東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

Discover Japan 2016 2月号(1月6日発売)

2016-01-06 12:35:14 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 昨年暮れ、日本民芸館展が最終日くらいだったか、出版社からメールがあり、新年に「民芸」というテーマでの特集を準備中でその中であるセレクターの人が「ニュー民芸」というテーマで拙作の人形をとりあげているということ、ついては問い合わせ先、価格を記したいので連絡してほしい由。何の種類の人形であるのかわからなかったけれど、時期的に民芸館に出品したものではないかと思い、いつもお世話になっている青山の「べにや民芸店」さんに相談にのっていただいて、問い合わせ先としてお願いし、また昨年の作品展での価格を基準にお伝えいただくということでお願いしたのでした。

 

 そして今日1月6日発売ということだったので、本屋さんで手にとってみました。

なるほど、拙作の今戸人形というのは「土神輿」のことだったんですね。かつて「Brutus]誌上でも「土神輿」をとりあげていただきました。ぱっと見では動物や人物ではなく「かわいい」という感じではないんですが実際に江戸の末から今戸で作られていて、都内の近世遺跡からも出土するくらい子供の遊び相手てしては親しまれていたであろうものです。

 屋根のところに金泥でみっつ丸が描かれていますね。これ本来だったらどこのお社の祭りかによってご紋が違っているんですが、どこのお祭りに合わせてもいいようにアバウトにしてあるんだと思います。

今戸人形最後の製作者であった尾張屋・金沢春吉翁(明治元年~昭和19年)までは細々作られていました。神輿の本体部分はこの春吉翁の作を手本としてモデリングしています。春吉翁と異なる点は「担ぎ棒」です。春吉翁の晩年のお作では棒通しの孔を空けないで、本体と鳳凰だけで飾るようになっていましたが、浅草橋「人形は顔が命の」「吉徳さん」に伝わっている天保3年の人形玩具の色手本帳である「玩具聚図」の中に担ぎ棒つきの姿が描かれていて、しかも棒の配色までこと細かく指定されているので、棒についてはそのとおりにしたわけです。ちなみに本体や鳳凰の配色については春吉翁のお遺しになったものは、天保3年とほぼ同じで、春吉翁はまさに天保以来の今戸人形の伝統を体得されていたわけですね。そして春吉翁を最後に後継者もなく江戸伝来の今戸人形は廃れてしまった、ということです。

 こどもが大人の真似をして「ごっこ遊び」するのは昔も今も変わらないと思いますが、昔の子供は神輿を担ぐ「いなせ」な大人にあこがれてこうした神輿で「喧嘩」したり「揉んだり」していたのだろうと思いますが、そんならなぜぶつかったり、落とせば割れる今戸人形なんかを素材にしているだろう、というのが不思議ですよね。因みに木製の神輿のおもちゃももまた昔はあったようです。

 すぐ壊れてしまう土神輿。どうしてわざわざこうやって作られ、また消費されていたのか、、、? これは土神輿そのものに関してではありませんが、戦前の郷土玩具関係の雑誌で「鯛車」という愛好者向けのものがあってそのバックナンバーの中に最後の今戸人形作者だった尾張屋・金沢春吉翁を囲んでの座談会を記録した記事があって、その中で翁は「今戸人形は落とせば割れる。その脆さを子供の疳の虫の根が切れるといって喜ばれていたものが、明治になってセルロイドやブリキといった舶来の新しい素材の玩具が出てきてからは、今戸焼は壊れるからダメだといわれるようになった、、。」と話されているんです。つまり壊れることを負の要素とはとらえずに、「子供の疳の虫の根が切れる」というゲン担ぎとしてめでたいと考えられていたということが土神輿の背景にもあるのではないかと思います。面白いですね。

 樋口一葉の「たけくらべ」を読むと、吉原近くの思春期にかかる子供たちの様子が描かれているんですが、子供たちの言動が大人たちへ憧れながらのいなせさを真似しようとしてる感じが表れています。土神輿もそういう子供たちによって遊ばれ、結局壊れて土に還るというものだったのでしょう。

 今回拙作の人形を掲載していただいてありがたく思っています。この本「民芸」大特集でお好きな方必読?な内容なのではないかと思います。

世界が注目するメイド・イン・ニッポンの名品を大解剖

「Discover Japan」 2016 Feburary

ものづくり大国ニッポンは新時代へ

特集 秘訣は「民藝」にありました

世界がなぜ日本の「ものづくり」に惚れるのか?

発行・発売 出版社  定価780円

 

 

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