ひねり鳩の本体を作っています。もともと浅草の観音様境内で鬻がれていた鳩は生土で手びねりで本体を作って竹ひごでくちばし、両足、尾を挿し込んで乾かし、そのまま焼かずに彩色していた感じで、すぐ壊れたり、摩耗したり、水に濡れればとけてしまう、という脆いものだったので残るものは本当に少ないようです。境内で鬻がれた鳩を子供の食事の膳に置けば、食事のつかえがなくなる、という呪いで作られていたというものなので、そんなに丈夫に作られる必要がなかったのかもしれません。
今、昔の姿を再現するに当たっては、一度素焼きをすることで、少しでも丈夫にしてあげたいと思うので往時のやり方より面倒ですが、一度竹ひごを挿して穴の位置と挿したまま立ち上がった状態を確認して数分置き、落ち着いたところで竹ひごを抜いて乾燥させるようにしています。竹ひごの孔は乾燥収縮するので、素焼き後の組み立てに使うひごは収縮した孔の太さのものを別に用意します。
抜いた竹ひごはまた使うので、寄せ豆腐の空容器に戻します。となりの町内の神谷の商店街の豆腐屋さんで売っている「ごま味の寄席豆腐」というのが大好きでよく買っては食べますが空容器は洗って型抜きの「どべ」を入れたり、墨を使うときの一時的な使い捨て容器として重宝しています。スーパーで売っている「ごま豆腐」は葛粉をつなぎにしているのかゼリーのようにぷるぷるしていますが、ここの寄せ豆腐はぼそーっとして舌先にすりごまのじゃり感があるのが好きです。