西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

公的住宅団地とコミュニティ形成

2011-07-01 | 地域居住学
今日、配達された雑誌『住宅会議』第82号は特集(住宅セーフティネットの再構築)、緊急特集(東日本大震災)があって読みごたえがあるようだ。

で、先ず表紙をめくると巻頭言で理事の三宅 醇さん(豊橋技術科学大学名誉教授)「「コミュニティ」を取り戻す課題」を書いておられて注目して読んだ。私も理事の一人であり、三宅さんは、大学、大学院の一級先輩でもあるからだ。

主に、公営住宅について述べておられるのだが、三宅さんは「上位収入層から順に持家層として出て行き、その空き家には高齢層・母子世帯・身障者・外国人などが入居し、公営住宅は、「面倒を見てもらいたい」層ばかりが集中する団地が急増してきている。」と述べておられる。

本来、住宅地は様々な階層の住民がミックスして住むのが良い、という「コミュニティ理念」の下で教育を受けてきた私も三宅さんの考えも良く分かる。

しかし、一方で、公営住宅、公団住宅(住宅公団、現在のURの供給する住宅)及び公庫住宅(住宅金融公庫融資による持家)の三本柱が、戦後の日本政府の住宅政策の根幹とされてきたことも知っている。  だとすると、公営住宅は、法的構造からも「低所得者」用の賃貸住宅であるから、三宅さんが憂慮されている住民構成に特化してもやむをえないとなるだろう。

私が訪れた某市営住宅団地では、最近、中国人入居者が激増していると聞いた。その証拠にベランダに設置されているテレビ用のパラボラアンテナは日本製より大きく、向けられた方向は日本の衛星からの電波方向ではなく中国の衛星方向なのであった。

だから、もし「(多様な住民による)コミュニティ構成」を優先するならば、例えば、公営住宅、公団住宅そして公庫住宅をミックスした団地を計画し建設する必要があるのではないか。

こういう試みはあるのであろうか。