の音」(1969年刊)の中の記述(248頁)「ヌヴーの急逝以来、僕らは第一級のヴァイオリニストを持たない」とある。当然オイストラフ、ハイフェッツなどが健在だった頃の話で、今でこそ両者は巨匠の名をほしいままにしているが、当時はそれほどの位置づけではなかったのかもしれない。

「ブラームスのヴァイオリン協奏曲」でヌヴ-とくればオイストラフだが、前者を「剛」とすれば、オイストラフは「柔」。所有している6枚のうち、双璧はクレンペラー指揮とセル指揮のもので、いずれも甲乙つけがたし。

オイストラフは当時、ソ連邦の外貨稼ぎのため世界各地で客演していたが、あまりに酷使されたため旅行先で心臓まひで急死してしまった。現代の芸術家の扱いと比べると、ちょっと可哀想である。

さて、今日(5日)はいよいよ大物「ベートーヴェン」のCD収納にとりかかる。

温厚で内省的な作曲家ブラームスに言わせると「絶えずベートーヴェンのような巨人がうしろからのっし、のっしと歩いてくるのが聞える。その気持ちがどんなものか、君には見当もつかないだろう」(「音楽の名言・名句事典」より)。

そのベートーヴェンだが、交友関係にあったドイツの女流詩人にあてた手紙の中で「音楽は一切の知恵・一切の哲学よりもさらに高い啓示である・・・・・私の音楽の意味をつかみ得た人は、ほかの人々が引きずっているあらゆる悲惨から脱却するに相違ない」。(同)。

いかにもベートーヴェンらしい自信に満ち溢れた言葉だが、後期のピアノ・ソナタ「30番~32番」、交響曲第6番「田園」は「ブラームスのヴァイオリン協奏曲」並みの収集なので時間がかかりそうだ。あまり道草をくわないようにしよう。



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