北海道新聞 03/06 05:00
内閣府のアイヌ民族政策に関する世論調査で、アイヌ民族が日本の先住民族だと知っている人が全国、道内とも初めて9割を超えたことについて、道内の関係者は「正しい認識が浸透しつつある」と歓迎した。一方、明治時代以降の国の政策で、アイヌ民族が厳しい生活を強いられたといった歴史を理解している人の割合は5割を切っており、学校教育の充実や対外発信の強化を求める声が出た。
「アイヌ民族が日本の先住民族だという認識が、道外でもこれだけ広がっているとは思わなかった」。北海道アイヌ協会(札幌)の中村吉雄副理事長は、驚きを隠さなかった。アイヌ民族を先住民族だと明記したアイヌ施策推進法が2019年に施行され、20年には胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」(ウポポイ)が開業。中村さんは「全国の人がアイヌ民族に関する情報に触れる機会が増えた効果が出ている」と分析した。
ただアイヌ民族について知ることを尋ねた質問(複数回答)では、アイヌ民族が明治期以降に独自の文化を制限された生活を余儀なくされたことなどを知る人は全体の半数以下。中村さんは「正しい理解が深まることが、民族共生への一歩になる」と話した。
札幌などのアイヌ民族でつくる「先住民族アイヌの声実現!実行委員会」の多原良子共同代表は「アイヌ民族は勝手に貧しくなったのではなく、国の政策で厳しい状況に置かれた。国は責任を持って、学校などでアイヌ民族の歴史をきちんと教えてほしい」と要求。日高管内新ひだか町の三石アイヌ協会の幌村司会長は「ウポポイでも差別の歴史に関する展示は少ない。過去を直視し、もっと発信すべきだ」と注文した。
ウポポイの認知度は道内では97・6%に達したのに対し、全国は35・5%で大きく開いた。施設を運営するアイヌ民族文化財団(札幌)は「今後、道外での情報発信を強化したい」とした。(田鍋里奈、金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/518475
内閣府のアイヌ民族政策に関する世論調査で、アイヌ民族が日本の先住民族だと知っている人が全国、道内とも初めて9割を超えたことについて、道内の関係者は「正しい認識が浸透しつつある」と歓迎した。一方、明治時代以降の国の政策で、アイヌ民族が厳しい生活を強いられたといった歴史を理解している人の割合は5割を切っており、学校教育の充実や対外発信の強化を求める声が出た。
「アイヌ民族が日本の先住民族だという認識が、道外でもこれだけ広がっているとは思わなかった」。北海道アイヌ協会(札幌)の中村吉雄副理事長は、驚きを隠さなかった。アイヌ民族を先住民族だと明記したアイヌ施策推進法が2019年に施行され、20年には胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間」(ウポポイ)が開業。中村さんは「全国の人がアイヌ民族に関する情報に触れる機会が増えた効果が出ている」と分析した。
ただアイヌ民族について知ることを尋ねた質問(複数回答)では、アイヌ民族が明治期以降に独自の文化を制限された生活を余儀なくされたことなどを知る人は全体の半数以下。中村さんは「正しい理解が深まることが、民族共生への一歩になる」と話した。
札幌などのアイヌ民族でつくる「先住民族アイヌの声実現!実行委員会」の多原良子共同代表は「アイヌ民族は勝手に貧しくなったのではなく、国の政策で厳しい状況に置かれた。国は責任を持って、学校などでアイヌ民族の歴史をきちんと教えてほしい」と要求。日高管内新ひだか町の三石アイヌ協会の幌村司会長は「ウポポイでも差別の歴史に関する展示は少ない。過去を直視し、もっと発信すべきだ」と注文した。
ウポポイの認知度は道内では97・6%に達したのに対し、全国は35・5%で大きく開いた。施設を運営するアイヌ民族文化財団(札幌)は「今後、道外での情報発信を強化したい」とした。(田鍋里奈、金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/518475