東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

久しぶりの割型

2022-02-18 06:20:11 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 鉄砲狐ですが、この割型たちはお役目を終わり、久しく棚の中に眠っていたものです。というのも以前は三社様の裏の被官稲荷さまへお納めするために作っていたもので、事情あってうちからのお納めを終え、使うことなく眠っていたもの。べにや民藝店さん他にお出ししている鉄砲狐の型は昔の今戸焼の色のとれた人形をお手本に原型を作ったもので顔は尖って彫がしっかりしていますが、被官さまにお納めしていた型は神主様のご希望でもっと太らせてほしいということで、わざと太らせ形を鈍くしたものなのです。
 現在、被官様に並んでいる狐はおそらく拙作のをもとに、京都の業者さんが鋳込み成形で作られているようです。
 さて、最近、埼玉県のとある稲荷神社から少量ながら奉納用の鉄砲狐製作のご依頼をいただき、先方さまは形にはこだわらないということなので、眠っていた割型を思い出し、このタイプであれば、たくさん眠っているのでこれでよろしければ、早くできる由お伝えしたところ、それでもよい、ということなので棚から降ろして抜き出しています。自分の好みで太らせたわけではないので、外に出す機会もなく、割型たちには気の毒に思っていましたが、あくまで授与奉納目的の本来の役割で出ていく狐も喜んでいるこもしれません。
 例えていうなら、京王線や東横線で昔走っていた旧型車両が地方鉄道で新たな役目を担って旅立つような感じでしょうか。