ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.11.19 「お元気ですか」と「頑張れ」

2010-11-19 20:40:55 | 日記
 一昨日夜遅く、ネットでノンフィクション作家の黒岩比佐子さんの訃報に接した。
 昨年11月からすい臓がんⅣ期で闘病中でいらした。享年52歳。

 恥ずかしながら10冊の著作は拝読したことがないのだが、購読している新聞の読書委員をされていたこともあり、お名前は知っていた。最近、高校時代の友人から、高校の3期上の先輩であることも聞き、このところほぼ闘病記になっていたブログを時折拝見していた。

 そのブログの中で、年賀状に「お元気ですか」と書いてあることについての記載があった。
以下「2010年01月05日 抗がん剤治療の待合室での会話から」の抜粋である。

(引用開始)※ ※ ※ ※

 「年賀状もたくさんいただいたのですが、このブログをご覧になっていない人たちから、「お元気ですか」とか「ご活躍ですね」と書き添えられたのを見て、複雑な気分になっています。例年、私も年賀状を出す際に「お元気ですか」と書くことが多かった気がします。でも、相手が闘病中だったり、つらい出来事に遭遇しているとき、そのメッセージを読んでどう思うか、ということまでは思いが至りませんでした。悪気はなくても、傷つけていたかもしれません。反省しています。」

(引用終了)※ ※ ※ ※

 そうなのだ。私もここ数年経験している。
 昨年の年賀状では、既に病状をお伝えしてきた方たちにはブログを始めたこともお知らせしたし、一昨年は再発治療により病気休職中であることもお知らせしていた。もしそれを読んで頂いていれば私の今の状況が分かって頂けるのだけれど、まあ1年に1回の、何十人何百人のうちの一人のことだし、相手の昨年の年賀状を確認していちいちひっくり返して見ながらコメントを書く、ということをしなければ、「お元気ですか」と書くのが一番あたりさわりはないのだろう。けれど、本音を言えばやはり複雑である。確かに今は見た目、元気といえば元気だからなあ、と。そして今は普通に週4回仕事をしているので「くれぐれもお大事に・・・」と言って頂くほどの状況でもない(と自分では思っている。)。だからといって相手を攻めるつもりは毛頭ない。いくら想像して頂いても、体験せずして想像できないことは沢山あるのだから。
 私は「お変わりありませんか」と書いている。もちろんもっと相手の近況がわかればそれなりのコメントを追加する。印刷だけで手書きのコメントがない年賀状は頂いてもやはり淋しい。一言でもコメントが書いてあればもちろん嬉しい。だから、それが「お元気ですか」だけではなく、1年に1度その人のことに思いを馳せてコメントを書く時間を、私は大切にしたいと思う。

 もうひとつ、以下「2010年10月23日 3回目の入院」の抜粋である。

(引用開始)※ ※ ※ ※

 「最後に1つだけ(小声で)、こんなことを書くと気を悪くする人もいらっしゃると思いますが、激励のお言葉はうれしいものの、あまり「頑張れ、頑張れ」と言われると、自分としてはここまで精一杯やってきたのに、まだこれ以上頑張らなければいけないのか、と無力感にとらわれることがあります。あまりこの言葉を強調しないでいただければ幸いです。どうかよろしくお願いします。」

(引用終了)※ ※ ※ ※

 この心からのお願い文に胸が潰れそうになる。
 そう、私は再発して以来、治療がエンドレスになったこと(つまり完治は望めないこと)を受けて、必要以上にQOLを下げるような治療はなるべくならせずに、「細く長く頑張りすぎず」を常に頭に置いている。けれど、そうは言ってもこの2年半近く、週1の通院を中心に生活が組み立てられていることは哀しいかな、間違いない。
 だから大学時代の友人から「頑張っている人に、頑張って、とは言いません。無理せず、○○(私のニックネーム)は、いつでも、どこでも○○だから」というメールを頂いた時には正直ほっとした。

 誰のものでもない、自分の体だ。頑張れることはもちろん精一杯頑張る。誰だって少しでも良くなりたい、今の状況をキープしたい、と治療を続けるのだから。もちろん応援してくださる人たちからの激励の言葉は本当に嬉しい。それなのに一患者の私は情けなくも本当に我儘なのだ。

 黒岩さんの最後の著となってしまった渾身の作、「パンとペン」は是非読もうと思っていた。でも出遅れた。初版は完売、重版はまもなく、ということだ。

 合掌。

 今日は朝起きたらのどが痛い。どこかで風邪をもらってきてしまったのだろうか。こんなにうがい手洗いを徹底しているのに・・・。なんとなくだるくて熱っぽいのはいつもの副作用だと思うけれど。
 息子はインフルエンザ予防接種。学校からクリニックに直行するように言い、私も少ない休暇を1時間だけ使って早退して合流する予定だったが、この体調でクリニックに行くのが不安だと言ったところ、休暇が大量に余っている夫が休みをとって付き添いを引き受けてくれた。

 本人は一応受験生だし、私もこの後、夫と一緒に28日に接種の予定だが、抗がん剤治療中で白血球が低い状態が続いているので、今年は息子にはなんとか罹らないで欲しいし、私自身罹りたくない。
 去年は学校の友人たちが殆ど罹り終えて学年閉鎖も学級閉鎖も一段落した頃、最後の最後に新型に罹り一週間お休みしてしまった。その間に授業でやった部分がテストにしっかり出て、わからなかった・・・と言っていたことは記憶に新しい。
 本当に1年なんて早いものだ。

 休暇の申請を出していたので1時間早く帰宅した。ほっとしたのか急に調子が悪くなり、食欲もなく横になってしまった。熱が上がっているわけでもないのに熱いような寒いようなうまく体温調節が出来ない感じで、体がギシギシ言っている。観念して今日はもう寝よう。
コメント
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