西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

分析住宅から総合住宅、不可視住宅から可視住宅へ

2009-07-22 | 住まい・建築と庭
最近、15年前に建てた自宅(OMソーラー住宅)の補修を、シロアリ発見、一部駆除を契機に本格的に始めた。前にブログで報告している。http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/686397d2895a2ccad6f36f7c86cb59a2

その一番のシロアリ対策だが、当初は、柱の一部を補修、和室の床や畳の入れ替え、板の間のやりかえ程度を考えていたが、毎日、それらの作業進行に合わせてシロアリ行動軌跡を追って行くと、間柱がやられている、主要桁材(胴差し、梁)の一部もやられている、と分かってきた。シロアリが地中から断熱のために入れたスタイロフォームを食い上がって来ている、と分かってきたなど新たな展開、認識となってきた。

こうなったら徹底的に補修と言うか改修にならざるをえない。

ここまでで考えることは、一つには、分析的住宅から総合的住宅へ、ということだ。効率的暖房なら効率的暖房のみを追求する分析的態度は、住宅づくりでは拙い、他の側面の考察も含めた総合的視点が必要ということだ。環境が温かいと内外温度差から温かい側に結露が出来てしめってくる、温かく湿った場所はシロアリが好きな環境、そこに好きな木材種があれば「快適なシロアリ・レストラン」となる。暖房と共に通風も、更には部位の樹種も考え、シロアリ侵入阻止も考える必要があるのだ。OMソーラー住宅だけではなく、今「話題の」外断熱住宅もシロアリ環境からは問題だろう。

もう一つ考えることは、不可視住宅から可視住宅へ転換することだ。最近の住宅では、配線、配管などは「ブラックボックス」になっている場合が多い。今回は、流しなどの裏側の配線、配管が見えるように、また簡単に点検、補修できるように透明な「ポリ・カーボネイト」にした。(「ブラック・ボックス」から「ライト・ボックス」へ)又、「OM暖房域」が狭くなったにもかかわらず、OMソーラー床下を見る点検口を一ヶ所から四ヶ所に増やし、吹き出し口を9か所から11か所に増やした。これも床下を見て、点検したり、掃除したり、場合によって補修したりのし易さのためである。

で、今度のシロアリにやられている間柱や梁は、たまたま見えない壁や天井裏に隠れている。伝統住宅は、それらが見えていて安心だし、点検、補修もしやすいのだった。
今後は、このような可視住宅を目指していこうと思う。それが先輩達の知恵に学ぶということだろう。

大学、高校の建築、住宅に関する教育内容も、分析だけでなく、総合のやりかたも伝授する必要があるだろう。研究でもそういう方向にシフトしなければなるまい。

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