ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.1.30 採血後腫瘍内科診察、ハーセプチン207回目(3倍量再開18回目)マーカー上昇

2019-01-30 23:00:07 | 治療日記

 昨日は仕事を終え、いったん帰宅。簡単に夕食の支度をして夫の帰りを待ち、夕食を済ませてから病院最寄り駅に近いホテルに向かった。それにしても寒い。

 行きの車内で朱野帰子さんの「わたし、定時で帰ります」(新潮文庫)を読み始めた。タイトルだけ見て、これは面白そうと手に取ったのだが、間違いなかった。出だしから面白い。あっという間に引き込まれた。後から帯を見ると、春からのTVドラマ化が決まっているらしい。主人公は32歳、新卒でIT系企業に入社して十年だ。中堅としてキッチリ仕事をこなしつつ、定時で帰るのがポリシー。皆勤賞女、ブラック上司、ゆとり新人、Mr.非効率、元婚約者それぞれに絡んだ5編から成るが、いやはや今どきのリアルな描写、あるある感満載。
 書評家の吉田伸子さんが解説を書いておられるが、“残業は当たり前と思うこと自体、ちょっとおかしいこと。本書は全ての働く人にとって、お守りのような一冊である。”には膝を打ちたくなった。わが身を振り返れば、原則残業はしない、時間内に片付ける、とこれまで30数年間を過ごしてきた。もちろん部下を持つ身になり、一人だけ帰るわけにはいかないこともあり、子育て中には帳尻合わせの休日出勤等々、やむにやまれぬ時はあったけれど・・・。全部読んでしまうのはもったいなくて、残り2編は明日の待ち時間用にとっておくことにした。ゆっくり入浴していつもより少し早めに眠りにつくことが出来た。

 加湿器の音が気になって何度かお手洗いに起きる。モーニングコールが鳴る前に目が覚める。息子に“誕生日おめでとう”のLINEや週末の事務連絡を入れる。夫も既に起きており、“あの日も寒かった。お母さんのお腹の居心地がよかったとみえて、なかなか出てこなかったね”などと打っている。念のため電話。
 身支度を整えてレストランへ。焼きたてデニッシュや野菜スープでお腹を満たし、部屋に戻って新聞を読み、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。いざ、病院へ向かった。

 今日もいいお天気だが、昨日よりは北風が強くない。予想最高気温は10度。今月2回目の通院である。
 到着すると、IDカードの3台中2台が調整中で長蛇の列だ。ようやく受付を済ませ、採血へ。月末だが、とても混んでいる。20人ほど待っていて待ち時間は12分と出ている。コートやストール等一式をエコバッグに詰め、飲み物を調達しに行っても十分時間があった。予想通り15分ほど待ったところで順番が来る。2度ほどお世話になった女性技師さん。1回目は血液が漏れ、2回目はとても痛かったのでちょっと身構えたが、杞憂だった。今日は全く痛まずラッキー。お礼を言って止血したまま向かいの腫瘍内科へ移動する。
 今日も早くも待合椅子にはたくさんの患者さんが待っている。席について読書の続き。今日は採血結果が出るまでに1時間は待つ筈と落ち着いて読み進める。小一時間すると中待合へどうぞの電子掲示板に番号が出たので、ちょっと慌てて血圧測定。115-74、脈拍は81。

 昨日のお仕事小説を読み終わり、2冊目は朝井リョウさんの「世にも奇妙な君物語」(講談社文庫)。
 帯には「とにかくオチがすごい!あの「世にも奇妙な物語」を直木賞作家が書いたら・・・やっぱり、めっちゃめちゃ面白い!ラストは本当にヤラれます。ニヤッとゾワーっとする超絶品ミステリー集!※後ろから読むの禁止」とある。何を隠そう私もあの番組は欠かさず、とまでは言えないけれど結構昔から好きである。番組と同様5話から構成されている。ミステリー書評家の村上貴史さんも「世界の異様さ、息苦しさで読むものの心をとらえ、先の読めない展開でページをめくらせ、その展開について終盤で「なるほど」と納得させる。実に鮮やかで巧妙な読者コントロールだ。そして、それだけでは終わらせない。最後にもう一味。いやはや、恐れ入った。やるせない衝撃に圧倒される。」とあるが、第一話のっけから、衝撃のラスト・・・であった。

 中待合で待つことこれまた1時間。それでも本が面白いので、全く苦にならない。先生から呼んで頂いたのは病院到着から優に2時間を過ぎていた。
 「さて、3週間いかがお過ごしで?」と訊かれ、「19日あたりから胸痛が出て、息苦しさ、空咳等もあり、朝昼晩のロキソニンで足りず、コデインを1,2回飲んだ日が1週間ほどありました。朝が結構辛く、家でゴロゴロしている分にはなんとかなるのですが、仕事となるとなかなか・・・。大分落ち着いてきて、昨日は久しぶりにロキソニンを朝だけでなんとかやり過ごせました。」と言うと、「それは仕事に行きたくないということですかねえ」と茶化される。いやいや、仕事に行きたくなければとっくに退職しているわけで。先生、イケズである。

 「それで、マーカーが上がっているのですよ」と。予想通りである。果たして、と思うと前回比2割増(帰宅して確認すると2008年11月にタキソテール開始に踏み切った時よりも高い数値である。アチャー。)。まあ12月の採血から7週間経っているので、対数グラフにすればそれほど急増ではないけれど、7月から上昇傾向は間違いない。「痛みが出ているわけですし、CTを前倒しで撮りましょう。先延ばしせずに。」と仰る。「はい、そう仰ると思っていました・・・」と応じ、手帳をチェックして2週間後に予約を入れて頂いた。次回3週間後に結果を聞いて治療変更するか判断するということだ。「変更となると即次回3週間後から治療変更になりますか」と問うと、「何をするかによりますね」とのこと。

 これまでの話ではハラヴェンもしくはパージェタ+タキサンということだったが、今日は思いもかけなかった新しい提案があった。というのもホルモン陽性、HER2陰性の患者さんに画期的な効果があるという新薬(分子標的薬)イブランスの名前が出たのだ。「HER2陽性の患者さんは基本ハーセプチンが入るので成り立たなくなるのですが、ハーセプチンを休んでイブランスに行くという選択肢もあります。HER2陽性の患者さんで効く、という結果は出ていないが、ダメという理由もない。」と仰るのだ。
 「私はHER2陰性の患者さん用で、自分には関係ないと思っていました。」とびっくり。内服薬だから、うまくいけば点滴薬の2つの選択肢より負担は軽くなりそうだ。「ただ、白血球が下がるんですよ」と。まあ、これまでも抗がん剤治療では白血球はいつも下がっているので、減量したり期間を調整したり、エコモードに治療してきたわけだから、それは覚悟の上である。

 その場では結論は出なかった。まずはCTの結果次第ということになる。
 そして最近心エコーも行っていないので、とこちらも予約が入った。望むべくは3週間後の診察前に受けられればベストだったが、もう予約が空いていないということで6週間後になった。午前だけというのでCT撮影の午後にセットというわけにいかず、致し方ない。

 いずれにせよ今日は治療続行で、3週間分のアリミデックス、1日3回3週間分のロキソニンが処方された。「今のところ胃は大丈夫ですが、このまま3度3度ロキソニンを飲んで大丈夫ですか。」と問うと、「問題ありませんが、それでは少量、朝だけ胃薬を出しておきますか」とタケプロンが処方された。ご挨拶する前に「もう1年になりますが、相変わらずグラグラと浮いており剥がれそうで剥がれません。」と、足の親指の爪の様子も視て頂いて診察室を後にした。

 化学療法室に入ると、看護師さんたちが忙しなく動き回っている。カーテンはどこも閉まっており、混雑している模様。呼ばれるのを待ちながら夫やお友達に報告LINE。15分ほどして看護助手さんから「リクライニング椅子が一杯で、ひとまず普通の椅子にご案内して、お隣が空いた段階で席を移ります。」と古い固定椅子に案内される。
 お洗いを済ませ態勢を整えて、読書を続ける。30分ほどして「それでは」とお隣のリクライニング椅子に移動。内側の並びで外は見えない。
 10分もしないでOkさんが針刺しに見える。今日はラッキーだ。早業で「痛い!」と思う間もなくもうシッカと針が入っている。お見事である。すぐに薬を準備して待機していたMさんが点滴をセット。

 ハーセプチンと生理食塩水で1時間半弱。イブランスのパンフレットを頂き、一読した後は、スマホで検索してにわか勉強。お友達とのLINEも忙しく、本も読みながらあっという間である。終了間近にKwさんが見えて血圧を測って頂く。114-69、脈拍は68。
 抜針もKwさん。それなりに衝撃もあったが、無事終了。息子さんがセンター試験を終え、受験真っ最中だそうだ。受験生がいると大変ですね、と声をかけてご挨拶して部屋を出た。

 総合受付で会計。とても混雑している。30分ほど待ってようやく番号が出て支払機にIDカードを通し、採血と点滴の3割負担の3万4千円ほどカードで支払う。病院滞在時間は5時間強。
 外は風がないので、思いのほか寒さを感じない。薬局もそこそこ混んでいたが、40分ほどで済んだ。アリミデックスとロキソニン、タケプロン21日分で4,000円弱をカード払い。薬剤師さんに「こちらにお世話になってもう11年になりました。よく保っています。」と言うと、ぶ厚くなった私のファイルを手に「まだまだ頑張りましょう。」と言って頂く。有難いことである。ご挨拶して薬局を後にした。

 病院と薬局の合計滞在時間は6時間ほど。まだそれほど空腹を感じていなかったので、そのままJRに乗って途中駅で下車して、ランチ。ゆっくりたっぷり頂き、本も読み終わった。

 夫が宴会で夕食は不要というので、いつものように乗換駅のスーパーでお弁当を買うことはせず、最寄駅に到着。疲れていたのでタクシー乗り場にご贔屓のタクシー会社を見つけ、そのまま乗って帰宅した。
 生協から配達された食品を運び入れ、一通り収納を済ませる。洗濯物が溜まっていたので洗濯機も廻す。干し終わって、リビングでビデオを見ながらちょっとウトウト。一人適当に冷凍食品の夕飯を済ませた。
 明後日はまた関西だ。今日も早めに休むことにしよう。
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2019.1.29 痛みは決してウエルカムではないけれど・・・

2019-01-29 20:32:26 | 日記

 久しぶりに1週間にわたってしぶとい痛みに悩まされ、改めて痛みと治療について考えてみた。

 既に癌性疼痛~骨転移の痛みや肺にある腫瘍からもたらされる鈍痛~を経験している私にとって、抗がん剤治療に伴う副作用の辛さは勿論あれこれある。けれど、作用としての効果~腫瘍を小さくするなり、痛みをとってくれるなり、腫瘍マーカーの値を下げてくれるなりという具体的な“効いた”感~を享受することは出来ている。
 だから、とても恵まれている患者なのだと思う。

 というのも、これまで長くステージⅣの患者として過ごして来て、数多くの患者仲間さんたちのお話を直接聴く機会があったのだけれど、驚くべきことに、結構治療が長い方の中でも、がんそのものによる痛みは経験したことがなく、抗がん剤の副作用の辛さだけが悩みの種という方が少なくないのである。
 となれば、別に目に見えて効いているかどうかもわからない(実感出来ない)のに投与(もしくは内服)すれば、必ず副作用によって具合が悪くなるわけで、抗がん剤辛い、嫌だ、なるべく楽な治療はないだろうか・・・という思考に陥るのは当然といえば当然だろう。

 がんによる痛みを知らなければ、抗がん剤はがんの進行を遅らせてくれている筈だし、今出ているかもしれない症状を緩和してくれているから、副作用は確かに辛いけれど、抗がん剤治療、迷うことなく頑張ります、と揺るぎなく言い切れる強い人はそうはいないだろう、と思う。

 そう、数えきれないくらいの副作用にずーっと苦しめられてきている私だけれど、そのおかげでこれまで10年以上生き延びてこられた(ただ生き延びただけでなく、普通の人とほぼ同じ生活が続けられてきた)のだと思っている。その作用を体感出来ているからこそ、こうして細く長くしぶとく治療を投げ出さずに続けられているのだ、と改めて思う。

 さて、明日は3週間ぶりの通院日だ。
 このところの痛みの状況をお話し、さらに採血の結果でどうなることか。2月か3月に、と言われていた造影CTの予約を急げといわれるか、まだそれほど焦らなくていいと判断されるか。なるようになる、なのだけれど。

 今日は本当に寒かった。北風がことのほか冷たく、身を突き刺すような痛みを伴った。
 間違いなく日は長くなり、陽だまりはちょっぴり春の訪れを感じさせる時もあるのだけれど、まだまだ寒さは当分続く。
 そしてこのカラカラ天気も暫く続きそうだとのこと。手洗いうがいを励行し、喉を大切に、風邪を引かないように暖かくして乗り切りたいものである。
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2019.1.27 平穏無事に日曜日

2019-01-27 20:57:55 | 日記

 昨夜は、ヨガのクラスを無事終えたことやらテニスの試合観戦やらで興奮していたのか、なかなか寝付くことが出来なかった。1時近くにベッドに入ったが、マントラのBGMを1時間聴いても目はパッチリ。3時過ぎにようやく眠ったかな、と思うと明け方お手洗いに起きたり。あっという間に朝になった。特に早起きする用事もないし、としつこくベッドに張り付き、暖かい寝具の中でぬくぬくと過ごして幸せな寝坊をした。

 予約セットしていた洗濯物も夫が干してくれて、朝食に呼ばれてのそのそ起き出した。
 食後ロキソニンは飲んだが、その後コデインを飲まずに済み、まずはさぼっていたダイニングテーブル回りの片づけを終えた。それにしても、どうして片付けても片づけてもこんなに紙が多いのだろう、と毎度ため息が出る。

 昼からは最寄り駅前のヨガスタジオに向かい、デトックスヨガのクラスに参加した。新しく始まったクラスで今回初めて参加した。インストラクターは別のスタジオの方が出張してこられている。ひたすら股関節回りと仙腸関節にアプローチする、わりと地味な動き。立ちポーズはそれほどなく、座りポーズと膝立ちポーズが殆どだった。たっぷり汗をかいてリフレッシュ。夫と待ち合わせて買い物を済ませ、遅いランチをして帰宅した。
 雲一つない青空のいいお天気だが、何しろ風が冷たく、頬が痛いほど。帰宅後は洗濯を片付け、さぼっていた拭き掃除も終えた。その間夫はクリーニング店に出かけ、帰りに美しい夕焼けと富士山の写真を送ってきた。

 夜は味噌仕立ての石狩鍋。寒い日は鍋に限る。準備は簡単だし、野菜はたっぷり頂けるし、身体は温まるし、洗い物は少ないし、で一石二鳥どころかぐうたら主婦にとっては良いことばかり。シメの雑炊を頂いて、さて、明日からまた新しい1週間である。

 今日は1週間ぶりにコデインに手を出さず、朝一度のロキソニンだけでやり過ごすことが出来た。これならいつものペースである。夕食後は久しぶりに読書の時間も取れた。書評を読んで気になっていた下重暁子さんの「極上の孤独」(幻冬舎新書)である。一人上手でいることはとてもステキなことである。

 週半ばには3週間ぶりの通院が控え、週末には関西に出向く予定である。
 このままなんとか痛みがぶり返さないように祈りつつ、平穏無事に過ごしたいものである。
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2019.1.26 乳がん患者さんのための瞑想ヨーガ1月クラス無事終了

2019-01-26 22:43:57 | ASHARE (アシェア)
 
 今日は ASHAREさん主催の瞑想ヨーガクラスの日。初めて開催した昨年1月から数えて10回目、無事2年目を迎えることが出来た。

 この1週間胸痛が酷く、朝昼晩のロキソニンでも痛みが取れず、朝出勤前にレスキューのコデインを飲まないと不安な状態が続いている。夜は眠れているが、朝起きていきなり痛むのが辛い。一日を始動させるのに痛みがあると気持ちが萎える。痛みが取れて、一旦動き始めることが出来れば大分落ち着くのだけれど、やはり数時間すると痛みがぶり返す。
 息切れも空咳もある。風邪ではないのだが、人前でハアハア、ゴホゴホしているとなかなか居心地が悪い。
 
 今朝は普段とほぼ同じ時間に目覚ましをかける。最近では私より早起きで、朝食の支度もすっかり板についた夫が珍しくまだお休み中。朝食の準備と夕飯の下ごしらえを済ませてから起こし、一緒に朝食を摂り、ロキソニンとコデインを飲んで家を出た。
 予報では週末から冷え込みが厳しく、平野部でも降雪という予報だったので、お出でになる方たちの足元を心配してドキドキしていたけれど、いいお天気でほっとした。やっぱり晴れ女なのである。
 今回も荷物が多く、夫に駅まで送ってもらう。予定通りの準特急に乗り、無事に席を確保。レッスンプランを見直しながら、クラスの流れをイメージして過ごす。

 会場入り口で、いつも参加してくださっている方にお会いして、そのまま一緒に会場へ向かう。スタッフの方たちにご挨拶して身支度。新しくネット購入したマイマットと象柄のラグを敷き、今回から持参した新しい小道具も出して着替えを済ませる。さあ準備OKである。

 今回は、初参加の方が2名の予定だったが、お一方はこれまでにも何度も申し込みがありながら、抗がん剤治療のせいで体調が優れずキャンセルが続いている。結果として初参加の方はおひとりで、常連の方たちが8名、スタッフ2名の参加で11名様の開催になった。

 定刻前に代表のAさんのお話に続き、Hさんのご挨拶があり、こちらにバトンタッチ。クラスがスタートした。
 おかげさまでこのクラスも2年目を迎えたこと、何度も、また遠方からもご参加頂いていることへのお礼の言葉から。年の初めであり、マントラを唱えることに大分慣れてきたタイミングなので、Sさんのクラスでも必ず唱える「はじめのマントラ」の歌詞カードも用意した。今回はこれまでの「瞑想ヨーガに触れる」から「瞑想ヨーガに慣れる」をコンセプトにクラスを組み立てた。前回までヨーガ・ニドラーで寝っ転がり瞑想を続けていたが、新しい年、再び基本に戻って今日は完全呼吸法をして頂くことにする。
 
 自己紹介等は、何度も繰り返し聞いてくださっている方もいるけれど、それを聞きに来ています、と仰ってくださる方もおられるので繰り返す。現状、ゼローダ治療の副作用はほぼ軽快しているが、保護の意味も兼ねて相変わらず手袋も五本指の靴下を身に着けていることなどお話しする。
 サバイバー歴、瞑想ヨーガとの出会いをお話しした後、聖音、オーム(ॐ)の音を実際に皆で唱えたら、その余韻を楽しみながらクラススタートである。

 ヨーガスートラの最初の一節「ヨーガは心の動きを鎮めるものです」をサンスクリット語で一緒に唱える。そして、たくさんのヨーガの智慧の中から、私が一番お伝えしたいことを今日もお話しして、このクラスの間中、ご自身の呼吸に集中して頂くお願いをする。
 お手元に配った歌詞カードを使って、初めのマントラを一緒に唱える。全く初めてなので、間違っても大丈夫。歌詞カードを見ながらとはいっても難しいと思うけれど、とにかく瞑想ヨーガに慣れて頂くのが一番の目的だ。
 
 マントラ付きの2つの動きに始める前に小噺タイム。先日スーパー美脚メソッドのワークショップでなるほどな、と思ったことをご紹介する。皆、美しい足や姿勢に興味深々とみえて、楽しそうに聞いてくださる。実際に自分がどんな姿勢で立っているのか簡単に診断し、胸を開き、前重心でなくきちんと立つために何をしたらよいのかトライする。笑い声で場がすっかりリラックスし、明るくなったところで、さて、いつものウオーミングアップタイムだ。

 これまでずっと練習してきている2つの動きに入る。大空と大地と、その間にある全てのものに感謝と尊敬を表す動きである帰命敬禮。上半身を反って胸を開き大空へ挨拶した後は、前に倒れて両手の甲と額をマットにすりつけて大地への挨拶。前後の動きはとてもシンプルだ。気持ち良く声を出しながら「聖き者よ、尊き者よ・・・」という意味のマントラを唱え、自分の呼吸と“今この瞬間”に集中して頂くことをお願いする。

 次は五体投地。右足、左足、両足の3つの動きで1セットになるが、爪先で立ったり、中腰になったり、体幹が整わないとふらつきやすい立ちポーズが続く。皆さん大分慣れてきてバランスよくこなしている。なかなか安定して出来なかったわが身を振り返ると、大したものである。くれぐれも無理はしないで、痛かったり、きついときにはお休みして頂いてよいとお話ししているのだけれど、そんな方もおられず、難なくクラスは進む。
 1つ1つの動きに合わせたマントラがスタジオ内に共鳴する。沢山の声が見事に溶け合ってその余韻が部屋に満ちる。いつもながら穏やかで幸福な空間が出来上がっていく。

 3つの動きを無事3セット繰り返したが、息切れしてポカポカしてくる。痛みが出たら・・・、とか咳き込んだら・・・、とかマントラのリードの声が続かなかったら・・・と色々心配だったのだけれど、始まってみれば、不思議と痛みも咳も静まってくれた。最後に私がずっと続けており、ASHAREのお二人もすっかり習慣になり今ではやらないと気持ち悪い、と仰る朝ヨガの簡単な3つの動きをお伝えする。是非、だまされたと思って3週間続けてみてくださいね、と今日もお薦め。

 今日は時間どおりに後半に。久しぶりに完全呼吸法にトライである。各々キャンドルライトを灯して頂き、部屋の電気を消す。オレンジ色の光が揺らぐのを見ていると、心が静まっていく。まずは腹式呼吸のガイドから始め、続いて完全呼吸法をガイドしながら10分ほど座った後、10分安らぎのポーズ、シャヴァーサナの時間を取ってお休み頂く。
 
 ラーマボーロのキールタンを歌い、ゆっくりと心地良く目覚めて頂く。皆さんとても穏やかで、優しいお顔だ。今日も笑顔になって頂けて良かった、と有難くもったいない気持ちになる。 

 残り時間は20分弱。キールタンを唄って締めの時間となる。
 今日もハレルヤを一緒に3回歌う。殆どの方が難なく歌えるので、初めての方も安心して歌えたのではないだろうか。もう少し時間があったので、オーマニパドメフーンのキールタンも。少しかけあいを挟みながら、無事クラス終了の時間に。スタジオ内の美しい余韻に癒される。

 こうして今年最初のクラスを無事終えることが出来た。
 インフルエンザが流行する寒い季節、年度末の2月、3月はお休みして、来年度4月から日程調整が整ったらまたアナウンスいたします、と締める。会場撤収の時間までそれほど時間がないので、ご質問があればランチタイムで、とご挨拶してお開きとした。

 今日のお楽しみアロマプレゼントは「2019年もいよいよスタート、この時期必需品の風邪・インフルエンザ予防&冷え対策のアロマグッズをお土産にチョイスしました♪」ということで、「マスクにシュシュっと抗菌スプレー」、「ローズマリーのぽかぽかアロマバスソルト」、お馴染み「女王様のティータイム」ハーブティの3点セットが配られる。そして1月限定、昨年も頂いてあまりの美味しさにびっくりしたHさんの故郷のキンカンも。
 お着替えを済ませたら、皆でレストランへ移動。今日は、いつも受付やレストランのセッティング等の裏方を引き受けてくださる事務局のTさんが、残念ながらランチタイムはご一緒出来ないということで、12名だ。

 最上階のレストランの一番奥、大きなテーブルを囲んだ。今日は各々が名札を取り、好きな席に着席。初めて参加されたTさんのお隣に座って感想を伺った。治療の副作用で呼吸が浅く、主治医の先生からもヨガや瞑想が良いと言われていたので参加してみました、とのこと。症状が少しでも緩和され楽しんで頂けたなら本当に嬉しい。
 各人が好きなメニューを注文し、食後に自己紹介タイム。ちょうど隣の大人数のテーブルが空いたので、お話しもよく聞こえて良かった。皆さん色々な悩みを持ちつつも、こうして前向きにクラスに参加されているのが頼もしい。
 1時間半ほどお喋りに花が咲き、お開き。事務局スタッフのお二人と4月以降の日程を確認して、同じ方向に向かう方たちと帰途に就いた。

 乗換駅でお茶をしてちょっと一息。買い物をして大荷物になったため、ライナーでゆっくり帰宅しようとしたところ、昨日試験が終わり、今日は新居の下見に行っている息子から何度もLINEやら電話やらがあり、本も読めず、ドタバタになってしまった。
 最寄り駅まで夫に迎えに来てもらい、無事帰宅。それまでは気が張っていたが、さすがに疲れが出たのか帰宅すると待ってましたとばかりに痛みがぶり返した。
 夕飯の支度は夫に任せ、リビングで横になってテニスの全豪オープンの決勝戦に見入ってしまった。21歳、大坂なおみ選手、おめでとう!



(追記)ASHARE(アシェア)さんの活動レポートに取り上げて頂きました。
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2019.1.24 保湿ケアに思うこと

2019-01-24 20:56:32 | 日記

 朝日新聞「天声人語」の最新記事が目に留まった。以下、転載させて頂く。

※   ※   ※(転載開始)

(天声人語)ゾウのスキンケア 2019年1月24日05時00分
この冬は乾燥がこたえる。肌で感じるカサカサ度は例年の比ではない。保湿剤や加湿器ではとても追いつかないほどだ。潤いが足りないのは人間だけかと思いきや、この時期、動物たちもかなり困っているらしい▼東京の上野動物園で聞くと、アジアゾウは4頭とも冬の間、保湿処置が欠かせない。飼育係の志田昌信さん(31)は「今年はたしかに乾燥が目立ちます。放っておくとあかぎれやひび割れを起こし、表皮から出血します」。意外な繊細さである▼特に弱いのは、ほお、耳、爪、わき腹、しっぽの先あたり。飼育係は初冬から春先まで毎週、たっぷりのオリーブオイルを刷毛(はけ)で塗る。なめても害はなく、塗るたびくすぐったそうなそぶりを見せる。目のまわりなど塗った跡がくっきり黒ずみ、パンダのようだ。三十数年前から続く冬恒例のお手入れである▼高温多湿の森や密林からやって来た動物たちゆえ、厳しい日本の冬の乾燥になかなか対応できない。ほかに西アフリカが生息地のコビトカバも、頭から足先まで全身にオリーブオイルを塗るそうだ▼さて、この冬は太平洋側で雨が極端に少ない。東海や近畿では河川に「瀬切れ」が起きている。水が干上がり、流れが途切れてしまう現象だ。アユなどの遡上(そじょう)に影響が出ないか、漁業関係者は気をもむ▼大地ですら水分を失い、「乾燥肌」状態を呈するとは、乾きもいよいよ深刻である。やわな人類の一員としては朝晩、クリームやオイルでこまめに自衛するほかないだろう。

(転載終了)※   ※   ※

 あの硬そうな皮膚を持つ象さんがこんなに繊細だったとは。あの硬質な皮膚にあかぎれ、ひび割れを起こして血が滲む・・・。どれほど痛いことか、と思う。動物たちは痛みを言葉で訴えることが出来ないから、余計気の毒だ。オリーブオイルを塗ってもらうときにくすぐったそうなそぶりを見せる-想像するになんてキュート!と一人で和んでしまった。

 さて、自身のこと。分子標的薬ハーセプチン治療を始めて10年半。その他にもタイケルブ等の分子標的薬や、各種抗がん剤により皮膚や粘膜などがすっかり弱くなっている。もちろん寄る年波もあるのだろうけれど、四季を通じて保湿が欠かせない。
 特に今のシーズンはちょっと油断すると、あっという間に手先が切れてくる。ゼローダを中止して2ヶ月半が過ぎ、手先や足先を見る度に落ち込んでいた黒ずんだ色素沈着は大分落ち着いてきた。おかげさまで、かつての皮膚の色に戻りつつある。これについては言われたとおり可逆性だったのだな、とほっとしている。

 一方、弱くなった皮膚はそうそう元には戻らない。乾燥した状態で仕事をしていると、いとも簡単に手先を紙で切る。これは侮れない痛さ。ヒルドイドローションやらワセリンやら、シャワーや入浴の後、手洗いの度に塗りたくって、相変わらず手袋でガードしている。そんなわけで、今のところ肌のトラブルはそれほど酷くなっていない。

 結局のところ、こまめなケアに勝るものはない。自分の身体をよく観察し、自分の身体を労わること。元気なときにはなかなか気が回らないし、母業をしていると自分のことはどうしても後回しになる。その結果、後で痛い目に遭うことに。自業自得というものだ。

 息子も来週には23歳の誕生日を迎える。ようやく子育ても終わりが見えてきそうな気配だ。どんなことであれ、今からでは遅いことはない。ただでさえ、加齢により皮膚だけでなく、もろもろ弱点が目立ってくるお年頃だ。それに加えて抗がん剤治療の各種ダメージを、誰のものでもないこの身体が受け止めてくれている。そのダメージを少しでも小さくしてあげられるように、少しでも長持ちさせてあげられるように、自分の身体をいとおしみたい。  
 さて、今日もきちんとケアしてから休もう、と思う夜である。

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