2024.08.21日高報知新聞
チプ(丸木舟)で川下りを楽しむ参加者たち
【平取】アイヌ民族伝統の舟おろしの儀式「第55回チプサンケ2024」が18日、二風谷ダム近くの沙流川左岸に設けた舟おろし場で行われた。
文化の伝承を目的に平取アイヌ協会などでつくる実行委が主催。
「チプ」はアイヌ語で丸木舟、「サンケ」は下すを意味し、古来から伝わる技法で作られた船に魂を入れるための親水の儀式。舟材を授けて下さった山の神へ感謝の気持ちを伝え、新たな舟ができたことを川の神に報告する。船頭たちがワッカウシカムイ(水の神)へ祈りを捧げた後に乗船する。
この日は、晴天に恵まれ、午前は「縁結び石祭り」、アイヌ民族の伝統的家屋「チセ」での「カムイノミ」(神への祈りの儀式)、古式舞踊が披露された。
午後1時から始まったチプサンケには約200人の観光客のほか、二風谷アイヌ文化博物館で研修中の神奈川大学4年の三川眞里さんら4人の大学生も参加。ヘルメットとライフジャケットを身につけ、約800㍍の川を15分ほどかけて下るのどかな船旅を楽しんだ。
6月19日に岡山県を出発しキャンピングカーで2カ月北海道旅行を満喫している藤原さんご夫妻は「広大な自然が広がっていて素晴らしい。山登りが好きであちらこちら登りながら南下してきて、チプサンケを体験できた。素晴らしい体験となった」と笑顔で話した。
18日の本祭には500人の観光客が訪れた。