東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

歌舞伎座「初春大歌舞伎」 夜の部

2019-01-20 01:02:17 | 街角

 先の金曜日、歌舞伎座の夜の部へご招待いただいて観てきました。その数日前に江戸随市川の大名跡の襲名発表のニュースが大大とマスコミで流れましたが、大きな名跡もどんどん値打ちがなくなってしまうんだな~、、。という印象。落語でも能でも浄瑠璃でも先人の偉大さに憧れつつ、自分で技芸なり磨いて先人に近づきたいという気持ちがないと、よい役者さんにはなれないのではないかと、、そういう怖さを知らないから自分の現状であんな大名跡を継ぎますなんて言えてしまうのだろうな、、、とも。

 さておいて、今回のご招待、吉右衛門丈の「太十」(絵本太功記・十段目)が何といっても呼び物。今月は国立劇場で菊五郎劇団の公演があるので、菊之助丈のこちらへの出演はないんですが、吉右衛門劇団のアンサンブルでよかったです。自分が中学生の頃「俳優祭」でのご馳走で超大顔合わせの「太十」というのが上演されていたのは今から思い出すと「神代」のようにも感じられますが、吉右衛門丈の今回の光秀の好演。今日での最高品ですね。この一幕だけでお腹いっぱいですが、夜の部他に「勢獅子」と「お土砂」がついて3本立て。「勢獅子」は如何にも役者さんを立てて役を振るのによい案なんですが、江戸の山王様のお祭りを題材にしているので、書割には藤棚が描かれていたりします。こういうのは季節感無視という感じでは、、?舞踊としての「勢獅子」とか「神田祭」とか「お祭り」(申酉)なんかは、上演するたびに役者さんの好みで付けたり削ったりして段取りが違ったりするんですが、今回は獅子舞のところに重点が置かれているという感じでした。「お土砂」、、八百屋お七もののひとつで歌舞伎には珍しい「あちゃらか」芝居です。普段謹厳なイメージで売っていた先代の吉右衛門がこうしたおどけた出し物でお客さんを喜ばせたという昔の話を聞きますが、こういう芝居はみんながみんなふざけるとかえってつまらなくなりますね。笑いの押し売りをされてかえって痒くなってきます。自分はCM出演している薬の商品名で受けをとるとか、♪USA♪の振りを入れてみたり、、。お客さんは喜んでいたんだけれど、、、。でもやりすぎでは?七之助丈のお七。とてもきれいで、昔の前進座の河原崎国太郎さんを思い出させるような美貌。ただセリフは口の中に綿でも詰めて話しているようなまどろっこしいようなセリフまわしで、玉三郎さんのセリフの影響なんではないかと思いました。女形の演技なので男の地声でいいのではないでしょうか。一観客の妄言、、。お七のところの下女のお竹さん役の梅花さん。この演目の中で一番しっとりとしていてよかったです。

三越で買ってきた「亀戸升本」のお弁当を幕間に食べて、芝居が跳ねてから「ニューとり銀」の串焼きと鶏釜飯で一杯やって帰宅しました。吉右衛門丈よかったです。あと梅花丈。