ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2010.11.10 ハーセプチン117回目、ゾメタ44回目、ナベルビン4クール1回目

2010-11-10 21:57:29 | 治療日記
 2週間ぶりの通院日。毎週通っていると、1週空いただけで久しぶりに感じる。
 今日は採血、レントゲンの後に診察。さらに点滴はオールスター6本の予定なので、病院まで急いだ。電車はどちらも順調だったが、いったん出足が遅れるとどんどん押せ々々で遅くなるのがわかっているので、少しでも早く受付に入りたかった。院内のエントランスのスロープでゆっくり歩いていた方を追い抜こうとした。別にぶつかったり肩が触れたりしたわけではなかったのだけれど、私の急ぎ足がよほどその人を苛立たせたのか、右に行こうとすると右に、左に行こうとすると左に立ちはだかられた。そして何とか抜かして自動ドアに入ろうとしたところ、また同じことをされた。通院受付の診察券のカードリーダーのところでようやく道が開けた。すると「あんた、何そんなに急いでんだよ。ちょっとくらい急いだって結局全然変わらないんだよ。」という台詞を浴びせられた。ノーコメントで立ち去ったけれど、皆病院に入るときはストレスを抱えているのだ、と改めて思った。

 月初めだし、先週が祝日だったこともあり、案の定検体受付の窓口は待ち人で溢れている。これは採血まで1時間待ちか、と覚悟する。受付には15分ほど待たされたが、採血自体の待ち人数は10人ほどだったので、受付後は10分ちょっとで終了。今日は腫瘍マーカーも含めて3本採取。いつもの癖でそのまま内科に行ってしまい、保険証確認後「レントゲンがまだですね」と言われて慌てて2階レントゲン受付へ。こちらも殆ど待つことなく撮影終了。ようやく内科受付へ。

 1時間ほど待って中待合に入れたが、その後診察室へ呼ばれたのは30分後だった。さすがに2回分投与の後の土日はだるさと上半身の痛みが酷かったことをご報告。それでも最近では胸の圧痛はそれほどでもなく、今日は元気です、と。ところが「白血球が2700と低い。今中味をチェック中です」とのこと。「好中球が4割は欲しい、そうすれば投与できるのだが・・・」と。
 腫瘍マーカーは前回比25%の減で正常範囲内になった。レントゲンの結果もPC画面で見せて頂く。9月10日にポートのトラブルのため位置確認で撮影したときのものと今日のもの、明らかに右肺、左肺とも影が小さく薄くなっていた。先生いわく「間違いなく効いています!」とのこと。「まだ好中球がわからないけれど、いい知らせは早くお伝えすればそちらの結果を待つ時間も短く感じるのではないかと思って。」と。先生の心遣いに感謝である。

 中待合で再び待つ。20分ほどして再び呼ばれ、診察室へ。先生は「うーん」と電卓を叩いておられる。884だそうだ。「でも、効いているので何とかやりたい。発熱したら飲むようにお守り代わりにシプロキサン(抗生剤)を処方します。8度以上出たら飲んで7度台なら様子見で。」とのこと。次回は採血で白血球のみ調べてまた投与する予定だ。

 処置室に行くと「12時半過ぎないと椅子もベッドも空かない。」とのこと。既に12時近かったので院内レストランで昼食をとりつつ、夫には今日の様子をメールで知らせる。また、プチ虹のサロンのSさんからも「白血球が頑張っているといいですね」メールが入ったので、ご連絡。しっかりお薦め定食をお腹におさめていざ、処置室へ。
 結局処置室に入れたのは1時過ぎ。やはり工事中で椅子とベッドが少ないことも影響していそうだ。針刺後、点滴開始は2時近くになっていた。ハーセプチン、デキサート、ナベルビン、生理食塩水、ゾメタ、生理食塩水と6本の点滴が終了したのは5時を大分過ぎてしまった頃。正面の会計窓口が5時でクローズなので、針を抜いて止血確認後、救急窓口で会計。受付窓口が少ないので、ここでも20分ほど待つ。本日の病院滞在時間はほぼ9時間。外は真っ暗だ。さらに薬局で待つこと15分。最寄駅から電車に乗ると、通勤のラッシュとぶつかり、これまた混雑。
 朝家を出てから帰宅するまでほぼ12時間。本当に「患者はつらいよ。」と一言言いたくなる。

 今日は3冊読めた。
 1冊目は阿川佐和子さんの「婚約のあとで」(新潮文庫)。裏表紙には『姉妹、友人、仕事仲間としてリンクする7人。恋愛、結婚、仕事、家庭をめぐって揺れる彼女たちの、それぞれの心情と選択をリアルに描き出した連作集』とあった。前作の「スープ・オペラ」もそうだったけれど、本当に阿川さんの作品を読むと元気が出る。“生(なま)”の女性たちの描き方が見事。フリーライター・瀧井朝世さんの解説にあった「人生は選択の連続、どの決断が正しい、なんて誰にも言えない 人生に普遍的な正解はないのだから 怯えていたって仕方ない おそれず選び、おそれず流され おそれず間違えて、生きていこう」その通り、だと思う。

 2冊目は柳田邦男さんの「『気づき』の力 生き方を変え、国を変える」(新潮文庫)。月刊誌『新潮45』に連載されたシリーズ「壊れる日本人-ケータイ・ネット依存症への告別―」「壊れる日本人 再生編」「人の痛みを感じる国家」に続く四巻目にあたる。文庫化を楽しみにしていた1冊だ。帯には「いまこそ大切にしたい心を成長させる『孤独の時間』現代人の覚醒を促す警醒の書」とある。やはり孤独な時間は大切なのだ、と実感する。裏表紙にあるとおり「人は、孤独な時こそ悩み、苦しみ、寂寥感にとらわれ、それらを乗り越えるために懸命に考える」のだろう。「心を成長させる『気づき』の瞬間」の章の看護学生の感性や「よりよい死、その気づきと支援」の章等が特に印象深かった。そして母親が子どもに与える影響力も今更ながらのように痛感し、反省する。

 3冊目は櫻井よしこさんの「異形の大国 中国―彼らに心を許してはならないー」(新潮文庫)。帯には「詫びず、認めず、改めず。狡猾な仮面に隠された恐るべき戦略とは?中国論決定版」とある。2005年以降『週刊新潮』の連載『日本ルネッサンス』に加筆されたもの。おりしも尖閣諸島問題が大変なことになっているけれど、改めて一日本人として歴史をきちんと学び、理解していないことに打ちのめされる。“はじめに”で「隣に中国という国が存在することは、天が日本に与え給うた永遠の艱難である。」との一文。「わが国の弱腰外交を問い質す著者渾身の中国論」との裏表紙。「今、わたしたちがひたすら自問すべきことは、日本という国をどのような国にしたいのかすべきなのか、そのために何をなすべきか、言う点である。・・・我と我が身を鍛えることがいま全ての日本人に求められている。」のあとがき。過激論かもしれないけれど「中国政府は、日本は押せば必ず引く国、叩けばうずくまる国だと見做している。だからこそ、常に押し、常に叩いてくる。」のくだりには、日本はこれから中国とどう関わっていくのかもっとしっかり議論すべきだ、と強く思う。
 
 
コメント
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