毎日新聞 2021/10/10 地方版 有料記事 2168文字
潮騒を乗せて吹き寄せる海風が、イナウ(木製の祭具)を揺らす。
浦幌町。海岸に臨む丘陵で、ラポロアイヌネイション(旧・浦幌アイヌ協会)が8月、カムイノミ・イチャルパを執り行った。神に祈り、北海道大や東京大などから返還されたアイヌ民族の遺骨103体を供養する儀式だ。大学は研究目的でコタン(集落)の墓地から遺骨を持ち去り、研究室に放置していた。
「人間の魂や尊厳を傷つけ、何と残酷なことをするのか」。儀式を見守った宇梶静江(88)の憤りは、より広い世界へと向かう。「いま、コロナというウエンカムイ(悪い神)が怒っている。人間がいかに、大地や自然を痛めつけてきたかを知らせるため、来たのかもしれません」
この記事は有料記事です。 残り1869文字(全文2168文字)
https://mainichi.jp/articles/20211010/ddl/k01/040/011000c
潮騒を乗せて吹き寄せる海風が、イナウ(木製の祭具)を揺らす。
浦幌町。海岸に臨む丘陵で、ラポロアイヌネイション(旧・浦幌アイヌ協会)が8月、カムイノミ・イチャルパを執り行った。神に祈り、北海道大や東京大などから返還されたアイヌ民族の遺骨103体を供養する儀式だ。大学は研究目的でコタン(集落)の墓地から遺骨を持ち去り、研究室に放置していた。
「人間の魂や尊厳を傷つけ、何と残酷なことをするのか」。儀式を見守った宇梶静江(88)の憤りは、より広い世界へと向かう。「いま、コロナというウエンカムイ(悪い神)が怒っている。人間がいかに、大地や自然を痛めつけてきたかを知らせるため、来たのかもしれません」
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