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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーデイオ談義~「じゃじゃ馬スピーカーの乗りこなし」~

2012年03月13日 | オーディオ談義

つい最近、メールのやり取りを始めた新潟県の「S」さん。

モーツァルトのオペラ「魔笛」(レーザーディスク)をお持ちとの話を受けて「サバリッシュ指揮のオペラ魔笛」と題して2週間ほど前のブログに掲載させてもらったが、この11日(日)にいただいたメールには「無人島に持っていく一枚」と題してベートーヴェンの後期ピアノソナタ「30番~32番」(バックハウス演奏、モノラル盤)が挙げてあった。

これらの後期ソナタ、しかもバックハウスの演奏がお好みとは、曲目も演奏者も随分と自分の嗜好と似通っていて驚いた。

楽聖「ベートーヴェン」が晩年に至ってようやく到達した深淵な境地を物語るこれらのソナタは、きわめて内省的な趣を持っているため、この良さが分かる人は相当深く聴き込んだクラシックファンだと勝手に決めている。

取り分け32番のソナタは、以前のブログ「シューマンの指」(奥泉 光著)の中で、「ベートーヴェンは、ピアノ・ソナタというジャンルを完成させた。後期の、とりわけ最後の作品111のc-Moll(ツェーモル→ハ短調)は明らかに破壊だろう?偉大な完成者が自分で解体してみせるところまでやり尽くしたジャンルで、後から来た人間に何ができるだろう?それへのシューマンの解答が、小曲集形式なのだ。」(31頁)と紹介させてもらったばかり。

このソナタの第二楽章などはまるで「ジャズの乗り=Swing」に近いところがあり、簡潔な二楽章形式の構成と相俟って上記の「破壊」という表現に繋がっているのだが、聴けば聴くほどに全体が「静謐感」と「乗り」の絶妙なバランスによって成り立っているのが分かる。

これほどの複雑な名曲になると演奏者の巧拙が一気に明るみのもとに照らし出されるが、「S]さんによるとポリーニの演奏が「オーディオ装置」のレベルによって相当変化するそうで、昔聴いたときよりも完成の域に達した現在の装置で聴く方がずっといいそうである。

ポリーニの演奏を一度聴いてみたいものだが、文春新書の「クラシックCDの名盤 演奏家編」によると音楽評論家の「宇野功芳」さんが次のように酷評している。

「クラシック音楽なのに聴いているのが苦痛、ということがある。ポリーニが良い例だ。ライブはそれなりに楽しめるがCDは駄目。特に精神的なベートーヴェンは聴くに堪えない。」

「S」さんが「宇野さんはいったいどういうオーディオ装置で聴いたうえでこういう評価をしているのか」と、疑惑の眼を持って調べてみると「クラシックCDの名盤」に宇野さんのオーディオ装置が紹介されていた。

使用機器のうち、新製品はプレーヤーだけで、アンプとスピーカーはいずれもモノラル時代あるいはステレオ初期の名品である。

今のものに比べると、周波数レンジは狭いし分解能も悪いが、中音域の美しさ、豊かさ、気品は最高で使用年数は実に40年を超える。

トーレンスTD126Mk111 (プレーヤー)

シュア=ウルトラ500 (カートリッジ)

マランツ7 (プリアンプ)

クオードⅡ (パワーアンプ)

スピーカー 

 低域 ワーフェデール15 

 中域 グッドマン Axiom80 

 高域 ワーフェデール スーパー3

そして「○○さん(自分のこと)もAxiom80を使っておられますがどういう感想をお持ちですか?」とあったので、前置きが随分長くなったが、ここからいよいよ本題に入ってメールではなくてこのブログで以下のとおり「回答」させていただこう。

              

まず、「Axiom80」(フルレンジ用:20cm口径)を中域専用に使っているのはさすがに慧眼(けいがん)だと思います。

このSPユニットは極めて繊細な音を出しますが”つくり”の方もすごく繊細なので大きめの低域信号を入れると壊れやすいのが難点です。したがって、中域専用に使うのは理にかなっています。

しかし、一番の問題は低域用ユニット(ウーファー)とのマッチングです。実際に聴いてみないと断言できませんが、ワ-フェデールのユニットではおそらく「Axiom80」の「強力マグネット+エッジレス」に裏打ちされたハイスピードについていけないと思います。

まあ、オーディオ的に考えたらそういうことですが、雰囲気を楽しむのだと割り切ればそれでいいのでしょうが。


また、「Axiom80」は高域にもちょっと癖があって普通の鳴らし方をすると「キャンキャン」と、ときどき耳障りな音を出す傾向にありますので高域に別のユニットを持ってきていることも十分理解できます。

我が家の場合はクロス周波数を200ヘルツ前後にとって、それから上の中域と高域部分をこの「Axiom80」で鳴らしていますが、高域が”うるさく”鳴らないようにいろいろと工夫しています。

                                

先ず2cm厚のパイン(松)で密閉型のボックス(タンノイⅢLZクラス)を自作して、箱鳴りをそこそこに誘発するようにしています。裏蓋にはユニットの背圧を適当に逃がすため120個ほどの1㎝直系の穴をランダムに開けています。この効果は非常に大きいようです。ボックスの中にはもちろん吸音材として「羽毛」を木綿袋に小分けしてぎっしり詰め込んでいます。

そして、ユニットの前には100円ショップで購入した「絹綿タオル」を二重にして、ぶら下げて刺激音を吸収するようにしています。

駆動しているのは「PX25真空管」(同じイギリス製)アンプですが、スピーカーへの接続端子が4Ω、8Ω、16Ωとあるところ、「Axiom80」は15Ω負荷ですが、試行錯誤の結果、今のところ8Ω接続に落ち着いています。

以上の方法によりこの「じゃじゃ馬スピーカー」を何とか乗りこなしていますが、まるで「苦労の連続」に応えてくれるように、ヴァイオリンの音色がいったんツボに”はまった”らこのぐらい心強い味方はありません。これからも骨までしゃぶり尽くしながら愛用していくつもりです。

「S」さんが九州にお見えになる機会があったときはぜひ当地まで足を延ばしてもらって、「百聞は一聴にしかず
一度試聴していただいてご意見を伺いたいものです。


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