ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.3.30-31 半ば廃人の2日間

2019-03-31 19:54:54 | 日記

 土曜日。パージェタ、ハーセプチン、ハラヴェン3剤併用2クール投与4日目。
 3週間前、初回投与後の週末は息子の引っ越し真っ最中で、気持ち悪いだの、具合悪いだの言いながらも、とりあえず動けていた。
 ところが、今回は何もしないでいい2日間と身体が認識してしまったからなのかどうか、朝の連続テレビ小説最終回をベッドで視た後、二度寝。気持ち悪くて食欲もないから、とそのまま昼まで寝続けた。ラベンダーリングのイベントに申し込んでいたけれど、都心まで出かけるなんて、とんでもない。一も二もなくキャンセルだ。

 一方、夫。前夜その存在に気づいた上腕部の黒子がまさかメラノーマでは、と焦りまくって皮膚科クリニックに出かけた。LINEで「老人性いぼ(それにしても、なんと容赦ないネーミングだろう。)だった」と胸をなでおろした模様。私がこんな状況で、自分まで悪性腫瘍になってもし私より先に逝くことになったらどうしたらいいのだ、と昨夜はまんじりともしなかったという。蚤の心臓の人である。病を得たのが私で本当に良かった、と思う。

 一日パジャマでいるのも・・・と、のろのろ起き出して着替えだけはしたけれど、ブランチはドンペリドンとともに、夫が剥いてくれた不知火とりんごとキウイをちょっとずつ頂いておしまい。
 夫はクリニック・デーで、昼から予約した歯科クリニックへ。以前から調子の悪かった前歯の差し歯がいよいよ寿命との診断で、抜本的対策を講じるとのこと、可哀想に2本抜歯されて脱脂綿に血を滲ませて帰宅した。今夜は入浴もダメ、食事も刺激物やら熱いものはダメという。
 私は午後もリビングでウトウトウトウト。放っておかれたら真っ暗になるまで眠り続けた。

 食事らしい食事をしなかったせいか、お腹はほぼ空っぽ。せりあがってくるものがないのか、少し気持ち悪さが和らいだ感じ。何も食べないわけにいかないから、夕食は自分には冷凍食品のパスタを、夫にも柔らかいものということで、冷凍のグラタンと冷ましたカップスープを並べた。それにしても酷い食卓だが、致し方ない。

 食事を終えると、いきなり腹痛。ウサギの糞が、あっという間に普通便を通り越して泥便、下痢になった。全くもって中庸で止まらない。どうしたものか。
 早々に入浴して、お腹を温めて、就寝。シャンプーさえしなければ殆ど髪の毛も抜けなくなったが、うっすらと頭皮を覆っている髪の毛がまだ少しずつ排水口に溜まる。ツルツルではないのが、なんとなく潔くないというかなんというか、みすぼらしい。
 文字通り籠城蟄居、夫とも最低限の会話しかしない(出来ない)1日だった。外は花冷えでお花見にはちょっと寒かった模様。
 息子は昨日、同期のお友達と弾丸卒業旅行で日帰り岡山の旅を楽しんだようだ。明日を気にせず昼からビールを飲める最後の平日と思うと泣けてくる、だそうだ。何をおっしゃるウサギさん、これから、ではないか。

 日曜日。早く眠りについたせいか、明け方また腹痛で目が覚めた。やはりお腹が緩い。また二度寝して、ウトウト。
 空腹の夫が(夫も抜歯のおかげで普段の量の半分も食事を摂れていない。)起きられるかどうか様子を見に来たけれど、もう少しと言いつつ、ダラダラと惰眠を決め込む。
 ああ、仕事にもどこにも行かないでいい身分になったら、おそらく私にはこういう生活が待っているのだろうと思うと、正直ぞっとする。

 とにかく、さあ、何かしよう、と何か行動を起こすためのスイッチが全く入らない。起きなくちゃ、と思いながら気づくと30分、1時間が過ぎている。ようやく重い身体を起こして起きる。胃が痛い。空腹すぎるのだろう。体重計に乗ると、2キロ近く体重が減っている。それでも洗濯物は溜まるから洗濯機を回す。今朝もお天気がぱっとしない。肌寒い。

 ようやく遅発性制吐剤のアロキシの効果か、気持ち悪さが軽減してきた感じ。4日ぶりにハムとチーズのピザトーストを作って朝食らしい朝食を頂いた。まだ青汁は飲めない。味は少しわかるようになってきたけれど、相変わらず水が美味しくない。

 あっという間に昼になる。明日からまた1週間が始まるというのに。
 少しお天気が好転したので、思い切って外に出てみた。日差しが眩しくてフラフラする。桜が大分開いた。家の前の山桜は既に満開だ。

 初回1.4mg/㎡投与したハラヴェン。2回目の前回は、脊髄抑制による好中球減少で減量規定どおり1.1 mg/ ㎡ になった。概ね2割強の減量である。これでもダメだと0.7mg/㎡になる。当初規定量の半分だ。それでも・・・となると投与中止を考慮する、とある。次回ダメでもなんとか半分で留まって続けていきたいと思う。これまでの色々な薬もそうして粘ってきたではないか。

 気持ちは悪いし、お腹は壊しているし、だるいし、と不調を挙げればきりがないが、投与前に酷かった胸痛や咳は、目に見えて軽減していると感じている。この治療が効いていることは間違いない。なんとか身体が受け入れてくれますように。

 明日から年度初めの1週間が始まる。事務室では結構な数の人事異動があり、色々ドタバタするだろう。飲み込まれないように1週間恙無く過ごせますように。
 
 息子もいよいよ明日から社会人。初日が月曜日で、緊張とストレスでしんどい5日間になるだろう。なんとか頑張って乗り切ってほしいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019.3.28-29 青息吐息の2日間

2019-03-29 20:14:03 | 日記

 木曜日。パージェタ、ハーセプチン、ハラヴェン3剤併用2クール目投与翌日。
 初回投与の経験からいうと、投与翌日の気持ち悪さはそれほどではない、筈だったが、そうは問屋がおろさなかった。朝からしっかり気持ち悪さ満載で、食欲は全くなし。ステロイドのおかげで夜もなかなか寝付けず、眼はギンギン。早朝目覚めてしまってから寝付けず寝不足でもある。
 吐き気止めのせいで、前日まではいつも快腸(どころかいつもお腹緩い状態)だったのだが、全くお通じの気配がなく、モタモタしている。顔も火照ってくる。
 とりあえずドンペリドンを飲んで、食べられそうなものだけ、口に入れて出勤。

 年度末の最終週ど真ん中に丸一日休んでいるのだから、学内便やら配布印刷物やらで机の上が埋まっている。メールもたんまり。とにかく集中して大車輪で処理するが、気持ち悪くてたまらない。顔の火照りが鬱陶しい。なんとなく熱っぽい。
 昼はカフェでお茶だけ。午後からの会議でも生唾が出てきて、お茶で飲み下しながらなんとか耐える。予定より少し早く終わってほっとしたのも束の間、その場でちょっと厄介な案件の打ち合わせが入ってしまう。まあ、私が治療翌日で具合が悪いなんていうのは相手方には全く関係のない話。戻れば電話のメモやらメールやらで、また忙殺される。定時を少し遅れて強引に席を立った。

 夕食は冷凍食品だけでも並べてとりあえず乗り切ろう、と思っていたが、食材と食器を出したところであえなくダウン。台所に立ち続けられず、リビングに倒れこむ。夫が帰って来ても愛想のないこと甚だしい。結局、夕飯の支度どころではなく、口先だけ動かして夫に後片付けまでお願いしてしまった。

 かつては抗がん剤治療中でも「こんなに気持ち悪いのに、なんで私が作るのよ。味もわからないのに」とブーたれながら曲がりなりにも作っていたのに。加齢なのか、開き直りなのか、もうそれすら出来なくなっていて、情けない。

 アイスクリームだけは美味しく感じるので、それでカロリー補給。つい最近まで冷たいものを食べれば即効で下痢をしていたので控えていたけれど、今は便秘なので問題なし、ということで自己正当化。
 あまり早くベッドに入っても気持ち悪くて眠れないのは目に見えているので、ギリギリまで粘って就寝。

 金曜日。投与3日目。
 明け方お手洗いに目覚める。食べているものの量は間違いなく減っているし、水分摂取量も減っているのか、なんとなくお腹が痛いのだけれど、お通じにはならない。こうしてつかえているから逆流するような感じで、余計気持ち悪いのだ。

 朝のルーティン5分間瞑想で深呼吸をすると、その時だけ気持ち悪さが少し和らぐ。本当に少しだけ座って完全呼吸を繰り返すだけなのだけれど、こんなに救われるとは・・・。
 とにかくまずドンペリドンを飲まないと、食べ物が喉を通らない。ハラヴェンは8割に減量にしたのだし、遅発性吐き気に効くアロキシも入れて吐き気止めは万全の筈なのに、何故前回よりこんなに気持ち悪いのだろう。萎える。
 毎回々々治療の度に、何が起きるかはわかっているのに、なんでこうなるんだ、もう嫌だ、と思う。だらしないけれど、これが私だ。
 それでも、出掛けにウサギの糞状のものが少し排出されて、少しだけお腹が楽になった。

 今日が年度最終営業日なので、転出者の挨拶やら何やらあって終日休むわけにもいかない。当然年度替りの仕事もあれこれ。メールも担当者が変わる前に何とか送ってしまえ、という勢いでどんどん届く。どう頑張っても1日働く元気はとてもなく、午前中にやっつけられるものだけやっつけて(言葉が悪いが)午後一番、ほうほうの体で帰宅して、ダウンした。

 頑張って、とか無理しないで、とよく言われるけれど、自分なりに精一杯やっている状況でこれ以上頑張れないし、無理しないで、と言われるのは仕事を辞めろといわれるのに等しい。
 もちろん、気を遣ってくださっての言葉だとわかるのだけれど、本当に体調が悪くて気持ちが荒んでくると(こうならないために瞑想をしているのではないか、と突っ込まれると下を向くが)ちょっとしたことに一喜一憂する。ああ、ごめんなさい。

 そんな中、あるお友達からの言葉にとても救われた。彼女は私のこと、本当によくわかってくれているのだ、としみじみ嬉しかった。我ながら我儘な奴なのであるが。
 いい加減な気休めは言えないけれど、○○しなければならないというのが、あなたにはモチベーションの一助になっているようにも思う、と。そして無理しないで、と言いたいけれど、無理することの方がプラスに働くことがあるのかもしれないし、通り一遍のことは言えない、と。

 ということで、夫が宴会で夕食不要をいいことに、夕方前からリビングで寝込み、数時間が経過。先ほど目覚めた。ようやく、どころか青息吐息、顎出しまくりの2日間だった。
 とにかく明日明後日は篭城蟄居の予定。お花見に行く元気も今のところはない。少しでも体力回復に努めたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019.3.27 採血後腫瘍内科診察、パージェタ・ハーセプチン・ハラヴェン(8割減量)3剤併用2クール再開

2019-03-27 23:16:55 | 治療日記

 昨日は仕事を終えてから、この後の3週間ご無沙汰になりそうなので、ほぼひと月ぶりに夜のリラックスヨガのクラスに参加した。ゆっくり身体を伸ばし、心地よく汗をかいて文字通りリラックス出来た。ケア帽子にも大分抜け毛がつかなくなったが、やはりシャンプーをするとまだ抜ける。シャワーでさっぱりして夫と駅前のレストランで合流し、夕食を摂ったあと病院最寄り駅に近いホテルに向かった。予報ではもう少し暖かい筈だったが、結構寒かった。地元の桜はまだまだ1分咲きといったところ。

 行きの電車で中村幸司さんの「知らないと恥をかく最新科学の話」(角川新書)を読み始めた。折り紙付きの文系の私でもそれほどの苦も無く、読みやすい。ホテルにチェックインした後はゆっくり浴槽で温まって眠りについた。

 夜中に一度お手洗いで目覚めたが、すんなり寝直し、モーニングコールをかけた30分ほど前に自然に目覚めた。夫からもLINEが入る。浴槽足湯をして身支度を整えてレストランへ。これまでなかったかつらの装着があるので、ちょっと時間がかかる。新聞片手に今朝は和食の朝食を済ませ、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。

 外はいいお天気。気温は20度近くまで上がるという。今月3回目の通院である。到着後はすんなりIDカードを通して受付を終え、採血へ。待合い椅子は一杯で溢れている。20人近く待っており待ち時間は15分と出ている。スプリングコートやストール等一式をエコバッグに詰め、態勢を整えて待つ。途中で20分待ちになる。それでもほぼ時間どおりに採血室に入れた。今日は初めてお目にかかる看護師のIさん。マーカー等の測定も含みフル検査なので5本。針刺しはごくごく普通にチクリとして抜く時はそれほど痛まず無事終了。止血したまま腫瘍内科へ移動する。
 腫瘍内科の受付も列が出来ている。ひとまず大荷物を置いて席を確保してから列の最後尾につき、順番で受付終了。

 本日のお伴、1冊目は昨日の続きから。帯には「科学はどこまで『未来』に近づいた?NHK解説委員がとことん解説!」池上彰さんが「読めば世界が広がる1冊です」と書いておられる。
 話題は感染症・インフルエンザ、再生医療、がんゲノム医療、GPS、地震国、リニア高速鉄道、渋滞、絶滅危惧生物、宇宙誕生の謎と極めて多岐にわたっていたが、どれもわかりやすかった。恥ずかしながらこれまでリニアモーターカーの仕組み等知らなかったのだけれど、なるほど、と納得。

 渋滞の先頭は?という疑問もスルリと解けた。先日、勤務する大学で、或る教授の最終講義で宇宙関連の話を聴く機会があったのだが、そのことも相まって、ダークマターの話には興味をそそられた。サイエンスの世界、興味深い。高校時代、物理はとんでもなく苦手だったけれど、こういう話は純粋に面白い。食わず嫌いをしているととても損をしそうである。

 読み終えたところで、採血してから1時間ほど経っていたので血圧測定。123-71、脈拍は70と血圧が私にしてはやや高め。測定後20分ほど待つと、中待合に入れた。そして20分ほどで先生から声がかかった。病院到着から2時間ほど経過している。いつものタイムスケジュールだ。

 「2週間お休みして、どうでしたか?」と訊かれ、2週間の状況をかいつまんでご報告する。「翌日からも1週間以上酷いだるさが続きました。好中球は底ではなかったように思います。お腹は相変わらず壊しやすく、朝は腹痛で目覚め、少し食べるとすぐに下痢をしました。匂いにも敏感で、きつい匂いがきっかけとなっての吐き気もありました。2週間ほどで脱毛も始まりました。それでも間違いなく咳は減っていますし、ロキソニンを3度3度飲んでいることもあり、痛みは大分落ち着いてコデインのお世話にはならずにすみました。」と。

 「そうですか、採血の結果はほぼ問題なしです」と、チラとPCの数値を見せてくださる。好中球は1,690とある。先週から1,000以上アップはしているものの、3週間前の半分以下である。そして、グラフを見ると、マーカーも3割弱下がっている。もっとガクンと下がるかと期待していたので(図々しい)「少しですかね」と言うと、「いやいや、まだ投与は1回ポッキリですからね」と先生。確かに、欲張りすぎてはいけない。

 「今日は8割に減量します。また吐き気止めも強化します。ドンペリドンも1日3回、7日分出しますので、吐き気が収まったら切り上げて次回に回してください。次回は白血球のみチェックしましょう。」と仰る。「吐き気止めはアロキシ(遅発性の制吐剤)ですか。」と訊くと、「そうです。」とのこと。

 「好中球が当初3週間前に比べて半分からスタートで、次週また(1,000に)達しなかったら、次は?」と訊くと「さらに8割に減量します。概ね当初の半分ちょっとになりますね。それでもだめなら3週間に1度のハーセプチン、パージェタと合わせて1投2休に・・・」とのこと。まあ、先のことばかり案じても仕方ない。今回8割に減量して吐き気止めをパワーアップして来週までどう過ごせるか、である。ロキソニンとタケプロンも3週間分処方して頂いた。

 ご挨拶をして診察室を後にし、化学療法室へ入る。数人がお待ちである。いつものように夫やお友達にLINEで報告し、お手洗いを済ませ、呼んで頂くのを待つ。15分ほどして看護助手さんから内側のリクライニング椅子に案内される。

 身支度を整えていると看護師のMさんがいらして刺針。今日は殆ど痛まずラッキー。「大分気持ち悪かったんですか。」と言われ、「そうなんです。だるいしお腹を壊すし・・・」と答える。「(かつらは)前回のものですか。」と訊かれ「そうです。新しく準備する時間的な余裕がなかったので・・・」、「何年振りですか。ずいぶん綺麗になっていましたね。」、「5年半ですが、仕舞う時にシャンプートリートメントに出して、今回も陰干しして整えました。」と答える。

 その後ほどなくしてKrさんから薬が届く。Krさんは昨春私が勤務する大学のがん化学療法看護師のコースを修了された。学位授与式でご挨拶されてから1年が経った。「今年も月曜日に行ってきましたよ。」と報告し、「早いですね、1年なんて・・・」とお互いにしみじみ。こうしてパージェタ、ハーセプチン、8割に減量したハラヴェンの3剤併用の治療2クール目スタートである。

 点滴棒に5本の薬がぶら下がる。前回同様パージェタ、ハーセプチン、吐き気止めのデキサートに今回はアロキシもミックスされて、ハラヴェン、生理食塩水である。
 前回はパージェタと組むのが初だったので、発熱を避けるために1時間半かけたハーセプチンも今日は1時間で。吐き気止め2剤混合は15分、ハラヴェンは5分、ラストの生理食塩水は15分。ということで合計2時間半強の予定だったが、結局3時間近くかかった。

 吐き気止めあたりでOkさんがお見えになる。またお喋りのタガが外れてしまい、あれこれ吐き出す。「『顔色が悪いから、(案内するのは)ベッドの方が良かったんじゃないかな』と(他の看護師と)言ってたのだけれど、大丈夫?やっぱり辛かったみたいですね。」と。血圧も特段の異常はなし。せっかくなので、息子の卒業式のツーショットをお見せする。「ちゃーんと母もやってるのね~」と褒めて頂く。抜針もOkさん。ちょっぴり衝撃はあったが、お喋りしていたので気が紛れてノープロブレム。

 2冊目は重松清さんの「ニワトリは一度だけ飛べる」(朝日文庫)。帯には「働くとは、人生とは。いきなり文庫化!名手が送る、笑って泣ける長編小説」とあり、3月30日発行だったので、迷わず手に取った。実際には2002年から3年にかけて週刊誌に連載されたものを今回加筆修正した作品というが、平成の最後に平成の半ば、21世紀が始まって間もなくのお語を読むことになった。

 どこか懐かしい感じで、全然古びていない。「オズの魔法使い」の登場人物になぞらえて物語は進む。“臆病なライオン”の主人公は「仕事はたいせつだけど、好きなわけじゃない」。“知恵のないカカシ”が主人公同期の出世頭、“心を失くしたブリキの木こり”は「仕事なんかどうでもいいけど、嫌いというわけではない」という謎の若手社員。この3人に上司とその秘書と・・・会社員の悲哀と家族を抱えた父として夫としてのもろもろ、うーん、さすがに巧い。それで、それで、とあっという間に読み終えた。私は病と出来る限り長く共存して、自分のために家族のために生きることを選んだから、その段階で、仕事で一旗揚げようという出世欲からは離れたけれど、実際、主人公と同じスタンスなのか、若手社員と同じなのかよくわからなくなって、唸ってしまった。

 化学療法室に滞在した時間は3時間半弱。途中薬剤師さんも来てくださって、前回からの状況をお話しした。 ハーセプチンやパージェタは吐き気が「殆どない」の最軽度、「ややある」の軽度、「ある」の中度、「かなりある」の高度、の中では殆どないの最軽度で、ハラヴェンは軽度に該当する。軽度の場合、一般にはデキサートだけで大丈夫ということになっているので、前回はそのとおりにしましたが、吐き気が長く続いて吐き気止めを飲んだたということでしたので(今回は遅発性制吐剤の)アロキシを加えています。これは5日以上1週間程度作用が持続するので、これにドンペリドンも加えればまず大丈夫だと思います。これでだめだと、高度用のイメンドがありますが・・・、とのこと。

 「これまでも前回も、一つ上のランクで乗り切ってきたので、今回これで大丈夫だと思います。イメンドまで力を借りなくても」とお答えする。
 「下痢についてはアロキシの副作用で便秘になるので、もしかするとこれでうまくバランスがとれるかもしれません。」と言われたが、前回もなかなかうまくいかなかったと応えると、「下痢止めや下剤をうまく組み合わせるといいかもしれません。」とのこと。「既にマグラックスやロペミンも若干手持ちがあるので、調整してみます。」とお答えする。
 「いずれにせよ、吐き気で食事がとれないと体力も落ちるので、これでだめなら我慢せずにまた調整しましょう。」とのこと。デキサートにアロキシを足してもまずいことはない、ということは先生も仰っていたとおり。

 沢山水分を入れたので、針を抜いて頂いてすぐ、慌ててお手洗いへ。やはり点滴棒を引きずってお手洗いに行くのはちょっとしんどいので、出来るだけ我慢してしまう。
 ご挨拶して部屋を後にする。会計へ移動して受付。待合い椅子はかなり混んでいる。ここで、前回気になっていたチラシをゲット。「院外調剤薬局利用の方は病院内から受付が出来ます! 直接調剤薬局へ処方箋を持っていくよりも早くお薬の準備を始めてもらえます」とのこと。薬剤部の該当コーナーでマニュアル通り画面をタッチして各種選んで処方箋を送信すると無事完了した。乞うご期待である。

 30分ほど待って、会計番号が出る。今日はハラヴェン8割になってどのくらい下がるかな、と思っていたが、点滴代だけで50万円相当の点数。支払いは15万弱だった。考えていたより大分安い。8割にしたことでハラヴェンのアンプルの廃棄量がそれほどなく無駄がなかったということか。とはいえ、高額であることには変わりないのだけれど、すっかり感覚がマヒしていることは否めない。

 病院を出ると、暖かい風が吹いている。病院前の桜並木はちらほらと花が咲き出している程度。来週は満開を過ぎてしまっているだろうか。それでも楽しみだ。
 薬局へ到着して、「病院内から処方箋を送りました。」と言うと、ちゃんとその旨受付に届いていた。そして、なんともう薬の準備が出来ていた。待合い椅子には複数の方たちが待っているというのに、びっくりだ。

 顔なじみの薬剤師さんに呼ばれて「すごいですね、このシステムの威力!」と言うと、「いえ、これを使ってもお待ち頂くことは多いんです、今日は本当に珍しくラッキーで・・・」とのこと。
 薬局では2,000円弱で現金支払い。

 本日の病院と薬局の滞在時間は合計で6時間半弱。薬局での、いつもだと小一時間が、15分で済んだのが大きい。駅ビルのランチタイムにぎりぎりで間に合って、焼肉屋さんの冷麺を頂いた。たっぷり過ぎるほどのお酢もかけて。既に味覚異常が始まっているのかもしれない。
 夫の好きな駅弁と道明寺桜餅を購入して、JRに乗る。まだ早めだったのか、席も確保。本は読み終わってしまったし、やはり疲れていて、ウトウト。

 帰宅後、生協から配達された食品を運び入れ、一通り収納を済ませる。昨夜、夫が洗濯してくれた洗濯物を取り込んで、畳み、ようやくリビングで横になろうとしたら夫が帰宅。しばらく休息。
 強力な吐き気止めのおかげでまだ気持ち悪さがない。食べられるうちに、ということでインスタントのお吸い物とお弁当を7割がた頂いた。

 明日は会議があるが、出張はない。週末までなんとか踏ん張りたい。
 記録のために。月曜日に届いた今月2回目のお花は、ピンクと黄色のチューリップが合わせて5本、紫のお星さまリューココリーネが3本、コデマリが1本。花言葉はそれぞれ「恋の宣言」、「温かい心」、「伸び行く姿」だという。春爛漫、可愛らしいアレンジメントになった。

 さて、息子のこと。今日は4月1日入社予定の会社へ制服受取や事務手続きに行ったという。総合職とはいえ、制服が支給されるそうだ。それら夏冬一式を頂くのにスーツケースを携えて出かけたらしい。帰宅後、試着した自撮り写真を送ってもらった。やけに制帽が大きいが、なんだか可愛かった(親馬鹿)。
 息子はチビの頃から筋金入りの鉄ちゃんである。どこかの鉄道会社のイベントに行けば、嬉しそうに借り物の帽子を被り、ジャケットを着て、敬礼をして写真を撮ったこと数知れず。夫は目を細めて「これはもう借り物の写真撮影用のものじゃないんだものな、嬉しいだろうな」と。本当にそう。頑張ってほしい、と思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019.3.23-24 徐々に体調復調、明日からに備えた2日間

2019-03-24 19:46:24 | 日記

 土曜日。関西1泊の翌朝。さすがに疲れて、朝はベッドの中で朝の連続テレビ小説を視てから二度寝。
 昨夜の入浴では、これでもかというくらいたっぷり脱毛した(ヘアピース3個目、4個目)けれど、家のベッドではタオルを敷いてコロコロクリーナーを横に置いて寝たのでそれほどのストレスもなく。
 あれだけ抜けてもまだサイドとバックは殆ど問題ない。前髪がますます薄くなったけれど、全くの禿げ頭というわけではないので、ちょっと情けない感じ。ケア帽子を被らなくてもいい、と夫の承諾を得て家では素頭。

 外は雨がそぼ降っている。びっくりするほどの寒さだ。冬が逆戻りした感じで厚手のタートルネックのセーターを引っ張り出し、160デニールのタイツを履く。洗濯機を回し、外干しはあきらめて浴室乾燥に。体調不良と引っ越しの何やらで、結局2週間さぼってしまった掃除を済ませる。

 今日は1か月に1度のお楽しみリフレの日。月初め、治療変更前に行きたかったが、オーナーの日程が上手く合わず、ひとまず今日の午後に延期して頂いていた。体調は上向きになってきているもののまだ本調子ともいえないし、昨夜帰京したばかりで疲れているし、ちょっと不安だったが、思い切って出かけた。

 お迎えの車内でかくかくしかじか、とこれまでの体調を報告し、脱毛中で頭皮がチクチクするのでヘッドマッサージは避け、緩い感じで下半身スッキリコースとハンドリフレを追加した。
 どこもかしこもかなり凝っていたようだが、ひとしきり色々お話しした後は、施術を受けつつ爆睡。ぼーっとした後、すっきりしてポカポカハーブティを頂き、帰路は随分元気になった。

 明日はサロン20周年のパーティ(そのためいつも日曜予約なのに土曜になったのだった。)とのこと、自分のことで精一杯でお祝いを用意してくることも出来ず失礼してしまった。お祝いのフラワーアレンジメントが届いており、スタッフの皆さんも総出で飾り付けや準備で忙しそうだった。来月は治療スケジュールやら何やらを考えるとちょっと行けそうにないので、5月の連休に予約を入れてきた。
 夫と待ち合わせて最寄駅前のカフェでお茶。その後少し買い物をしてから帰宅。夕食は夫にお任せで、洗濯だけしてのんびりさせてもらった。リフレの日は体液の流れが良くなるのでどうしてもだるくなる。

 合唱の全国大会に出場した息子は、期せずして一般の部で金賞2位になり、本選出場とのこと。今日の打ち上げは延期で、明日の本選に備えるとの連絡が入った。福島まで遠征した甲斐があった模様。
 もうそろそろ脱毛も一段落かな、といった感じ。夫が、横と後ろがこのくらい(たっぷり残っている)なら前髪と頭頂部のヘアピースだけでも乗り切れるんじゃない?とのこと。確かに全頭かつらよりもそれで済むなら随分楽そうだけれど。

 日曜日。お彼岸明け。昨日の寒さが続いたらどうしようと心配したが、晴れて暖かくなった。
 今日は息子の卒業・就職報告のため、母を誘ってお墓参りである。今日もゆっくり起きて朝食の支度をしてから夫を起こす。
 駅前のスーパーでお花を調達し、母が乗ったバスが到着するのを夫とともに待つ。普段は1時間に1本の公園墓地までのシャトルバスもお彼岸中はピストン輸送で時間通りではない。時間が空いてしまったので、タクシーで向かった。

 さすがにお彼岸最終日である。昨日が寒く、今日が暖かく晴れたせいか、駐車場も満杯で、ガードマンが出ていてびっくり。どこのお墓もお花が替えたばかりで賑やかだ。
 3人でお参り。息子の諸事報告と、追加で今日の合唱本選出場も報告して、墓地を後にした。
 帰路は人数の関係で待たずにシャトルバスに乗り込むことが出来て、予定より30分ほど早く最寄り駅前に戻ることが出来た。

 駅前のレストランで3人でゆっくりランチ。母には引っ越しから卒業式までの写真を見せて、先日写真館で頼んだ写真立てと内祝いの品を渡す。
 ひとしきりお喋りして、母が帰りのバスに乗るのを見届け、私は久しぶりにヨガスタジオへ。
 今日はクリスタルサウンドバス~音でほぐす心とカラダ~に参加した。クリスタルシンギングボウルを使った呼吸法と瞑想がメインのワークショップだ。ほぼ寝ているだけ、というのでこれなら、と申し込んだ。

 “いくつものクリスタルボウルが奏でる優しくて力強い音があなたを包み込み、これまでにない深いリラックス状態へ。レッスンが終わるころには、心とカラダがほぐれ、前向きな気持ちになっている自分に気づくことでしょう。”という触れ込みのとおりだった。
 99%のクリスタル(水晶)にターコイズ、ゴールド、シトリン等などの石が加えられた4種類のクリスタルボウルを並べたKインストラクターの前に、放射状に並びクラス開始。

 呼吸を整えた後は、仰向けで寝転がって身体の部位に意識を向けながらクリスタルボウルの音浴に身を委ねる。
 かなり深い瞑想状態になり、眠っていたのか起きていたのかわからない感じ。起き上がると30分が経過していたのでびっくり。その後、お隣の方と感想をシェアしてクラスは終了。それぞれのクリスタルボウルの音も聞かせて頂いたが、今日は我欲や執着を手放し、自らの中の煌めきを引き出すというゴールドやシトリンの黄色のクリスタルボウルの音がとても気になった。

 感じたことを素直に言葉に出すことはとても大切なことだ。昨日のリフレの後のようにぼーっとしてなかなか帰ってこられなかったが、シャワーを浴びてスッキリいい気分になった。
 クラスにはケア帽子で入ったが、常温で汗をかかなかったので、かつらのままでも大丈夫だったかも・・・。

 終了後は夫と合流して、夫の仕事用の靴を買って帰宅。
 さて、本選に出場した息子のこと。合唱の聖地・福島県の中高生の上手さに舌を巻いた模様。それでも自分たちが本選に出られるとは思っていなかったようで、とても楽しめたようだ。打ち上げの後、夜遅く東京に到着。明日から仕事の社会人の皆さまを尻目に、自分は今日明日と我が家に留まり、最後の甘えん坊・・・の予定である。

 明日は勤務する大学の学位授与式でほぼ終日出張だ。2日働いたら、また治療が待っている。ようやく体調が良くなったと思ったらまたすぐに治療、ということになるが、この2日間を大切に今あることに感謝して過ごしたい。
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019.3.23 乳がん患者さんのための瞑想ヨーガクラス4月開講分キャンセル待ち受付中と、5月開講分日程延期のお知らせ

2019-03-23 10:15:29 | お知らせ

 先日、4月5月の開講日についてお知らせしたところですが、「乳がん患者さんのための瞑想ヨーガクラス」の4月開講分は、おかげさまで定員に達し、現在キャンセル待ちを受付中だそうです。
 お忙しい中、多数のお申込みを頂き、どうもありがとうございました。

 それと同時に、当初5月11日とお知らせしておりました5月開講分を、この度2週間後の5月25日に延期させて頂くことになりました。
 既に申し込みをして予定を入れてくださった方々には大変申し訳ありません。ASHARE事務局さんからも延期のご連絡が届いているかと存じますが、このブログをお読み頂いている方はご存知のとおり、3月6日に開始した3剤併用治療の副作用がことのほか酷く出ております。

 5月8日、3剤併用の治療をした週末ですと、かなりの体調不良が見込まれ、参加者の皆様に対して満足いくクラスの提供をする自信がありません。食欲もかなり落ちていることから、終了後にランチをご一緒することも叶わなくなります。
ですが、2投1休の休薬週の土曜日であれば、大分体調も復調しているのではないかと思います。

 皆様には大変ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんが、このクラスを開催させて頂くことが、治療を続けていく上での私の大きな励みになっております。細く長く続けて開催させて頂くために、今回ASHAREさんともご相談の上、こうした形にさせて頂きました。どうかご容赦ください。

 今後も休薬週の土曜日の継続的開催(3週おきもしくは6週おき)を目指しながら、治療を乗り切っていきたいと思います。
 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする