JBpress-2014.07.29(火) 大和田 一紘
観光振興と地域人材育成の「一石二鳥」策〜北海道松前町
北海道松前町は道南の渡島半島の南西部に位置する、人口8389人(2014年3月末現在)の町である。北海道にあって古い歴史を有し、今から約800年前の鎌倉時代に和人が移住し、アイヌ民族との雑居が始まったと言われる。
その後松前藩が成立し蝦夷地を統括するようになり、約270年にわたって最北の城下町として政治・経済・文化の中心として栄えた。1871年(明治4年)の廃藩置県により松前藩が消滅してからは、漁業の町へと変貌し、松前漬けに代表される海の幸にも恵まれた地域として今に至っている。
歴史・文化に恵まれた日本最北の城下町
北海道唯一の城下町ゆえに、重要文化財や有形民俗文化財などが豊かに残るなど、歴史や文化にも恵まれている。1854年(安政元年)に完成した松前城は旧式築城では日本最後期のものであり、戊辰戦争や太平洋戦争などの危機を乗り越えたが、1945年に天守などが焼失。1961年に再建され町のシンボルとして市民に親しまれている。
また、江戸時代を再現したテーマパークである松前藩屋敷には、商家や奉行所、武家屋敷など14棟があり、家財道具などはかつて実際に使われていたものを展示している。
さらに、松前城の天守を望み、一重、八重、紅、白、淡黄と色とりどりに爛漫と咲き誇る桜は、日本さくら名所100選に選ばれ、サトザクラを主体とした約250種の桜を擁する、まさに「さくらの里」と言っても過言ではないであろう。
実際に、年間を通じてさくらセミナーを実施し、全国の桜管理の担当者や桜に対する関心の高い人たちなどを対象に、桜の維持管理技術や観桜文化の普及等を図っているほど力を入れている。
さて、松前町の人口の推移を見ると、1970年の1万8624人から現在では実に半分以下へ低下し、高齢化率も40%(平成22年度)ほどに達しており、人口減や高齢化への対策は待ったなしの状態である。
そんな中で産業構造も1次産業中心から3次産業へとウエイトがシフトしているが、豊かな資源を生かした水産業の振興や6次産業の推進、観光事業の促進など経済活動を通じた町の活性化が急務と思われる。
観光ボランティアガイドのモデル地域
観光という観点で見てみると、松前町の2012(平成24)年度の入込数は45万人、宿泊客数は5万人となっており、人口比で考えると渡島管内(2市9町)で1番であり、宿泊客比率も函館に次ぐ高さになっている。
2016年(平成27年度末)に新青森駅から新函館北斗駅まで新幹線が延長されるのを好機に、海と山の幸や文化歴史、温暖な気候などを生かした滞在型の観光産業振興に着手し始めたところである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41304
観光振興と地域人材育成の「一石二鳥」策〜北海道松前町
北海道松前町は道南の渡島半島の南西部に位置する、人口8389人(2014年3月末現在)の町である。北海道にあって古い歴史を有し、今から約800年前の鎌倉時代に和人が移住し、アイヌ民族との雑居が始まったと言われる。
その後松前藩が成立し蝦夷地を統括するようになり、約270年にわたって最北の城下町として政治・経済・文化の中心として栄えた。1871年(明治4年)の廃藩置県により松前藩が消滅してからは、漁業の町へと変貌し、松前漬けに代表される海の幸にも恵まれた地域として今に至っている。
歴史・文化に恵まれた日本最北の城下町
北海道唯一の城下町ゆえに、重要文化財や有形民俗文化財などが豊かに残るなど、歴史や文化にも恵まれている。1854年(安政元年)に完成した松前城は旧式築城では日本最後期のものであり、戊辰戦争や太平洋戦争などの危機を乗り越えたが、1945年に天守などが焼失。1961年に再建され町のシンボルとして市民に親しまれている。
また、江戸時代を再現したテーマパークである松前藩屋敷には、商家や奉行所、武家屋敷など14棟があり、家財道具などはかつて実際に使われていたものを展示している。
さらに、松前城の天守を望み、一重、八重、紅、白、淡黄と色とりどりに爛漫と咲き誇る桜は、日本さくら名所100選に選ばれ、サトザクラを主体とした約250種の桜を擁する、まさに「さくらの里」と言っても過言ではないであろう。
実際に、年間を通じてさくらセミナーを実施し、全国の桜管理の担当者や桜に対する関心の高い人たちなどを対象に、桜の維持管理技術や観桜文化の普及等を図っているほど力を入れている。
さて、松前町の人口の推移を見ると、1970年の1万8624人から現在では実に半分以下へ低下し、高齢化率も40%(平成22年度)ほどに達しており、人口減や高齢化への対策は待ったなしの状態である。
そんな中で産業構造も1次産業中心から3次産業へとウエイトがシフトしているが、豊かな資源を生かした水産業の振興や6次産業の推進、観光事業の促進など経済活動を通じた町の活性化が急務と思われる。
観光ボランティアガイドのモデル地域
観光という観点で見てみると、松前町の2012(平成24)年度の入込数は45万人、宿泊客数は5万人となっており、人口比で考えると渡島管内(2市9町)で1番であり、宿泊客比率も函館に次ぐ高さになっている。
2016年(平成27年度末)に新青森駅から新函館北斗駅まで新幹線が延長されるのを好機に、海と山の幸や文化歴史、温暖な気候などを生かした滞在型の観光産業振興に着手し始めたところである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41304