西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

毛綱毅曠(もづな・きこう)作「MOOフィッシャマンズワーフとEGG」

2006-08-18 | 住まい・建築と庭
釧路川の右岸に接して、幣舞橋(ぬさまいばし)のすぐ横にあるのが「MOOフィッシャマンズワーフとEGG」である。「フィッシャマンズワーフ」と言うと地井昭夫さんにサンフランシスコのそれについて聞いたことを思い出す。漁師の溜り場といった意味だが、まあ海産物の市場のようなものだ。目立つ建築で、釧路出身の建築家・毛綱毅曠(もづな・きこう1941年~2001年)の代表的作品である。60歳を前に亡くなったのは残念だった。私は毛綱さんが「毛綱モン太」と称していた頃から知っているが、面識は恐らくない、但し私は毛綱さん、安藤忠雄さん等とも同じ1941年(生まれ)組である。同じ社会状況を生きてきたので同感出来るところもあると思っている。釧路出身であるが大学は確か関西の神戸大学(建築学科)であったと思う。Wikipediaによると、我々の学生時代全盛でその後も大きな意味をもっていたコンセプト「機能」に反発し、以後、抽象的なコンセプト「天・地・人」や「乾坤」などといったものをどう具象化するかに取り組んだようだが、余り上手くいかなかったようだ。しかし、話題に上るこの「MOOフィッシャマンズワーフとEGG」や同じ釧路で市立博物館(1985年、学会賞)や釧路市湿原展望資料館(1984年)などを設計している。今回、「湿原展望資料館」も見た。
家内は、MOOフィッシャマンズワーフ(1989年)を見た時に「パリのポンピドーセンターみたい」と言ったが、ある意味で、その影響は感じられた。中を散歩して従業員の小母さんに聞くと「毛綱さんは釧路の○○高校の出身、これは17年前の作品、MOOとはMarine Our Oasisの頭文字・・」とすらすら言うのには驚いた。ついでに「EGGは、確かに卵型だが、Ever Green Gardenの略です」と言うのにも「へー」と思った。中は簡単な植物園、鳥取市と釧路市の姉妹都市40周年の記念植樹もあった。後でタクシーの運転手に聞くと、釧路川の対岸高台にあるNHKTVのカメラは、この「MOO」に向けられていると言う。地震の時に、どう揺れるかの対象、津波が太平洋からどう釧路川に遡ってくるかの対象と言う。そういう意味でも役立っているのだな、と思った。

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