武部 健一=日経ソフトウエア
北海道新聞2024.11.192024年11月19日 20:58(11月19日 22:05更新)
視察に訪れた道教委の教育委員に展示解説をする、市郷土資料館の長町学芸員(右から2人目)
【恵庭】8月に国の重要文化財(重文)に指定された「西島松5遺跡出土品」の実物資料が12月15日まで、市郷土資料館(南島松)で特別展示されている。7~9世紀に作られた鉄剣や土器などの貴重な資料を間近で見ることができる。
同遺跡は市内を流れる柏木川沿岸の台地に位置する。2000~05年の発掘調査で7~9世紀の土坑墓・周溝墓計90基が見つかり、そこから当時の刀などの金属製品や土器類が計167万点出土した。
このうち重文に指定されたのは218点。特に金属製品は同時代の道内遺跡と比べてずばぬけて多く、保存状態も良好だった。
刀の一部は畿内(近畿地方)で作られたとみられるほか、東北北部の遺跡の出土品と共通点も多い。重文には「当時の石狩低地帯と、畿内の古代国家や東北北部との交流、文化的・政治的関係性を考える上で極めて重要な考古資料」(文化庁)として指定された。
会場では、刀や鏃(やじり)などを中心に61点を展示している。目玉は長さ80センチの大刀(たち)や、柄の先が丸く加工された「蕨手(わらびて)刀」。大部分がさびに覆われながらも、鋭利な刃先や加工の跡が確認でき、存在感を放っている。
・・・・・・・
入館無料で午前9時半~午後5時。月曜と今月29日は休館。12月7日午後2時からは、古代北海道と本州の交流を研究している北大アイヌ・先住民研究センターの蓑島栄紀准教授を講師に招いた記念講演会を市民会館で開く。予約不要で先着100人。問い合わせは市郷土資料館、電話0123・37・1288へ。