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千歳の蘭越遺跡周辺から縄文~中近世の遺物3105点出土 大規模遺跡の可能性

2012-03-30 | アイヌ民族関連
(苫小牧民報 2012年 3/29)

 千歳市教委の市埋蔵文化財センターは昨年、市内北信濃の蘭越遺跡(1963年に一部調査)周辺の試掘調査で縄文、続縄文、擦文、中近世(アイヌ文化期)にかけた土器や石器などの遺物3105点を発掘した。よろいの一部とみられる多数の金属片も発見。擦文時代と考えられていた同遺跡が、複数の時代の遺跡が重なる重層遺跡であることが判明。また大規模遺跡の可能性を確認した。
 北千歳駐屯地の急傾斜地(北信濃)は、土砂崩れの危険性から市が防衛省の受託事業として、対策工事を計画する地域。市道路建設課から委託を受け、同センターが昨年5月16日から8月5日にかけて試掘した。調査範囲は、大和3~桂木5付近に隣接した同駐屯地内の段丘のへり部分で、東西約1.5キロ、幅20メートルの地域。63年に発掘調査した地域から、東西に拡大した。
 101カ所を試掘し、ほぼ全ての場所で各時代の遺物が出土。縄文、続縄文、擦文各時期の土器1269点、剥片(はくへん)石器など720点、れき石器など909点。金属器は201点で、うち194点が中近世の、よろいの一部。小刀や漁具の鉤銛(かぎもり)も見つかった。
 遺跡では、縄文時代の竪穴住居跡が5カ所、たき火などの跡が2カ所。擦文時代は炉の跡や建物の柱の跡3カ所を発見。中近世は住居や畑、道の跡が発見された。
 同地域では、道央自動車道東側の、急傾斜地のへりに位置するアイヌ民族のとりで「アッテウシのチャシ」が古くから知られている。また同じ地域の蘭越遺跡からは、49年前の発掘調査で擦文土器や竪穴住居跡が見つかり、擦文時代の遺跡とされていた。
 遺物は全て、1739年の樽前山噴火以前の地層から発見。今回の調査で、約7000年前の縄文時代早期から1739年以前にかけた遺跡の存在が判明した。同センターは「複数の時代の遺跡が重なる『重層遺跡』であることを確認した。63年の調査以来、大規模遺跡の可能性を追認できた」と意義を話す。
 出土したよろいの一部は、銅製の金具である縁金(ふちかなぐ)や、胸部を守るための長さ7センチ、幅2.5センチほどの小さな鉄製の板「小札(こざね)」で、複数をつないで胸部を守る働きをする物だ。アイヌ民族が宝物としたとみられ、道内では日高地方でも出土。同センターは「北海道は、本州と北方の交易の中継地点。中世以降の交易の状況を知る上で興味深い」とする。
http://www.tomamin.co.jp/2012c/c12032903.html

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