ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.11.2 立ちはだかるもの

2010-11-02 19:58:52 | 日記
 朝の連続テレビ小説を見ていて、主人公のおばあちゃんの台詞が心に残った。主人公の親友が親に将来の進路を反対されて悩んでいる場面で。「親が子供の前に立ちはだかるのは、子供が傷つくものから遠ざけたいと思ってのこと、それはなかなか子供には通じないようだけれど・・・」。
 確かにそうだ、と思う。

 誰も子供が憎くて悪役にはならない。良かれと思って、のこと。ただ、なんとか子供が傷つくものから遠ざけたいと思っても、子供が強い意志で本気でそれに向かっていけば、親が立ちはだかったところで破られてしまうし、そうなれば子供はたとえ傷つこうが、自分の人生、自分で切り開き、事態を打開していくほかないのだろう。
 誰しもやり直しがきかないたった一度の人生、そしてその子育てだ。だから目いっぱい全力であたる。それでも全ていい結果に終わるとはいかないのが哀しいけれど。それもまた人生、だろう。
 そうして親離れ、子離れができ、きちんと自分の足で立ち、自分で生きて行ってくれれば何よりなのだけれど。ただ、するりとそうなってしまうと、まだ気力体力十分な親としてはちょっと淋しいのかもしれない。昔は人生短かったから、親離れ子離れが出来た頃には残りの人生それほど残っていなかっただろうけれど、今や普通に生きていれば、その後に何十年もある、のだから。
 だからお互いに上手に親離れ子離れした後に、親も残りの自分の人生をきちんと組み立てるような趣味やライフワークを持っていられたら良いと思う。
 ふと、私は、それまで生きていられるかな、と弱気になったりもするけれど。

 今日はお昼をМさんとご一緒した。
 Мさんとはもう15年近く前、この大学に異動してきた同期だ。当時は同期がずいぶん大勢いたのだが、毎年の異動で、今も大学で働いているのはとうとうМさんと私の2人だけになった。Мさんの方がずっと先輩なのだけれど、たまたま10年以上前に私のポストを引き継いでくださった関係もあり、以来お付き合いさせて頂いている。
 去年の4月にМさんが別のキャンパスに異動になり、お昼をご一緒する機会も殆どなくなってしまった。今日はたまたま仕事でこちらにみえる時間がお昼にかかる、ということで本当に久しぶりにご一緒した。
 ちょうど2年近く前、私が休職に入るという時に、もう一人の大学転入同期だったOさんと一緒にランチして以来のことだ。その時、暖かく可愛いパジャマ(休職中殆どずっと家ではこれを着ていた。)をお贈り頂いた。

 去年の11月、ご主人が突然肺がんで余命6月と宣告されたと伺ったのは、今年になってからだった。このブログにも書いたのだが、今年の春に亡くなったO先生から謹賀新年のメールが届き、そのメールがМさんと私宛になっていた。それでMさんに久しぶりに「ご無沙汰しております。」とご連絡したところ、「いい話ではないので、黙っていましたが、実は・・・」と闘病中である私のことを思いやってのお返事だった。あまりのことに言葉を失った。

 現在も抗がん剤治療のため入院されているという。「主治医にはいつ容態が急変するかわからないと言われているけれど、せめてささやかでも2人でクリスマスが迎えられれば・・・」というメールを拝見し、胸が潰れそうな思いだ。

 Мさんご夫妻はお子さんがいらっしゃらないので、本当に恋人同士のような仲良しご夫婦で、羨ましい、と思うほど。
 初めてМさんのご主人にお目にかかったのは10年ほど前、当時の総長のご母堂のご葬儀の時だった。葬儀のお手伝いで出かけていたMさんをお迎えに見え、私も一緒に車で送ってくださった。
 その後は久しくお目にかかる機会はなかったが、先月、私が帰宅する途中にちょうどこちらに仕事で見えていたМさんがご主人の車のお迎えを待っておられる時にばったり遭遇した。本当に痩せてしまわれ、辛かった。

 少しでも長くお2人でいい時間を過ごして頂きたい、と心から思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする